びっくりどっきり
「……わっ!」
「のあああああああ!」
突然のことに心臓が飛び跳ね、全身の毛が逆立った。我ながら情けない悲鳴を上げてしまったけど、いきなり何かが物陰から飛び出してきたのだ。決して僕が臆病なせいじゃない。こんなの誰だってびっくりするにきまってる。
「あはは、ははははは、冗談だよ」
「ああ、なんだよもう……」
飛び出してきたのは怖いお兄さんでも世界征服を企む悪の組織でもなくて、ロコンだった。僕は体がかあっと熱くなるのを必死で抑えつけた。
「急に驚かせないでよ」
「ごめん、ふふふふ、ふふ」
「いつまで笑ってるんだよ」
「ごめんってば、ふふ、えへ、こほっ」
ロコンは笑いすぎてついにはせき込み始めた。いくらみっともない姿を見せてしまったとはいえ、こんなに笑われるとさすがに少し気分が悪い。
「いや、だって、マグマラシ、背中から炎出ちゃってるんだもん」
「えっ!」
体が熱いと思ったら! 今度絶対にやり返してやると心に誓いながら、僕は今度こそ顔が真っ赤になるのを感じたのだった。