25-夏の終わりに振り返る
フカマルとゴルダックを連れて海に行った。
フカマルは砂浴びが好きなポケモンである。キャッキャ言いながら潜ったり泳いだりを繰り返すその姿は非常に愛らしく、あれがああなっちゃうのかと思うばかりである。
ゴルダックは久々の波を楽しんでいた。夏場は海水浴客が多くなるから、僕たちは遠慮していたのである。
湖風に肌寒さを感じ、夏も終わりだなあと思った。
この夏の一番のニュースといえばやはりシルフトーナメントだろう。色々と話題になったのを記憶している。
まず、ベスト8の半分が下位リーグのトレーナーだったのは初めてのことだろう。内訳は僕、オグラ、クロセ、シンディアだ。残りの四人はキシ、ワタル、イツキ、カリンである。うーん、凄いメンツである。
オグラ、クロセ、シンディアは本戦一回戦でAリーガーを倒しての堂々ベスト8である。ちなみに僕も新鋭Bリーガーのシンを倒している。僕を馬鹿にするのはシンちゃんを馬鹿にすることなのでそこの所気をつけるように。そもそも僕は前年度唯一のBリーガーベスト4なのでそこのところは考慮すること。
ベスト8で僕はキシ君と対戦することになった、なんと相手は現役のチャンピオンである。しかしながらそんなことで怯む僕ではない、むしろこれはチャンスである。
このエッセイのファンの方なら分かるだろうが、結果は僕の負けである。負けと言っても多少食らいついた負けである。そこのところは画面の向こうのファンの方々にもわかっていただけたと思う。
オグラ君とクロセ君の若手対決はクロセの勝ち、しかし負けてあれだけ歓声をもらえるのは今のトレーナーならオグラ君くらいだろう。
シンディア氏とカリンさんの国際べらぼうにイイオンナ対決はカリンさんの勝ち、これは静かな展開の名勝負だった。なんとか攻めこませてカウンターを狙いたいシンディア氏、ジリジリとジャブでダメージレースを有利に進めシンディア自ら動かざるをえない展開にしたカリンさん、またそのまま押し切らんとするシンディア氏の攻めの動きも非常に洗練されており、さすがはヒースコート氏の戦いを良く知るだけのことはある。若手のトレーナーはこの試合を夢に見るくらいには鑑賞するべきである。
これは僕個人の意見ではあるがはっきりと断言する。この戦いを楽しめないイッシュのポケモン協会は大損をしている。いつか必ずシンディア氏の存在の大きさに気づくはずである。その時にこの国のファン達がおめおめと彼女を手放すかどうかは知ったこっちゃない。
イツキさんとワタルさんの大ベテラン対決はワタルさんが前チャンピオンの意地を見せ、これでベスト4が出揃った。
キシ、カリン、ワタルと来て、Cリーグのクロセである。これでファンが湧かないわけがない。
結果は皆さんも御存知の通り、クロセ君がワタルさんとキシ君を連続で破るという快挙も快挙大快挙を成し遂げ、シルフトーナメント覇者となった。
クロセ君のニンフィアは素晴らしかった、技の威力や耐久性もさる事ながら何より器用で色々なことが出来る。ドラゴンタイプを抑制しながらその脇を固めるポケモンをも手玉に取っていた。これは流行る、と言いたいところだが、ニンフィアは愛情で進化すると言われているポケモンなので、皮肉な話だがアマチュアで爆発的には流行らないだろう、まあ、それでいいのだ。
ところで、ほんの少しだけ、ちょっぴりだけ気になったことがあるので、ここに書こうと思う、決してここまでが前振りなわけではない。
シルフトーナメントのテレビ放送では、対戦前にプロモーションビデオが流されるのだが、そこではトレーナーひとりひとりにキャッチコピーのようなものが付いているのである。
例えばワタルさんなら『伝説と生きる』とか、オグラ君なら『ハッスル』(僕は絶対に、絶対に生命賛美が良いと思う)とか、シンディア氏は『黒船』(これはよく出来てると思う)である。
僕はかなり長く継続して本戦に出場しているのだが、その間ずっと僕のコピーは『異端児』だった。僕はこれをとても気に入っていたのだ、異端児、何ともいい響きじゃないか、実によく僕を表していると思う。
ところが、今年の僕のコピーは『ハナダのノーてんきエッセイ野郎』である。僕をよく表しているという点では良く出来ていると思うけども、こーゆーのどうかと思う。
あと僕のプロモーションビデオちょっとギャグっぽかったぞ、扱いひどいぞ。僕が優勝したらどうするつもりだったの。
ちなみにクロセ君のコピーは『赤道超え』である、良し悪しは皆さんの判断に任せるが、僕もこーゆーのが良かった。