11 シリーズ2、最終話!
全然わからない場所へ飛ばされたため、走って元の部屋を探すしかなかった。
「フィン!」
そこへ、ミミが飛び跳ねながらやって来た。
両方共まだ傷だらけで、何があったかは一目瞭然だった。
「……ミミもだったんだね」
「うん……もしかしたら、全員自分のコピーと……」
走りながら話す二匹。突然、後ろから叫び声が聞こえた。
「な……何……?」
「この声は……」
叫び声はどんどん近づいてくる。そして、その正体がわかった。サンである。
「キャアアアアアア!!」
サンはなんか暴走していた。走っているフィンとミミにも気づかず追い抜き、次の角をカクッと90度で曲がり、ドゴーン!という音がした。慌ててフィンとミミが行ってみると、壁は砕け、その下にサンが倒れていた。
「サン……大丈夫?」
「……あれ……あたし……」
目を回していたサンが気づき、周りをキョロキョロする。
フィンとミミは、顔を見合わせてため息をつく。
「あんたは暴走していたのよ?叫び声をあげながら壁に激突したわ」
「……どうりで頭が痛いわけだわ……」
額を抑え、涙ぐんでいた。
…よく、こんな状態で自分のコピーと戦えたな……と、フィンとミミは思った。
「おい!」
ちょうどそこへ、シン、フリーズ、リリア、ジャンがやって来た。
「あ、みんな!………なんでフリーズとリリアとジャンは無傷なの?」
「私達はコピーと会わなかったもん」
リリアとジャンは自分のコピーと会わなかったのだ。なぜかブーイングの声が上がった。
「私に芸術で勝つなんて100年早いわ」
その一言でどんな戦いかが、フィン達の頭によぎった。
「なぜ、そんな戦いに……」
それは誰にもわからない。わかるのはフリーズのみだ。
「くだらねぇ話は後だ。
おそらく、ジュプトル達は先にあの部屋に行っているだろう。俺達も行くぞ!」
「うん!」
一行は、元の部屋を目指して走り出した。
ドアを開け、廊下を走り、つまづいて転がって壁に激突しても、一行は走り続けた。
そして、ようやく元の部屋が見えてきた。
「見えた!あそこだ」
シンを先頭に、全力疾走していた。そして、シンが扉前で止まり、扉を開けようとした瞬間、突然勢い良く扉が開き、何かがシンを巻き込んで壁に叩きつけられた。飛んできた正体はディンだった。
「くそ……あの野郎!」
ディンはフィン達や巻き込んだシンにも気づかず、また部屋に飛び込む。
凄まじい攻防の音がしたため、部屋を覗いてみた。
ディンとクロウは物凄い砂煙を巻き上げながら、物理攻撃や電気技を繰り出していた。
そして、壁にはジュプトルとコウ、クレアやピッチが倒れていた。
いや、倒れているのではなく、攻撃に参加できずにいるだけだった。
「みんな……大丈夫?」
「ああ……俺達は……」
ジュプトルが声を発した。傷も浅く、大したダメージは受けていないようだった。
「……やはり、ディンが押されている……。もう……ディンの体力も……」
「そんな……(こんな時どうしたらいいの……お母さん!)
フィンは両手を合わせて握りしめ、目をつぶって昔を思い出していた。
その時、頭の中で、小さい時のフィンとフィンの母親であるベイリーフが木の下で座っているシーンが浮かんだ。そして、フィンの母親はフィンに歌を歌っているのだった。
それを思い出したフィンはハッとし、同時にディンも壁に吹っ飛ばされて叩きつけられ、倒れた。まだ起きあがろうとするが、なかなか起き上がれない。
「く……くそ……」
「ディン!!」
ディンが起き上がれないため、サン、ミミ、シン、フリーズ、ジュプトル、リリア、ジャン、ピッチ、コウ、クレアが戦いに参加した。フィンは目を閉じ、前足を組んで歌い出した。
「あなたがいるだけで、私は頑張れる〜♪
もし、会えなかったらきっと〜♪私はダメだった〜♪」
「ハァ……ハァ……この歌……」
戦っている最中のサンがフィンの歌に気づき、動きが止まった。
そう、サンは聞き覚えがあるのだ。
「なんだ?この歌……」
「あの歌は……フィンのお母さんがよく歌ってた歌……」
「私は、もう負けない♪これからは私があなたの力になるよ♪」
「………」
倒れていたディンは、フィンの歌で体力が回復した感じになっていた。
(なんだ……?この感じ……)
「さあ行こう〜♪敵は前にいる♪力を解放して〜♪」
(すげぇ……力が……みなぎってくる……! …たまに見かけるあれだよ、あれw)
※超適当に誤魔化しました。サーセン。突然、ディンが眩しい光に包まれた。
それを眩しそうに見る一行。フィンもそれに気づき、歌を止めた。
やがて光が消え、現れたのは……背中に真っ白な翼を生やし、体全体が光輝くディンだった。その光がシン達に降り注ぐと、シン達の体力が全回復した。
「すごい……体力が回復した……」
「あいつ……一体どうなったんだ……?」
クロウはディンを睨みつける。そして、ディンはクロウの前に近づいた。
「ふん……そんなので俺に勝つつもりか?」
「……あなたを倒すつもりはありません。
また封印します。今度は……簡単に解けないように」
なんと、言葉使いまで変わっていた。
「この俺を封印……?ふざけるな!!」
クロウは重いパンチをディンに叩きつけた。
しかし、ディンはそれを、右手だけで受け止めた。
「なに!?」
「あなたは私に勝てない……。もう、やめましょう」
そう言うとディンは、左手でクロウの額に触れる。
すると、左手とクロウの体が光り出し、クロウが苦しみ出した。
「う……ぐぁ……ぁ……」
「さようなら、もう、蘇らないで下さい」
そして、クロウは動かなくなり、ディン本体からは黒い煙が出てきて消えてしまい、ディンの体はそのまま倒れた。さらに、翼を生やしたディンは消えてしまった。
「ディン!?」
ここまで編集完了
フィン達は慌ててディンに駆け寄る。ピクリととも動かないディンを心配そうに見つめる。そして、数分後にようやく、ディンが目を覚ました。
「……ん……」
「ディン!」
「……みんな」
フィン、サン、ミミ、ジャンは、ディンに抱きつき、シンとジュプトル、コウは腕を組んで微笑み、フリーズ、リリア、ピッチ、クレアは涙を流していた。急に抱きつかれ、バランスを崩して倒れるディン。天井に空いた穴から太陽の光が射し込まれ、まるで平和を祝福しているかのようだった。
「ありがとな……みんな」
「うん……ディンが無事でよかった……」
さらに涙を流すフィン。
それを見て、ようやく戦いは終わったんだな……と、ディンは思った。
「さて、帰るか」
「うん!」
一行は城を後にし、自分達の居場所へと帰っていった。
そして、数ヶ月後……。
「アイアンテール!」
「リーフブレード!」
ディンとジュプトルが基地の前でバトルしていた。ジュプトルはSTARSに入っているわけではなく、たまに会いに来ていた。コウとクレアはまた店にもどり、ピッチやリリア、ジャンは自分達の大陸に帰っていった。謎の卵も未だに生まれぬまま。
「平和ね……。新しい島が見つかったらしいから探検しない?」
「うん!」
それを聞きつけたディンは、バトルを中断する。
「よっしゃ!ゼロの島だな?別れて行こうぜ!」
「うん!」
ディン率いるSTARSは、今日も探検するのだった ーーーーー