7 Σ とのラストバトル!
< Pi Pi Pi ... >
「ん、メールか?」
今は、朝の8時。既にトレジャータウンのポケモンは起きている時間だ。
仕度をしようと思ったディンの邪魔をする通知音。その内容は…?
「なになに…『送信者:Q』んで、『本文:俺と勝負しろ』………」
「誰かのイタズラメールですかね…そっとしておいては?」
「あ、フリーズ、起きてたのか…まぁ、なんかあっても大丈夫だと思うけどな…」
「ならいいんですけどね…あ、ギルドに依頼を取りに行くんですか?いってらっしゃいー」
「さて、なんの依頼があるかな」
階段を登りながら呟くディン。
やがて階段を登りきり、ギルド内に入る。
すると、いきなり叫び声が聞こえた。
「キャアアア」
あまりにも突然だったため、後ろに転けるディン。
まるでお約束である。
「な……なんだ!?」
慌てて地下に降りる。すると、一匹のブイゼルがペラップの胸元を掴み上げ、他の弟子達……ドゴーム達はオロオロしており、ビッパに至っては気絶している。
「いい加減吐け。ディンというピカチュウはどこだ?」
どうやら、ブイゼルはディンを探しているらしく、ペラップに問いつめているらしい。
ペラップは何か言おうとしているが、どうやら話せない状態らしい。
「おい、こらテメェ!なにしてやがる!」
ブイゼルは振り向く。
「……お前がディンか?」
「ああ。だからペラップを離せ」
ブイゼルはペラップを壁に向かって放り投げた。
力があったため、壁に叩きつけられると即座に判断したディンは、一瞬にしてペラップをキャッチする。
「大丈夫か?ペラップ」
「ゲホゲホ……ああ、助かったぞディン……」
今のディンの動きを見たブイゼルはニヤリと笑う。
というか、ペラップはいちいち狙われるポケモンである。
「なるほど……聞いたとおりだな。俺の名はQ。お前と勝負しに来た」
ブイゼルはディンに指差しながら言うが、ディンはすでにその場にはいなかった。
ディンはペラップを移動させるためにプクリンの部屋にいた。
「とりあえず手当てはしたし……寝てればいい」
「ああ……すまないな……」
「気にするな。さて……」
ディンは立ち上がり、部屋を出て広間を見渡す。
あちこち小さなクレームができており、中央には指を指したまま固まっている。
はたから見ると痛い奴だ。
「……ギルドを壊しといて何固まってんだ?」
「……お前と勝負しに来た」
振り返って言い直すQ。
ディンは一回ため息をついて、右手で額の毛を掴む。
「そのためにギルドを襲ったのかよ……意味わかんねぇ……。だが挑まれた勝負は受けなきゃな」
二匹は外に出て、距離を取って構える。
「一つ聞かせろ。俺と戦いたい理由はなんだ?なぜギルドを襲った?」
「リリアからお前とはライバル関係にあると聞いたから戦いたいと思った。それにギルドを襲ったんじゃない、聞いただけだ」
ふんぞり返るQ。
ディンはガクッと転けてしまった。
「リリアかよ……。それにあれは世間じゃ襲ったっていうんだよ……」
ディンは、あいつはバカなんじゃないかと思い始めていた。
「バトルの続きするぞ……電光石火」
Qは電光石火をし始める。
「速い……!?」
おそらく避けても無駄だろうと思うディン。
「ち……」
ディンはQの電光石火を素手で受け止めた。しかし、スピードがあるため、そのまま押されていく。
「でい!」
「く……」
ディンは肩を掴み、地面に叩きつけた。
そして、そのまま雷を込めた拳をQにぶつける……が、あたるギリギリのとこで体をひねらせてかわされる。
「疾風迅雷」
目にも止まらぬ速さで突っ込んでくるQ。
これはQのオリジナル電光石火強化の技である。
「はや……!?」
ディンはあまりの速さに驚く。
今までこの速さに出会ったことはあまりないからだ。
しかし、よく目をこらしめ、ギリギリでかわすディン。
