6 探検隊、シーザス登場
場所:ギルドB2Fいつもどうりの朝が来た。夏なのかは解らないが、かなり暑い…。
「起きろーー!朝だぞーー!」
「…もう朝か…」
「早いね」
(無音)
「眠い…」
「…」
普通の起き方をされて、ショックを受けるドゴーム。
いつもの朝礼を済まし、今日は掲示板から探せとぺラップから言われ、地下一階に進む。
「今日はサン休み!ミミは俺たちと来い!」
「うん!」
「え〜…なんで?」
ミミはうれしそうだが、サンは不満そうだ。
「サンとミミは、交換で連れて行く。フィンは、俺のパートナーってことで絶対連れて行く」
「なんで、フィンがパートナーなの?」
「最初に洞窟に行ったし、こいつから誘われたから」
正当な理由である。
しばらく、サンからのブーイングを受けたが、気にせずトレジャータウンに向かった。
場所:トレジャータウントレジャータウンにやってきた3匹。
「あれ?なんだろ…?ってあれ?ディン?」
「フィンちゃん、あそこ」
銀行と連結店の間にポケモン盛りがあった。すでにディンはポケモン盛りの中に割り込んでいた。
「うわぁ…」
「なんだ?この集まり…」
前の方に出ると、カイリキーがルリリを襲っていた。
「三千ポケだぜ?さっさと出せよ!」
「でもでも…これ、お買い物のお金で…」
「うるせぇ!とっとと出せ!」
「(うわぁ…また襲われてるよ…しょうがねぇな…)て…」
「やめろ」
「あん?」
「え?」
声の主はヒトカゲだった。しかも、すごい強気な。
「なんて言った?」
「やめろと言ったんだよ。このノーテン野郎!」
ザワザワ………。周りは、ざわついている。
「おい…あいつ、レンじゃないか?」
「あの、【チーム:シーザス】の?」
「レン?シーザス?」
ディンは知らないようだ。まぁ、元人間だから当たり前だが…。
「この…」(怒)
カイリキーがレンというヒトカゲに襲いかかった!
「火炎放射!」
「あっちゃ〜〜!」
カイリキーは燃えながら逃げていった。
「大丈夫か?」
「う、うん…ありがとう!」
「ああ…ん?」
ディンとレンの目が合った。
「?」
レンは、ディンをジロジロ見てくる。
「な、なんだよ…」
「お前がディンだな?」
「な、なんで俺の名を…」
「噂は聞いてるぜ?強いんだってな?」
「知らぬ…」
「俺も探検隊やってんだ。基地によんないか?」
ディンはフィンとミミをチラッと見た。
「ワリィが今から仕事があるからな…」
「そうか…じゃあ、仕事が終わってからでいい。基地に来てくれ。話したいことがあるから」
レンは去った。
「何だ?あいつ…」
「どうしたの?」
「あのポケモンと何話してたの?」
「別に…早く買い物して行くぞ」
「う…うん…」
(帰りに行ってみっか…)
疑問を感じながらも、仕事に取り掛かった。
場所:ギルドB1Fレジャータウンで買い物を済ませ、掲示板前にやって来た三匹。
「あれ?」
「あ…」
掲示板前には、ドガースとズバットがいた。
「ケッ!なんでお前達がここに!」
「そりゃあ私達は探検隊だもん。あなた達は何でいるの?悪さして、お尋ね者になって、別の探検隊にやられて、牢獄に行って号泣してたんじゃないの?」
「フィン…少し腹黒くなったか?」
ディンは、冷や汗を流しながら思った。
「人聞きの悪いこと言うな!!俺達だって探検隊なんだぜ」
「あなた達が…」
「誰?」「前にフィンのかけらを奪った奴らなんだ」「あの時はリーダーがいなかったからな」
「リーダー?お前等にリーダーなんていたのか?」
「いるのさ…お前等なんか…あ、リーダー!」
ちょうど、リーダーがやって来たらしい。現れたのはスカタンクだ。
「ククク…仲間に何か用か?」
「あ?偉そうに…」
「リーダー!コイツ等倒してください!」
「こんな奴らも倒せないのか?しょうがねぇな…」
スカタンクは、大きく息を吸った。
「まさか…コイツの攻撃って…」
思いっきり息を吐くスカタンク。ディン達は、スカタンクの吐いたガスに包まれた。
「やだ!臭い!」
「やだ〜!?臭い臭い臭い臭い〜!」
「ククク…」
ガスが消え、出てきたのはピンピンしているディンと倒れているフィンとミミ。
「な…」
「あ〜…体がくせぇ…」
「おい!なぜ俺のガスを喰らって平気でいる!」
「ガスなんだから息を止めていた」
「そういえば、俺の毒ガスも…」
「く…引き上げるぞ!」
スカタンク達は、逃げ出した。
「やっぱり弱かったか…」
