2 昔の仲間と……誰?
シンとフリーズが仲間になって数日後。
毎日の様にシンは連れてかれてるのか、少しずつ心に変化が起きていた。
最初は依頼者を殴ったりしていたが、しばらくすると、そういう行動はしなくなった。
「なってよかったろ?探検隊」
「……ケッ!悪さしてる方がずっといいぜ!」
依頼が終わり、基地に帰る途中。依頼者にお礼を言われ、照れて少し赤くなっていた。
ディンの言葉でハッとし、いつもの表情に戻った。
「ん?あいつら何してんだ?」
基地に戻ると、フィン達が外にいた。なんだか、少し慌ててる感じだ。
「どうした?」
「あ、ディン……ディンにお客様だよ……」
フィンの言葉に首を傾げた。何だろうと思いながらも、階段を降りていく。
そして、降り終えたと同時にピタッと足を止めた。
「……テメェ」
「お迎えに上がりました。プリンス」
…いたのはガルンだった。
ディンはガルンを睨みつけるが、ガルンは相変わらず膝まついている。
「俺はプリンスじゃねぇ!二度とあそこへ帰る気はねぇ!!」
「そのお言葉は直接大王様にお申し付けください」
「……ち」
ディンが怒鳴りつけるが、ガルンは冷静に答えた。
行ってやるとばかりに、フィン達の前に立つ。
「………悪い。しばらく留守にするから後は頼む」
「う……うん……」
ディンはガルンと共に基地を後にした。
去っていくディンの背中を見て、何か怒りがあると、フィンは思った。
ディンは、基地より北東にある島にやって来た。
そこには、大きい城みたいな建物があり、門を開けてスタスタと奥に行く。
最奥にある扉を蹴り破ると、奥の王座には、一匹のライチュウが座っていた。
「…ふぅ…帰ってきたか」
「ち……しぶとく生きてんじゃねぇか……クソ親父!」
プリンスと呼ばれるディンは、父親である王に、反発していた。
二匹ともお互いを睨み合っている。先に睨みを解いたのは王だ。
「千年ぶりなんだ。少しは感動したらどうだ?」
「感動してるね。てめぇがしぶとく生きてんのに感動してるよ」
父親にてめぇと言われ、少しピクッと耳が動く。
「ふん。生まれ変わっても相変わらずだな。
千年前の記憶は戻ってるらしいが………こっちに戻る気はないのか?」
「ない!それを言いに来ただけだ!」
ディンはクルリと振り返り、出口へと歩き出す。
「待て」
ディンは足を止めた。
「いいだろう。私の部下に勝てたら自由にしてやる。負けたらこっちに戻るんだ。」
その言葉に、ディンは口をニヤリとさせた。一気に振り返り、王に近づく。
「いいだろう!やってやるぜ」
フッと笑う王は、指をパチンと鳴らせた。
すると、大きな音を立てて壁が上に上がっていく。
出てきたのはブースターとエーフィだ。
「たいしたことないぜ」
「行け!コウ、クレア!」
その言葉に、ディンは驚きをかくせかった。
その頃、STARS基地では………
「あいつって元人間なのか!?」
「うん。一回は向こうに帰ったんだけど、またこっちに戻ってきてくれたの!」
嬉しそうに話すフィン達メス三匹。
どうやら、ディンの事を話しているらしく、シンは驚き、フリーズは落ち着いている。
「ち……人間なんかにやられるなんて最悪だぜ」
「シン……そんな事言っちゃダメよ」
フリーズに怒られ、そっぽを向くシン。
その時、外へ出る階段からヒトカゲがゴロゴロと転がってきた。
「いちち……」
「れ……レン?」
そのヒトカゲは、シーザスのレンだった。何やら慌ててる様子。
「おい!ディンはいるか!」
「ディ、ディンならガブリアスと出かけて………」
「クソ!もう接触したのか!」
そう言うと、再び走り出した。サンが慌てて止める。
「ちょ……一体どうしたの?」
「お前等も来い!ディンが危ないぞ!」
「え!?」
その言葉にフィン達は驚き、急いでレンを追いかけた。
「ハァハァハァ………」
息を切らしながらも走り、フィン達とレンのシーザスはディンがいる城に着き、城内へ。
次々扉を開けていき、ディンを探すがなかなか見つからない。
「ここか……」
最後の最奥の扉の前に立つ2チーム。
