第六話 フラーノの町で
アクア達はラヤノの森を抜けて、フラーノの町を目指した。天候に恵まれ、長く歩くことができて途中で昼御飯も食べれた。とても順調に進めて、森を抜けてから1時間くらいでフラーノの町が見えてきた。
「あそこだ」
マロンは長い旅から解放されたように喜んでいるが、ポケモン助けはここからだ。
その町は村にとってはしっかり建物が建っているが、街といっては小さい。その町には花壇が沢山あり、そこには色とりどりの花が咲いている。家や道がレンガで作られていてとてもお洒落な町だ。
「さあ、困ったポケモンを探そう」
アクア達はフラーノの町に入って行った。ここにはまだアロル団のポケモン達は来ていないらしく、とても平和だった。周りからは陽気なおばさん達の笑い声が聞こえてきて、子供達が走り回っている。
「すごく平和そうね。この町に困ったポケモンはいるかしら」
マロンがそう呟くと、一匹のポニータがこちらに駆け寄ってくるなり、星の終わりかと思うぐらい必死で助けを求めてきた。
「あの、旅人さんですか!」
「そうよ」
「強そうだから、あの洞窟に行けるかも!」
「どうしたの?」
「あの、ぼくの友達が誰かに誘拐されたんです!」
アクアとマロンは顔を見合わせた。そんなことがあったなんて。ポニータの友達は、いま辛いだろう。
「それはどこに?」
場所が分からないとポニータの友達を助けるのは困難だ。
「あの洞窟です」
ポニータはそう言いながら町の外へ行き、洞窟の入り口まで案内してくれた。そこは、とても不気味で洞窟というより古い炭鉱のようだった。
「ここは昔石炭を取るために掘られてたんだけど、今は使われてなくて、野生のポケモンも出てくるんだ」
やっぱりアクアの思ったことは合っていた。古い炭鉱だ。アクアはポニータの言ったことに少し分からないことがあったため、マロンに尋ねた。
「野生のポケモンって何?」
「この世界のポケモンには2種類あって言葉を喋れるポケモン、野生的で言葉を喋れないポケモンがいるんだ。野生のポケモンは狂暴で、私たちとわかり会えることはないの……」
「そうなんだ」
アクアは不思議だなと思うと同時に、わかり会えないって悲しいと感じた。
「お兄ちゃん、知らなかったの?」
純粋な子供のポニータがグサッとした言葉をアクアに投げた。
「あはははは……忘れちゃってた」
この事はこの世界では常識の中の常識らしい。アクアは笑ってごまかすしか無かった。
「ちょっと話が逸れたけど、アクア、ポニータの友達を助けにいこう。」
マロンが逸れた話を戻し、アクアは気を取り戻す。
「それじゃ、行ってくるよ」
2人は任せて! と言わんばかりに胸を叩いた。アクアの方は少し怖かったけど。
「気を付けて下さい!」
ポニータは二人の怪我が無いようにと祈った。そして二人は洞窟の奥ヘ歩いていった。