まずは『僕』の話を
僕は昔から、普通の物を食べることができなかった。
普通の物――ポケモンフードや、おやつのポフレまで。口にすると、必ずといっていいほど戻してしまった。
僕の両親はそれをいやがった。僕のことを、めんどくさい、といった。実の子供を、いらない、と言った。
なら、なぜ生んだんだよ。なぜ、僕を育てたんだよ。
こぼれ出す愚痴は止まりようがない。だから、このことを僕は考えないことにしている。
まあ、今となってはそんなことどうだっていい。
もういないから。僕の手によって、僕の口に入っていったから。
・・・ああ、怖がらないで?これから明るくなっていくから。
はじめておなかいっぱいになったのはそのときだろう。また、僕がポケモンを狩るようになったのはそのときからだ。
今日も僕は、ポケモンを狩っていた。
オトナのポケモンだ。うーん、オトナってすじばってるんだよな・・・。
と、思った瞬間だった。
ガタン!
ドアの方から。
見やると、小さなイーブイが怖じ気づいたように座り込んでいた。
色違いか、珍しい。
しまった。子供がいたのか。かわいそうに、おびえてしまっている。
―なら、そっちを狩れば良かった。
血でそまったかぎ爪をつきだし、イーブイの白い毛を赤く染める。
「ごめんね。僕、おなか減ってるの。わかる?」
小さい子にもわかるように言うだけの脳はある。
「・・・たべて、いいよ。」
しかし、その言葉を予想することはできなかった。
「え・・・?」
死が怖くないのか?そうつぶやくとイーブイは、
死んじゃった方が楽。と言った。
え、ナニコレ。
・・・超タイプの子なんだけど!
僕、ポケモン食いのブースター。
本日の獲物に恋をしました!