6 礼儀知らずの旅人って…
…一方、トレジャータウンの南にある海岸では……
「着いた着いた!この大陸ね」
「本当にやるの?」
船から降りてきたのは、ガーディ、ロコン、サンダース、ポチエナの四匹。
彼等は宝探しをするためにこの大陸にやってきたのだ。
「当たり前でしょ?この大陸には宝がいっぱいあるらしいし♪」
「ハァ………」
ルンルンしながら言うサンダース。ポチエナはため息をつく。
「でも、その宝はどこにあるの?」
ピタッとサンダースの動きが止まる。それを見た三匹は冷や汗のを垂らす。
「……そ、その辺のポケモンに聞けば大丈夫よ♪」
開き直るサンダースに苦笑いする三匹。絶対に教えてくれないな……と思っていた。
その時、左にある道からピカチュウ、チコリータ、イーブイ、サンダースがやって来た。
「ねぇねぇ、お宝ってどこにあるか知らない?」
「「「 本当に聞いたーーー!? 」」」
本当に聞いた事につい大声をあげてしまった三匹。
しかし、相手は、気にしていないらしい。
「あ?なんだ?テメェは」
シンが前に出て睨みつける。その行動がムカついたらしく、サンダースも睨みだした。
「何よ。ちょっと聞いただけじゃない!」
「何が『ちょっと聞いただけじゃない!』だよ!
初対面でいきなり宝の場所聞くなんて何様なんだよ!」
0距離で睨みつけるシンとサンダース。ディン達やガーディ達は、あまりの迫力に見入ってしまい、動けないでいる。
「く・そ・な・ま・い・き・な雄だな」(怒)
「な・ん・で・すっ・てぇ!!」(怒)
シンの言葉により、さらに怒りが増したサンダース。
「……サンダースちゃんは雌だよ〜?」
「ハァ!?こんな雄みたいな体つきでかぁ!?」
「………」(怒)
サンダースはどうやら、怒りで言葉が出ないらしい。
・・・それよりも、シンの言葉は物凄く失礼である。
「絶対アンタを許さない!!」
サンダースは、どこからかあるボールを取り出す。それを思いっきり投げ、豪速球がシンの頭に命中させる。
「いってぇぇぇぇ!?」
「ざまぁみなさい」
シンに命中したボールはコロコロとディンの足元に転がり、ディンはボールを拾う。
「ん!?……へぇ、野球ボールじゃん」
「や……きゅう?」
フィン達の頭には?マークが浮かんでいた。
「あ……お前等は知らなかったな」
「なんだ……?それは……」
「野球も知らないの?ダッサ〜イ」
シンが頭を抑えながら聞くと、サンダースが吹いた。
「仕方ないさ、野球なんてスポーツ…
…ましてはスポーツ自体、この大陸に無いんだからな」
サンダースは硬直…まさか、スポーツの無い大陸があるとは思わなかったのだろう。
「じゃあ……なんであんたは知ってるのよ?」
「ん?俺は元人間だからな。異世界の……な。
しかも、ポケモンの生まれ変わりでもある…信じるか信じないかはお前たち次第だがな」
さらに硬直する。そして、サンダースが吹き出す。
「……ぷっ。ア〜ハハハハハ!ありえな〜い!」
砂を叩いて爆笑するサンダース。当然の反応とも言える。
「てめ……そこまで笑わなくてもいいだろ……」
「いいさ、シン。帰ろうぜ。お前等も来るか?」
サンダースやガーディ達は顔を見合わせ…そして、ディン達の後を着いていく。
「えっと……自己紹介がまだだったな。
俺はディン。こっちがフィン、サン、ミミ、フリーズ、そして……シン……」
シンはまた、サンダースと0距離で睨み合っていた。
・・・・・・・・・しかも、さっきより殺気立っていた。
「ぐぬぬ……」
「この……」
気が合わないのか、睨み合いは激しい。さすがのディンも、冷や汗を垂らしている。
「お前等……そっちの名前は?」
「僕はディラス。そして、ロコンちゃんとポチエナ君、そして……サンダースちゃん」
名前を聞いて、ディンは首を傾げる。
「名前……は?ディラス以外は種族の名前じゃ?」
「僕は名前を付ける島で生まれたんだけど、ロコンちゃん達の島は種族が名前なんだ」
しかも、ディラス達の話だと、人間世界並みに技術・科学が発展してるらしい。
因みに、ポチエナは、シンとサンダースの睨み合いを必死に止めようとしている。
そして、もう見ていられないディンが、ある提案を出す。
「……なんなら二人で対決したらどうだ」
「「 対決? 」」
シンとサンダースの言葉が綺麗にハモった。思わず、吹いてしまうディン。
「こ……この先にある迷いの迷宮からガバイトの爪を取ってく。最下層にあるから」
「よっしゃ!」
「やるわ!」
そして、二人は勢いよく出て行った。スピードは、まさに互角。
「ふう……やっと静かになった」
どうやら、ただの厄介払いのようだった。
「……さっきの話なんだけど……」
「なんだ?」
ロコンはディンに質問する。
「さっき、元人間って言ってたけど……」
「ああ……俺は元々、この世界の生まれでな、約1000年前かなぁ…
…無実の罪で死刑になった……らしい、正直、あまり覚えていないんだ…」
「せ……1000年前!?」
ディラス達はそこに驚いた。だが、驚かない方がおかしいだろう。
「ああ。そして、1000年後に人間に転生し、中学の時にこの世界に戻ってきたんだ」
ディラス達三匹は唖然としている。
「学校では、成績トップ。世界ランクでもトップの学力だったんだ。あ、俺は理系だ」
「り……りけい…?」
ディンは自慢しているつもりはないが、しているような言葉を発した。
「ディラス君だって凄いんだよ?
