第二章
TEA BREAK14
……孤児院はかつては“大戦争”による戦災孤児を迎え入れるために設立されたものだ、と先代院長聞いたことがあります。
 ですが、現在では両親をともに亡くした、という子は実のところあまり多くはありません。孤児院にいる子たちの多くは何らかの理由、主に経済的な理由から養うことができずにタマゴから生まれたばかりの時に捨てられてしまった子なのです。
 そうした子たちというのは本能的なものなのかどうなのか、保護者を強く求めるものです。その結果、孤児たちの間で職員のほほえましい奪い合いが展開されることになります。あの先生は私の、とか、あの子と仲良くしないで、とか。そのこと自体はかわいらしいものです。ですが、その根っこの部分はとても深いのです。

 孤児院の職員としては、特定の子だけを贔屓せずに全員を平等にかわいがることが理想です。でも、あの子たちはほかの子じゃなく、自分だけを特別に見ていてくれる“家族”を欲しがっているのです。
 私たち職員はこの矛盾に向き合わない限り、あの子らを本当の意味で理解してあげることはできないし、それはつまり、孤児院の職員としては三流にすぎないのです。私は最近になってようやく、それに気付きました。……(以下略)

(「孤児を育てるということ」ラッキー・著)
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レギュラス ( 2014/04/20(日) 22:23 )