『週刊ポケモン生活 第〇0号』 事件とチャンピオンについて
僕の姿をニュースで確認した読者の方も多いかもしれませんが、とりあえず、僕は無事です。ご心配をおかけしました。
御存知の通り、先日ガラル地方のシュートスタジアムで非常に痛ましい事件がありました。詳しいことはニュースや新聞に任せるとして、とにかく大変な事件でした。
僕はその鎮圧に協力したとしてガラル地方から特別に表彰されたわけだが、あれだけの事件があったにもかかわらず死者が出なかったことは不幸中の幸いであるし、ガラルジムリーダー達の危機管理能力と、その実力が素晴らしいものであることの証明だと思う。微力ながら僕もその助けになれたとしたのならば非常に光栄だ。
彼には彼なりの考えがあったのだろうけど、賢い人の考えることはよくわからない。僕は少し彼と話したけれど、あんな事件を引き起こす極悪人には見えなかったし、人のためになることを考えている人だったように思う。
とにかく、ガラル地方に一日でも早くいつもどおりに日常が戻ることをハナダシティから祈ります。
さて、御存知の通り、先日僕はガラル地方シュートスタジアムでのエキシビションマッチに招待されていた。対戦相手は当時ガラルリーグチャンピオンであったダンデ君だ。
ポケモンの規制によってメンバー集めに苦労したが、それでもいい試合が出来たんじゃないかと思っている。
ダンデ君は文句なしの実力者だったし、尊敬すべき人格者でもあった。彼はガラル地方全体のレベルを引き上げたいと心の底から思っているようで、今回のチャンピオン交替劇に関してもポジティブな考え方をしているようだった。
最も、その奥底には屈辱であったり後悔であったり、自身に対する怒りなどはあるだろう。そういう気持ちを持っていなければ、チャンピオンという立場を何度も防衛する事はできない。まあこんなことをチャンピオンになったことのない僕が言ったところで何の説得力もないだろうが、無関係な僕ですらそう思うのだから、本人はきっともっとすごいのだろう。多分。
僕が少しだけ心配なのは、ダンデ君がそのようなネガティブな感情を極力表に出さないようにしているように見えた事だ。
今は難しい時代だ、悔しさから来る皮肉を一つでも呟いてしまえば。それが悪意を持った本心として広がってしまう。昔にもそんなことがなかったわけではないが、今はそのスピードが段違いなように思う。
だからこそ、彼にはその感情を上手くコントロールしてほしいし、彼と彼の友人たちならばそれができるとも思っている。
遠く離れたハナダにも、ダンデ君のファンがいる。
いつか彼が疲れることがあったら、いつでもハナダに来てほしい。
また戦いたいと思える良いトレーナーであり、若者だった。