「やるな……」
「お前の最大の力を見せてみろ……雷神モードを」
「雷神モードを知っていたか……なら見せてやる。雷神モー……」
ディンが雷神モードになる瞬間、Qの上に何かが落ちてきた。
「ぐえ」
「見つけたわよ、ディン」
「……」
落ちてきたのは、以前サンとミミにやられたキャロルと見知らぬオオタチのメスだ。
どうやらディンを探していたようだが……。
「(厄介なのが来た……)」
ディンは以前、キャロルに操られてしまったため、あまりキャロルと戦いたくない。
そもそも、ディンはメスとはあまり戦わないのだ。
だから、できればバトルにならないのを望んでいる。
「さあ!勝負しなさい!」
落胆した。
望んでいないことがおこってしまったからだ。
ディンはチラッと目線をキャロルの下に向ける。
そして、キャロルに向かって下に指を指すと、下を見るキャロル。
そこには、怒りで燃えている倒れたQがいた。
「……」
ソロリと一歩ズレてQから降りるキャロル。
「さあ、勝負なさい」
改めて言い直した瞬間、Qがキャロルの頭を鷲掴みする。
「不意打ちをしといて……無視するとはどういうことだ……」
言い終えるとQはハイドロポンプを超至近距離で放った。
キャロルは吹っ飛ばされ、ギルドから離れた海岸付近の深めの場所の海に落ちた。
一方、崖から海を眺めていたフィンは、謎の水しぶきが上がったために首を傾げていた。
「飛んだな……」
腕を組ながらキャロルが飛んでいった方向を見るディン。
そして、今度はもう一匹の敵のオオタチを見た。
「さて……お前もやるのか?」
ディンが一歩踏み出す。すると、オオタチは一歩後退りしだした。
「……?」
ディンは気になり、また一歩踏み出すとオオタチはまた一歩後退りする。
「おい……戦う気あるのか?」
「……わ……」
「?」
「私はあなたと戦えなーい!」
と言って逃げ出した。
「なにぃ!?」
予想外の事で叫ぶディン。
オオタチが階段を降りようとしたとき、ディン、Q、オオタチにとって、とても聞き覚えのある声がした。
「待て、レミール。お前は敵を前にして逃げ出すのか?」
レミールというオオタチは止まり、三匹は冷や汗を垂らす。上を見上げると真っ黒なリザードン……狽ェ現れた。彼こそ、ディンとQにとって、現在では最大の敵とも言える。
「煤I?」
ディンとQの言葉は見事に重なった。お互い、顔を見合わせる。
「狽知ってたのか?」
「ああ、奴とは何回か戦ったが結局決着をつけてない」
Qは驚いた。
自分は分身だけだというのに、なぜ、ディンは本体と戦ってるんだ。
心でそう呟いた。
「ふん……久しぶりだな。お前が俺を裏切った以来か?」
「……別に心からお前の仲間になった覚えはないがな……」
Qはこの会話で、ディンは元々狽フ仲間なのだと思ってしまった。そして、ディンの首筋にQの拳が触れた。
「どういう事だ?お前は狽フ手先だったのか?」
「……今のセリフ聞いたろ?心はなっちゃいない……つまり、脅されて仲間になったんだ。そん時はリリアも一緒だ」
その言葉を聞いて、Qはため息をついて拳を下げる。そして、ディンは再び狽睨む。
「なぁに……お前とリリアがこの島にいると聞いてな……超高速で来たんだが……見た感じリリアとはすれ違いになったみたいだな」
ククッと怪しく笑う煤Bディンはその笑いで察した。
「なるほど。俺とリリアを殺るためか……」
「そうだ……あの時はお前の雷神モードとやらに脅かされたが……今度はそうはいかない」
「……最初から全力で行くしかないってことか」
ニヤリとするディン。
「わかってるじゃないか……こっちも端っからです全力でいくぞ!」
狽フ尻尾の炎がさらに火力を上げ、ディンは雷神モードになる。
「これが最後の対決だ……いくぞ!十万ボルト!」
「来い!火炎放射!」
