第二話 マロンの小屋にて
「君は?」
「クチートよ!そんなことよりも早く私んちに来て! 傷が悪化しちゃうよ!」
アクアの声を遮りながらクチートは叫んだと思ったら、すぐさまアクアを背負って自分の家に向かっていった。突然のことで、アクアは頭が追いつかない。その事もあってか、またアクアはまた意識がもうろうとしてきた。
アクアは重いまぶたを上げた。視界がぼやけてよく見えないが、さっきまでいた草原ではない。小屋の中に見える。アクアは痛みをこらえながらゆっくりと起き上がった。
しばらく寝ぼけて何をすればいいかわからなかったが、しばらくしてさっきまでのことを思い出した。確か、野原で倒れていたところをクチートの女の子が助けてくれたんだ。自分の傷を見ると、ちゃんと手当てされている。
クチートにお礼を言わなくちゃ。とアクアは思いクチートを探した。この小屋は二階建てで結構広い。
アクアはくまなく探したが、小屋の中にクチートの姿はない。
「お礼言いたかったんだけどなぁ」
アクアが呟いた。その時、ぱたんと扉が閉まる音がした。きっとクチートが帰って来たんだ。アクアはそう思い、玄関の方へゆっくりと歩いていった。
「あっ! 起きたんだ。良かった」
クチートは部屋に入るなり、ほっと胸を撫で下ろしている。
「あ……あの、助けていただいて、本当にありがとうございます」
アクアはすぐさまクチートへ律儀にお礼を言った。
「うふふ。どういたしまして。そんなに丁寧じゃなくてもいいよ。そういえば、名前は?」
「アクアです」
まだアクアは丁寧語が抜けきれない。
「アクアくん。素敵な名前ね! 私はマロンよ。あの、気になったんだけど、なんでアクアくんはあんな誰も来ないところで倒れてたの?」
アクアはその事をクチートに言うか迷った。信じられない内容を信じてくれるのかと内心思っていたが、クチートは自分を救ってくれた。信用できる相手だ。だからアクアはクチートにこれまでの経緯を話した。
「そっか……じゃあ、これからどこか行くあてはあるの?」
「ないです」
アクアは、これからのことなんて考えてなかった。いつまでもここにいても、マロンに迷惑をかけるし、出ていっても、どこに行けばいいかわからない。もしかして、追い出されるかも…アクアがびくびくしてたら、マロンは驚きの言葉を口にした。
「それなら! 私とチームを組んでポケモン助けの旅に出ない?」
「ポケモン助けの旅?」