第一章
6話:強くなれ!
「行きます!カイ先輩!」
チコリータ、カナの頭の葉っぱが光る
    ヒュッ!ヒュッ!ビュン!
3つの木の葉の形をしたエネルギーがリザードに飛ぶ
はっぱカッターである
「はっ!とっ!」
命中率が高い技のうえスピードもあるが、リザードは全てかわす
「うーん・・やっぱり先輩にはまだ当たらないか・・」
「こちらもっ!、ハッ!」
シュッ!
かなりのスピードでカイはカナに接近する
 ビュン!!
そのまま蹴りを繰り出す
「うわっ!」
避けたものの空気を切る音が強い
「(すごい・・リョウよりかなり速いし・・威力もある)」
「おい、とまってちゃダメ」
軽く笑みを浮かべながら小声でカイが呼びかける
「(そうだ・・動きを止めるのはいけないよね)」
カナが後ろに下がって間合いを取る
「(良い目してるぜ・・次いくぞ!)」
  ボボボゥ!
カイは【ひのこ】を繰り出す
「(新人戦の時はよく見ないで突っ込んじゃったから、今度こそしっかり見て、ひきつけて、マイ先輩に教わった通りにやれば・・まだ早い・・・今だ!)」
  サッ!
【ひのこ】が当たるギリギリで身をかわす
「つるのムチ!!!」
2本のつるがカイに伸びる
「何の!」
やっ!と自分に襲い掛かるつるをカイは地面を蹴りジャンプしてかわす、ジャンプの高さは約2m
「えっ!?」
さすがにこんな動きはどう対応するか、カナは戸惑う
「でりゃあ!!」
そのまま脚を突き出し、急降下する
「あっ!?」
「おいっ!?」
観戦していたリョウとレンも声をあげる
ドカァ!!!
「うわぁっ!!!?」
リザードの19.0kgの体重をかけて放った飛び蹴りを受けた6.4kgしかないチコリータの身体は思い切り飛ばされる
カイがはっとする
「しまった!つい思い切りやっちまった!大丈夫か!?」
「カナ!?」
「大丈夫!?」
「うう・・・」
3匹揃って駆け寄った
10分後・・
「本当にごめん」
「いいえ、カイ先輩、トレーニングでも先輩には全力でつきあってほしいので気にしませんよ」
「そうですよ、俺達には全力でかかってこい!とか言っておいて先輩達が手抜いてたんじゃ少しずるいですよ」
「あはは、でも俺達まだ2年目だからよーテクニック自信ないんだよー万が一って事あるし」
つまり多少セーブしないと危険ということである
「よし、今レンとバトルの感想まとめてたんだが」
とカイが切り出す、なぜレンは説明しないのかと言うと、こういうのを話すのはカイのほうが上手いからである、レンだとふざける可能性があるので
「リョウ君・・」
「あ・・『君』つけなくて良いですよ呼び捨てで結構です」
リョウが口をはさむ
「あ、ゴメン、気になってた?(なんか10分も経ってないのにまた謝ったぞオレ・・)」
「なんかやりずらくて」リョウが頭をかきながら言う
「私もちょっと」カナも言う
「ほらー!だから俺は呼び捨てでいいだろって言ったのにー」レンも言う
どうやら後輩君つけはカイの案だったようである
「じゃ、リョウ」
「はい」
「パワーあるし、受身とかもしっかりとれてるし、フィントとか相手嵌める技術も良いと思う、基本的な動きをもっと磨けば強くなれると思うぜ・・リザードが言うんだからまちがいない」
「はは、そりゃそうですね」
ポン!とリザードは笑顔でヒトカゲの肩に手を置いた
「次にカナだけど」
「あ、はい」
「技の発生速いし、技のスピード自体も速いし、命中も良いと思う」
「でも、元々はっぱカッターは命中率高い技ですし・・まだ良く使えるレベルには達して無いと思うんですが」
カナはカイが自分の良い所を見つけられず無理にほめているのではないかと不安になっていた
「いいや、ほら」
ぐいっとカイは自分の腕を見せる
「え?」
皮膚の色が赤いためかなり分かりにくかったが確かに切り傷があった
「スピード速くて軽くだけどちゃんと当たってた」
「そうなんですか」
「すごいじゃん、カナ、先輩相手に」
「でもかすっただけじゃ威張れないよ」
「新人戦の時、5年、ゴールドのマイ先輩にPBEの事やポケモンバトルの技術を教わったんだろ?」
「はい、丁寧に教えてくれました」
「あの人も技の命中やスピード、テクニックはここのPBEでもかなり高いからさ、その辺の事結構教えてくれたんじゃないか?」
「はい、確かに技の軌道が直線的すぎるとか、かなり細かく」
「だろ?だからその辺は向上してると思う、そこを磨けば強力な武器になるよ」
「はい!頑張ります!」
カナは元気に答える
「よし!レン!、後は総合的なトレーニングに移るぞ」
「ああ」
「「総合的・・・?」」


