カントー日報『灯火』@
Q 趣味の延長線上ではありますが、私はパートナーであるマダツボミと一緒にシンオウ地方でコーディネーターとして活動しており、特に『たくましさ』部門によく参加しています。
私としては、彼のしなやかな身体から豪快に繰り出される『どくづき』や『たたきつける』は、ハリテヤマやカイリキーにも負けないたくましさを持っていると思っています。ですが周りになかなか理解されず、評価されていないのが現状です。
コンテストにそこまで詳しくない夫や子どもたちにも「マダツボミで『たくましさ』は難しいのではないだろうか」といった趣旨の事をよく言われます。大切なパートナーであるマダツボミを理解されない自らの力不足が悲しく、今後の参加を取りやめるべきかと考えることもあります。
今月より相談員の一人に加わられたモモナリ選手は『うつくしさ』部門のアズマオウや『かわいさ』部門のゴルダックなど、独特のセンスながらハイパーランクという高水準のランクで結果を出しておられます。是非とも助言をいただきたく投稿させていただきまし。(30代 主婦)
A 恥ずかしいなら辞めればいいし、見せびらかしたいなら続ければいいし。
僕のゴルダックがミクリ、オーノ、ルチアの合同チームによるプロデュースで『かわいさ』ハイパーランクを優勝したのは記憶に新しい出来事だね。
僕も帰国後に映像を確認したんだけど、例えば『みずのはどう』を失敗した後に、まるでそれがなかったことのように気丈に振る舞う彼を見て、なるほどこのような『かわいさ』があるのかと驚いたことを覚えている。後でオーノに話を聞くと、どうもそれらのミスや強がりも彼らチームの演出であったらしく、なるほど奥が深いものだと感心したよ。
当然、そのような演出は誰しもができるものではない、コンテストに精通している彼らチームがあってのものだし、その演出を渋々ながらもこなすことのできるゴルダックの器用さがあってのもだろう。つまり『かわいさ』一つをとっても様々な見かたと可能性があるということだ。
僕とアズマオウのペアにしても、残念ながらその見た目で『うつくしさ』を評価されることはあまりなかった。だけど僕達は技の規模と精度で『うつくしさ』を見せつけて優勝することができた。
この二つに重要なことは、例えばミクリさん達はゴルダックに『かわいさ』があると信じていたことと。僕はアズマオウが『うつくしい』と信じていたことだ。
残念ながら僕のセンスは、現代のコンテストの主流からは離れてしまっている。だけどそれは裏を返せば『うつくしい』とか『かわいい』などの形容的な要素は、その時間によって変化する可能性もあるということだろう。時間が経てば、あなたの思う『たくましい』が時代の主流になる可能性だってある。
だが、最も大切なことは、そもそもあなたはどうしてコンテストに出るのか。ということだ、お便りを見る限り、あなたはマダツボミを『たくましい』と信じているし、それを理解されたいと思っている。
それならば、そもそも辞める必要性が全く感じられない。あなたはあなたの思う『たくましい』を存分に見せびらかせばいい。あなたがあなたの思う『たくましい』を恥じる必要などないだろう。
だけど、それが理解されないことが辛かったり、恥ずかしいと思うのならば参加を辞めればいい、ただそれだけのことのように思うよ。
それはあなただけの問題ではなく、マダツボミの気持ちも汲んでやらなければならない問題だ、もし彼が、ほんの少しでもその場で振る舞うことに苦痛を感じているのだと感じたのならば、あなたがどれだけ彼を見せびらかしたかったとしてもそれは控えるべきだ。
僕のアズマオウだって、ああ見えてあの場では結構ノリノリだったものだし、ゴルダックはまあ、まあ、ね。
それに僕としては、マダツボミにだって『たくましさ』はあると思う。ポケモンも人間も、その大体は『たくましい』ものだよ。
(リーグトレーナー モモナリ・マナブ)