第一章
TEA BREAK5

 「大戦争」が終焉を迎えたあと、ポケモンたちは平和に向けて話し合いを始めた。しかし、その試みはいきなり壁に突き当たった。“言葉の壁”である。

 ポケモンたちは地域ごとに互いにわずかずつ異なる言葉を話していた。さらに、陸上のポケモンと水中に暮らすポケモンも別々の言語を話していた。これは「大戦争」の一つの要因でもあった(「大戦争」をもたらした最大の原因については、私は直接記述することができない。あまりにも資料不足であり、またあまりにも恐ろしいからである。しかし、賢明な読者には本書を通して私の意図が伝わることを願う)。つまり、「大戦争」の勝者が話す言語が、すなわちこの世界の共通語となる、という暗黙の了解である。「大戦争」は言語戦争でもあったのだ。

 「大戦争」のさなかに同盟関係を結ぶ際などには複数の言葉を理解する“通訳”が活躍した。彼ら通訳によって世界のあらゆる言語を折衷した現在の“共通語”が作られた。しかし、辺境地域や、陸上から独立した生活を行う水中ではいまだに“共通語”の普及が進んでいない地域もある。それらの地域は世界の発展から取り残されている一面があるという点に我々は留意しなければならない。

 なお、本書はこうした状況を踏まえ、「共通語版」「地域版」を発行している。しかし、当然ながら水中では「紙」が使えず、世代間の知識の伝承は専ら口伝であるため文字が存在しないため、本書を水中語で「書く」ことはできなかった。……(以下略)

(「歴史」フーディン・著より抜粋)


レギュラス ( 2013/05/11(土) 12:47 )