成績はトップクラスで、有名な理系の高校から、推薦状が来たんだから」
「へぇ〜、それはすごい」
「す……すいせんじょう…?」
ディンは、素直に感心する。
ディラスは赤くなって照れ、フィン達は、意味がわからずポカンとしている。
「だったらさ、ディン君とディラス君とで学力の対決してみない?」
「え?」
ポチエナは、鞄から入試ドリルを取り出し、
基本計算、1・2次方程式、平方根・√などの問題が書かれた紙を二枚ずつ破る。
「どっちが問題を早く終わらすことができるか…ってこと。あ、問題は2人とも一緒だよ」
「俺はいいが……」
「僕もいいよ」
ディラスはディンとやってみたかったらしいが、ディンは乗り気じゃないらしい。
ポチエナはストップウォッチを取り出す。
「じゃあ、いくよ。目標時間は10分!よーい…スタート!」
ディンとディラスは勢いよく始めた。
その頃、ガバイトのウロコを取りに行ったシンとサンダースは……
「ちょっと待ちなさい!」
「待てと言われて待つ奴がいるか?バーカ!」
シンがやや優勢に走っている。口には、ガバイトのウロコをくわえて。
「はい、終わり」
「…終わったよ」
ポチエナはストップウォッチを止める。その時間を見て、愕然とする。
「ディ、ディン君がちょうど4分……ディラス君が4分5秒………」
「負けた……」
「4分か……チッ!スピード落ちたな」
ディンの言葉に、ディラスはさらに落ち込んだ。ロコンは唖然としている。
「お?帰ってきたな」
ディンが上へ出る階段前に立つ。なんの音がしないから、全員顔を見合わせる。
「「 ただいまぁ! 」」
ほぼ同時に滑り込み、同時に喋った。
「どっちの勝ち!?」
シンとサンダースは汗だくでディンに迫る。
ディンは目を閉じている。その間、シンとサンダースは息を整えている。
「うん……引き分けだな」
「ええ〜」
二匹はガクッと膝をついてしまった。確かに同時に帰って来た。
「ねぇ……?」
ミミが突然、ディンの腕を引っ張りだした。
「私にもその勉学っていうの教えて……?」
「あ、あたしも教えてほしい〜」
「あ、私も」
「私も……」
さらにサンとフィン、フリーズも参加してきた。
「わかった。じゃあ、最初の方の問題(+−×÷)のテストをしてみるか」
ディンは、ディラスと協力してテストを作り出した。
そして、そのテストをシン以外のSTARSメンバーが解きだす。
「なんであんたはやらないのよ」
「別にいいだろ」
「わかった!できないからでしょ」
「んだとぉ!やってやろうじゃんか」
サンダースにからかわれたシンは、すごい勢いで書いていく。
そして、全員が終わって採点していく。
「……ふ〜ん……一人覗いてかなりいいな」
「そうだね。内二人は、あと一門で百点だったね」
おお!という声があがる。シン以外はドキドキしている。
「えと……サンは61点、ミミは68点、サンダースは84点、シンとフリーズは98点!」
悔しがるサンと見せびらかすミミ、シンはサンダースに見せびらかす。
「どうだ!」
「ぐぐぐ……」
「そして……フィンは……18点……」
フィンはすでに点を聞く前から落ち込んでいた。
そして、サンとミミはディラスが、他はディンが教えることになった。
「ふぅ…これぐらいかな…ん、ディラス達、そろそろ行った方がいいんじゃないか?」
「え・・・あ!?やばい、予定よりものすごく遅れてる!」
「ハァ………」(2回目)
「そ、それじゃあね!またいつか〜」
「お、おう…またなー」
こうして、勉強会は終了…ディンが全然理解できていなかったのは言わなくても(ry