青と白と赤
「私は白、あなたは青」
彼女は唐突に言った。少し遅れて、僕は彼女の意図を理解する。
「? 体の色のこと? そうだね、僕は青で、君は白だ」
「……ずるい」
「えっ」
「ずるい。私も青がいい」
今度こそ僕は彼女の言わんとすることを図りかねる。テレパシーを使えば彼女が考えていることもきっとわかるけど、それはとても失礼な行為だ。こういう時に使えないなんて、何が超能力だ。
「僕も君みたいな白がいい」
結局僕はあたふたした挙句に、ぱっと思ったことをそのまま口に出すのだった。
「………………」
彼女はじーっと僕の目を見た。あ、わけのわからない返事しちゃったから怒らせたかな。睨んでるし、絶対これは早く謝った方が。
「えっと、」
「じゃあいい」
彼女がいつも以上に小さな声で、ぼそりと言ったせいでよく聞こえなかった。やはり不機嫌なんだと思ったけど、そういうわけでもなさそうだった。
「えっ?」
「じゃあ、白でもいい」
「いいの?」
「うん」
「さっき青がいいって」
「いいの」
「いいんだ」
女の子の考えることはよくわからないな、と思っていたら、間抜けな顔をするなと言われてはたかれた。本当に不機嫌だったのかもしれないけど、実際のところはどうなんだろう。やっぱり、超能力なんてなんの役に立たない。