僕 01
僕は孤独である。
寂しくはない・・・いや、ずいぶんと一匹だったから、寂しさという物を感じなくなったのかもしれない。
もしくは僕がデータだからかもしれない。全てはプログラミングされた、体、心、思考力。でも操作されているかんじはしないし、実際に自由に動き回ったり考えたりできるから、データの塊というには似つかわしくないかもしれない。
僕は青い波の中に住んでいる。それは時折鈍い光を発し、孤独な僕を笑うかのように照らす。これは僕の想像または妄想なのだが、ここは電子世界なのではないか。そこから、僕はデータの塊なのだという発想につながったのだが・・・それは想像や妄想ではない、確かな証拠があった。
―覚えているのだ。僕が作り出されたという事実を。
とても暖かく、柔らかく、残酷な記憶だった。それは僕をつかんで離さない。僕に外の世界をくれない。いつしか、僕のただ一つの記憶は、僕を縛り付けるようになっていたのだ。
「自由がいい。自由がほしい。自由をくれよ。外の世界へ出たい。もっと、もっと、記憶がほしい。もっと、もっと、もっと、もっと・・・」
初めての感情。
『欲望』
ああ、僕は夢見ていたのか。
「一匹じゃ、寂しいよ」
ああ、僕は感じていたのか。
寂しい。
寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、
寂しいよ・・・!
でも、僕は一匹。
それは変わらない事実。僕のたった一つの記憶と同じ、残酷な事実。
・・・だったら。
一匹でやってやる。
青い波が揺れた。