お互いの技が激突。ギルド前だというのに大爆発を起こす。
ディンは爆発の煙の中に入り、尻尾を光らせて電撃をまとう。
「アイアンボルテール!」
「ぬん!」
狽ヘアイアンボルテールを受け流し、ディンに向かって切り裂くを使ってきた。ディンは狽フ腕を掴んでかわし、電撃がまとった足で頬を蹴る。しかし、狽焜fィンの腕を掴み地面に叩きつけた。ディンすぐに離れ、そのまま地を蹴って雷パンチをする。狽ヘ雷パンチを右手で止め、お互い力を入れる。ディンは力を緩め、狽ェバランスを崩したところで腹部に強烈なパンチを入れた。
「かふ……」
「ふぅ」
一つ息を吐くディンと腹部を抑える煤B
「待て、ディン」
Qがディンの肩を掴んだ。
「なんだよ?」
「仲間から連絡が来てな?狽ェ機械だってことは知ってるな?」
「ああ……」
「昔はあいつ、平和主義者だったらしい」
Qの言葉に驚くディン。無理もない。今とは全くの逆だからだ。
「もしかしたら、中で何か異常を起こしているのかもしれない……」
「……わかった。俺が何とかする」
「なんとかって……?」
「小さくなって狽フ体内に入って調べてくる。これでも、機械関係は得意だからな。」
とんでもない発言に驚くQ。
「危険だ!」
「やるしかないだろ。いくぞ。小さくなったら奴の口ん中に投げろ」
と言い、ディンはピッピになって小さくなった。
「……仕方ない」
少し迷うQだったが、小さくなったディンを掌に乗せる。
「貴様等が何を企んでるかは知らんが……ここで死ぬ運命なのだ!」
「いまだ!」
タイミング良く狽ェ大声を出すと、Qは思いっきりディンを狽フ口の中に投げた。
「ぐ……!?」
うまく口に入ったが、喉に当たってしまったために、狽ヘむせてしまった。
「ゲホゲホ……貴様……何を……」
「気にすんな」
Qはグッと指を立てる。一方、ディンは……
「ち……ホントに機械だらけ……っていうかサビだらけ……」
うまく狽フ体内に入ったディンは機械の部品だらけの場所にいた。しかも、部品はサビだらけだ。
「……さて、原因は……ノートPCかよ…よく動けたな…」
しばらくPCを操作し、ついに原因を突き止めた。
「ウイルス……か。まずは狽フ動きを止めて……と」
まずは狽ェ動くために必要なケーブルを外し、ウイルス駆除作業を始めた。30分で終わり、ついでに部品のサビもある程度消した。再びケーブルを付け、PCを再起動し、狽フ体内から外に出て、元の大きさに戻る。
「終わったのか?」
「ああ、もう少ししたら再び動き出す」
と言い、狽ェ再び動き出すだすのを待つ事になった。そして1分後、ついに狽ェ再起動しだした。
「……あれ?俺は一体何を……?ここは……どこ?」
まるで寝起きみたいな顔で周りをキョロキョロする煤B
「俺達を覚えてるか?」
「ん?」
ディンに言われ、ディンとQを交互に見る煤B
「……いや、知らないな。君達は誰だい?」
どうやら、ウイルスに犯されてた時の記憶はないらしい。狽フ頭には?がたくさん浮かんでいる。
「俺はディン。こっちはQだ」
「ディンとQだね、よろしく」
ニッコリと笑う狽ヘ、今までとは全然違う。Qは調子狂ってるようだ。
「ま、とりあえず自分の大陸に戻りなよ」
「そうだな、そうするよ」
大きな翼を羽ばたかせ、大空を飛んで去っていった。
「ふぅ……これで狽ニの戦いは終わり……か」
一歩一歩歩きながら背伸びをするディン。Qは狽ニ戦ってた時の強さを見て、ある決心をし、拳を握りしめる。
「ディン」
「ん?」
「俺を……お前の探検隊……だったか?の仲間にしてくれないか?」
「は!?」
Qのいきなり発言に驚くディン。そして、今のメンバーを浮かべる。今は水タイプのメンバーがいないのだ。
「……わかった。よろしくな」
「ああ」
お互い、握手して仲間と認め合った。
Q(ブイゼル)が仲間になった!