「まだ臭うよ…」
「最悪ぅ…」
「温泉よろうぜ…それから行こう」
「うん…」
「早く入りた〜い」
素早く依頼を決め、温泉に駆け込んだことは言うまでもない。
温泉に入ってから依頼をクリアした帰り道…
場所:交差点(東)「くそ…今日はめんどくさかったぜ…」
「そうだね…依頼があった滝壺の洞窟と温泉は、逆方向だもん…」
「もう疲れた…」
ぐったりとしているSTARS三匹。
「ん?なんだ、あれ?」
猛スピードで何かが近づいてくる。しかも、何かを抱えている。
「何?今の…」
「なんか…青い歯車っぽい物を抱えてたぞ…」
「よく見えたね…ペラップに報告しとこうか…」
目が良いディンにフィンが感心する。ギルドに戻ると、なんだか騒がしかった。
「どうしたんだよ?」
「ああ…時の歯車が盗まれたんだ…」
ペラップがあわてた顔で言ってきた。ディンは、首を傾げる。
「時の歯車?」
「時の歯車っていうのはね、時を動かすのに不可欠な歯車なの。森や鍾乳洞…火山にもあるらしいの…って、ええ〜〜〜〜〜!?時の歯車が盗まれたの〜〜〜〜!?」
ズル…反応が遅いフィンに周りがこけた。
「おせぇよ!」
「…とにかく大変なんだ…」
「…ん?歯車?」
ディンが何かを思い出したようだ。
「どうした?」
「なぁ?時の歯車を取ると時が止まるんだろ?その場所はいくつ?」
「確か…二カ所だ」
「じゃ、ピッタリだな」
「なにがだ?」
「帰り道に歯車を二つ持った奴とすれ違ったんだ」
「ホントか!どこに向かった?」
ペラップがディンの肩を掴む。
「たしか…あっちよね?」
ミミが指を指す。
「な…向こうはまだハッキリしていないダンジョンがあるところじゃないか」
「あ、そうなん?」
ペラップが考えごとを始めた。
すると、急いでプクリンの部屋に入っていった。
「何話してるんだろ…」
「さぁ…」
しばらくすると、二匹一緒に出てきた。
「全員集合〜〜〜〜!」
ペラップの呼びかけに、弟子達が集まってきた。
「明日、遠征に向かう!全員でだ!」
辺りがざわめく。
「どうやら犯人は、濃霧の森に向かったらしい」
「濃霧の森だと!?」
ドゴームが叫ぶ。
「よって各自、今のうちに準備すること!明日朝早くに出発する!解散!」
弟子達は、ダッシュでトレジャータウンに向かった。
「俺達も行くか」
「そうだね」
また、STARSもトレジャータウンに向かった。
場所:トレジャータウン次の日の遠征に備えて、トレジャータウンにやってきた2匹。
ちなみに、サンとミミは留守番。
「ちょっと買い物一匹でしてきてくれるか?寄る所があるから」
「いいよ」
買い物はフィンに任せ、仕事に行く前に会ったシーザスという探検隊の基地を訪れる事にした。
場所:シーザス探検基地「ここか…」
そこには、立派な基地が建っていた。戸惑いながらも、ノックをするディン。
「はぁーい」
ガチャとドアが開く。出てきたのはアチャモだった。
「あら?あなたは…」
「あ…俺、レンという奴に言われて来たんだが…」
「レンならいないわよ」
「ハァ!?」
自分から誘っておいて、いないというお約束。
「誘っておいていないって…」
「レンは方向音痴だから…入って待ってて」
「あ、ああ…」
ディンは中に入る。中は結構広かった。とりあえず、椅子に座る。
「お?来たのか」
姿を現したのはフシギダネとリーフィア。
「え〜と…全部で何匹いるんだ?」
「え〜と…五匹」
と、アチャモが答えたと同時に扉が開いた。
「いや〜…迷った迷った…」
レンが帰ってきた。
「おかえり。今日はどこまで行ってたの?」
「なぜか迷宮の洞窟まで…」
アチャモの問いに気楽に答えるレン。
「このバカトカゲ…」(ボソ)
「あ?んだとコラ!もう一回言ってみろ!」
「バカトカゲ」
「誰がバカトカゲだーーーーー!!」
レンとフシギダネの喧嘩が始まった。
「ちょっと…やめなさいよ」
「気にしないでね?いつものことだから」
止めに入るアチャモに対して気にしないリーフィア。
一時間後。ようやく落ち着いた。
「ごめんね…」
「いや…こっちにも似たのが二匹いるから…」
もちろん、サンとミミのこと。 (←おいw)
「まず自己紹介からね。あたしは、アチャモのユウナ」
「リーフィアのリン」
「…レン」
「…クリス」
不機嫌な状態でレンとフシギダネのクリスが名乗った。
「もう一匹…ブルーがいるんだけど…」
「どこにいんだよ?」
「仕事中で…」
「あ…そう…」