はっ!やっ!
ヒトカゲとリザードが同時に拳を突きだしている
「リョウ、もっと腰を入れて」
「こうですか、はっ!」
「良い感じ!」

「4足型ポケモンは2足型より小回りが利くししっかりとバランスが取れる、技を当て易い、だからその辺を意識して立ち回って」
つるのムチを避けながらマグマラシが言う
「たいあたり!」
ドカッ!
マグマラシにぶつかるチコリータ
マグマラシは軽く宙を舞う
「上等上等!こんなふうに攻撃喰らった体勢を利用したりも良いテクだぜ、観客も盛り上がるしッ!」
ボボボボゥ
チコリータの頭上からひのこが襲う
「くっ!」
何個かが命中する、チコリータは草タイプなのでひのこのダメージが大きい
「かわいそうだけど、喰らって技の対処覚えるのも良い方法なんだよ」
「そうなんですか?」
「俺もまだ2年だけど色々なタイプの技喰らったしな、後ちょっと失礼だけど、たいあたり、重かったよ」
「・・・・あっ」
理解に数瞬を要する
バシッ!
直後つるがマグマラシの頭にヒットしたのであった
そして60分経過
「おーい一旦休憩しよう」
カイの声が飛ぶ
「ふぅ・・・」
4匹集合する
総合的トレーニングとは言ってもリョウとカナが新人戦の際坦当の5年の先輩に受けたトレーニングとほとんど変わらない
「2年はな今回のバトルの指導については、特に何をしなさいとは言われて無いんだ、自分のできる範囲で色々自由に教えて、後輩を強くしなさいと言われたよ、やっぱ基礎大事だからさ、その他の事も後6日じっくり教えるよ」
バトルの練習期間は一週間なのである、このぐらいかけないと最高の実力が発揮できない
「なるほど、5年の先輩も自由に自分の技術やPBEの事教えてくれましたけど」
「まっフリーな職場だな」
「ところでさ、反応見るに2人は俺達の事知らなかったんだよな?」
2人のPBEの階級は下から2番のセカンダリ、リョウとカナは最下級のプライマリになったばかり
「はい・・昔はセカンダリとか見てましたけど、最近は高いレベルのしか見なくなってて」
「俺は、あまり会場に来ること無くて、テレビで観てましたから」
「ブロンズからじゃ無いとテレビ放映のバトル無いからな」
などという雑談に応じる4匹
「でもさ、ふらっと聞いたけど新人戦で君達のがあの日、結構反響良かったって言うじゃないか」
「そうらしいんですよね、私びっくりしました」
「まぁがんばったとは思うんですけど」
ちょっと照れるリョウとカナ
「(うへーっ、やっぱヒトカゲとチコリータとして見れば可愛い・・・俺達とひとつしか年変わらないのに・・・・)」
レンとカイは心の中でそんな事を思ってしまった

「よし!もうそろそろ再開しよ!」
「「はい!」」


ゴクエン ( 2015/01/14(水) 03:03 )