ゆ扉を開けると、一匹のピカチュウが立っていて、一匹のピカチュウが倒れていて…
「ディン………?」
「……おう!フィン達か」
立っているピカチュウが振り返る。それはディンだった。
ディンはゆっくりとフィン達に近づく。
「何でお前等がここに?」
「それは……」
その時、倒れていたピカチュウがディンに襲いかかる。
しかし、ディンは軽くかわし、ピカチュウはフィン達の前にヨロヨロと立つ。
「ふん。しぶといじゃねぇか」
「く……」
ヨロヨロとふらつくピカチュウの顔がチラッと見えた。
すると、こっちのピカチュウもディンだった。
「ディ……ディンが二匹!?」
ディンが二人いることに驚くフィン達。
「気を……つけろ……あいつは……俺の心の闇だ……」
フラフラするディンの言葉に、こっちが本物だということに気がつく。
「どういう……意味?」
「それは………」
ディンはこれまでの事を話し始めた。
「コウとクレアって……あいつらは死んだはずだ!」
ブースターをコウと、エーフィをクレアという王に、ディンは思い切り怒鳴る。
ディンの表情を見て、王はフッと笑う。
「確かにこいつらは死んだ。しかし、私がギリギリで魂をこちらに呼び寄せ…
コウをブースターの体に、クレアをエーフィの体にそれぞれ入れたのさ。」
「野郎………!」
拳を力強く握りしめ、体を震わすディン。その途中で、コウが火炎放射を放ってきた。
反射的にかわすディンだが、クレアのサイコキネシスで動けなくなった。
「ぐ……」
何とか左手だけ動かせるため、人差し指に電気を集める。
「勝負はありだな」
「まだだ!雷縄呪縛!」
電気の鞭が指先から出てきて、コウとクレアを縛る。
「……俺の勝ちだ」
「……ふん!流石だな。今ではこの私より強いとはな」
クスクスと笑う王に、ディンはイラッときた。
その時、王は杖をどこからか取り出し、先をディンに向ける。
とっさに構えをするディンだが、それは関係なく、杖の先から光が発せられた。
眩しさに目をつぶり、しだいに光が収まると、ゆっくりと目を開けた。
…………すると、自分が目の前にいたのだ。
「お……俺……」
「そうだ。ただし、お前の心の闇のお前だ」
「ち………」
舌打ちすると、闇のディンが襲いかかってきた。
ディンは思い切り吹っ飛ばされ、壁にふつかり、床に倒れた。
しかも、攻撃力はディンよりも上だった。
「ゴホ……この!」
ディンが十万ボルトを放つ。すると、闇のディンも十万ボルトを放ってきた。
力は完全に闇のディンが上で、ディンの十万ボルトはかき消され…
闇のディンの十万ボルトはディンに当たり、ディンはそのまま倒れた。
「ディンより強い………」
フィンは身震いした。それはそうだろう。
今いるメンバーで、一番強いのはディンなのだから。
すると、レンは不思議玉を取り出す。
「ここは逃げるぞ」
不思議玉が光り、闇ディンと王以外飛ばされた。
「ち……逃げたか」
王がそう言うと、体が灰になってしまった。
「今から俺が王だ。だが、同じ名前を持つのは二匹もいらない……」
そう呟き、闇ディンはこの場を後にした。
そして、STARS基地。偶然、不思議玉である、ワープ玉が全員をここに連れてきたのだ。
「ディン……大丈夫かな……」
「あいつなら大丈夫だ。仲間なら信じろ」
「うん……そうだよね」
ディンは、基地に帰ってきてから修行に言ったのだ。
フィン達には、情報を集めを託されている。一方、ディンは……
「………」
修行山の頂上で、一匹瞑想していた。
(あいつは闇だから光の力が必要……何とかしないと……)
ディンがいる修行山に一匹迷い込んでるポケモンがいた。
一方、STARS基地から東北東に行った所。
一匹のピカチュウ♀がボーゼンとしながら立っていた。
「なぜ……」
どこからか地図を取り出し、辺りを見渡しながら見る。
どうやら、船から降りる場所を間違えたようである。
「そのうち着くよね……」
そう言いながら歩き出した。しばらくして森の中。
確実に出口に向かってる途中、ピカチュウは前を歩いてるピカチュウを見つけた。