笑いながら答えるユウナに苦笑いするディン。
「で、話ってなんだよ?」
「えっとね…あなた、元人間でしょ?」
ユウナの言葉にディンは驚いた。
「な、なんでそれを…」
「単刀直入に言うとね…」
ゴク………。ディンに緊張が走る。
「私達も元は人間なの」
「…は?」
予想外の言葉にディンは驚く。
「気がついたらポケモンになってたのよね…」
ユウナが繰り返すように言った。
「あ…えっと…その…」
驚きのあまり、言葉が出ないディン。
「あたし達は、なんでポケモンになったかは知らないけど…あなたは多分、ある使命を追ってポケモンになったと思うの」
「ある使命って?」
「さぁ?」
ズル…ユウナの言葉にコケるディン。
「俺達がやれるのはお前のサポートだ!どうやって人間に戻るかは自分で考えるんだな」
クリスが言葉を挟んできた。ディンは言葉が出てこない。
「話したいのはそれだけ。準備があるんでしょ?もう行ってもいいわよ」
ディンはゆっくり頷き、外に出た。
「…急すぎたかな?」
「大丈夫だろ?いくらなんでも」
ユウナは心配しているがレンはしてないようだ。
「ちっとは心配しろよ…バカトカゲ」
「んだと!この死にガエル!」
「あ?誰が死にガエルだ!」
「ま〜た始まった…」
「まぁ、ケンカするほど仲がいいってことよ…」
場所:交差点一方、ディンは…
「まさか…俺の他にポケモンになった奴らがいたなんて…」
ショックを受けていた(笑)
「ディ〜ン!」
「ん、フィンか?」
買い物袋を抱えて走ってきた。
「大丈夫?元気ないよ」
「大丈夫!」
心配そうに見つめるフィンに元気を見せるディン。
「買い物終わったのか?」
「うん!いっぱい買っちゃった」
嬉しそうに袋を抱える。
「んじゃ帰るか」
「うん」
場所:ギルドB2F二匹は、ギルドに戻り………。
さっさと寝るはずだったが………。
二匹は吹っ飛んだ。なぜなら、すごい衝撃波を受けたからだ。
「な、なんだよ!帰って早々!」
「何かあったのかな…」
二匹は親方様の部屋に向かった。そこには、弟子達やペラップが倒れていた。
「な、なにがあったんだ?」
「サンとミミが…」
フラフラとペラップが立ち上がった。
「サンとミミが…親方様に『あたし達も行きたい』と言ったら…親方様がハイパーボイスを…」
改めて見回すと、サンとミミが倒れていた。ついでに耳から赤い液体が流れている。
「大変!」
「…ったく」
サンとミミを背負って、部屋に向かう二匹。
「で?なんであんなことを?」
「だってぇ…あたし達も行きたかったんだもん…」
「サン…今回のは遊びじゃないんだよ?」
「フィ、フィンに言われなくてもわかってるわよ!」
フィンに言われて怒鳴るサン。
「とにかく…俺らは今、弟子だ。だからプクリンの言うことは【絶対!】いいな?」
「はあい…」
このあと、渋々眠ったサンとミミでした。その頃、ディンとフィンは…。
「え?それ本当?」
「ああ…」
ディンは、シーザス基地での事を全て話した。
「ディンの他にもいたんだ…人間からポケモンになったの…」
「…」
二匹は、驚きを隠せずにいた。特にディンは。
「…ディンはどうするの?」
「ん?」
「方法…探すの…?」
フィンは、悲しそうな表情で聞いた。前も似たような質問をしたような気がする。
「…」
「あ、ゴメン…余計混乱させて…」
「俺は…」
ディンが口を開いた。
「俺は正直…最初は帰りたいと思っていた…」
フィンは、悲しくなった。前とは気持ちが違うから。
(そうだよね…ディンは…人間だもん…戻りたいのが当たり前だよね…)
「でも今は…」
フィンは顔を上げた。
「この世界で暮らしてもいいと思うんだ…。これからも…」
「なんで…?」
「え?」
「ディンは、人間なんでしょ?戻りたいとは思わないの?」
目に涙を溜めながら叫んだ。
「なんだ…?俺に帰ってほしいのか?」
「ううん…帰ってほしくない…ずっといてほしい…」
ディンは、立ち上がり窓の外を見る。
「…俺はバトルする方が合ってるような気がすんだよ。人間じゃ技は使えねぇからな」
「じゃあ、約束だよ…?どこにもいかないって」
「いいぜ!これからもよろしくなパートナー!」
「…うん!」
涙を拭いて、元気に笑顔で返事をするフィン。
「さ〜て…吹っ切れたところで寝るか…」
「そうだね」
二匹はグッスリと眠りについた。
(自分でいうのも何なんだけど、本当に仲いいなぁ………。 by318)