「なんでこんな所に?」
疑問を浮かべていると、ピカチュウがいきなりドラゴンクローで森の木を切り裂いた。
「え!?」
いきなりの事で驚き、ペタンと座り込んでしまった。
前のピカチュウは、クルリと振り向いた。
「ん?ピッチか?」
そのピカチュウはディンだった。ピッチは以前、ディン達の基地に来たことあるのだ。
んで、基地で雑談をしてディンの友人となったのだ。
※第1話の途中で入れる予定でしたが、忘れてました(大汗)
「ディンさん……どうしたの?なんか変……」
「そんなことないさ。それよりさ……死ね」
ディンは突然、切り裂くを使ってきた。ピッチはとっさに避けたが混乱している。
「ディンさんじゃない……!」
「ディンさ……ただし、闇のな」
その言葉を聞き、ピッチは逃げる選択をした。ダッシュで走り去り、闇ディンからは逃れた。後ろから物凄い爆発音が聞こえたが、振り向きはしなかった。
一方、STARS基地では………
「だ・か・ら・な・に?」
「………」
一匹のフライゴンを尋問しているサン。周りでは、冷や汗を垂らしながら見ている。
「なんであたし達の基地の階段を火炎放射ですべり台にしたのかしら?」
笑顔で怒ってるから、よけいに怖い。階段があった場所も、今では綺麗な坂がある。
「あれはワザとじゃ……」
「言い訳はしない!」
「え〜!」
フライゴンももはや半泣き状態である。フィンがフライゴンに駆け寄り、慰める。
「サン……やりすぎじゃない?……ワザとじゃないなら、今度から気をつけてね?」
「……あり……」
「うわ〜〜!」
フライゴンがフィンにお礼を言おうとしたら…
なんと、坂からゴロゴロとルカリオが転がってきた。突然のことで、全員驚いた。
「……痛い」
「全く……ヘタレなんだから……」
今度はディンがスーッと滑ってきた。
「ディン!あれは習得できたの?」
「いや……ダメだった」
全員がため息をつくと、フライゴンはキョロキョロして首を傾げる。
「……で、そいつ……誰?」
「コイツは階段をすべり台にしたフリー。」
「なんか…ニートみたいな奴だな…そっちのヘタレのルカリオは?」
ルカリオとフリーの心に何か刺さった。
「コイツはレイ。世界一って言っていいほどのヘ・タ・レ。」
レイには、さらに何かが刺さり、泣きながら倒れた。
「そこまで言わなくても……」
レイの周りには、涙の水たまりができていた。
その姿を見て同情したのか、フリーがレイの肩をポンと叩く。
「しかし……何でヘタレのルカリオとバカのフライゴンが来るのかしら」
サンの一言で心にダメージを受けたレイとフリー。二匹共、涙を流している。
「あと、強い仲間がいれば……」
「こんにちは〜」
入ってきたのは、ピッチとリリア一行だった。
リリアはニコニコしているが…
ピッチは、顔は笑ってるけど、うかない感じをしていた。
「お前ら……」
「ディンが帰ってきたって聞いたから来たの」
リリアの言葉で、ディンはニヤリとした。
「よっしゃ!これで仲間は十分だ!」
ディンのガッツポーズを見て、リリア達は首を傾げた。
「どういう意味?」
ディンは、リリア達に全て話した。すると、リリア達の表情が驚きの表情に変わる。
「ディンがプリンスで……」
「闇のディンが出てきて……」
「しかもディンより強いカー?」
ディンは頷く。リリア達は周りを見ると、フィン達はうかない表情をしていた。
「それで……私達も戦うの?」
「頼む!お前らを抜いたんじゃ、きっと勝てねぇんだ」
「……わかったわ」
リリアの答えにディンはパッと明るくなる。
そして、素早くリリアの手を握ると、リリアは顔を少し赤くした。
「恩にきる!」
「問題は……その闇のディンがどこにいるかね」
「私……知ってる」
答えたのはピッチだった。
その言葉を聞いた全員は、一斉にピッチ見ると、ピッチはビクッとした。
次回、【第3話 やっぱりヘタレはヘタレでした】
レイ(ヘタレ)「サブタイトルが…と、いい加減に名前の横のやつ、消してください…」(涙目)