第八話 炭鉱から戻って
3人は無事炭鉱からフラーノの町に戻り、町の入り口で待っていたポニータと再会した。
「コリー!」
ポニータはアクア達の後ろを着いてきたコリンクを見るなり歓喜した。コリーとは、このコリンクの名前だろう。
「フレア! 怖かったよー!」
コリンクのコリーも、フレアと呼ばれるポニータに駆け寄るなり飛び付いて、ポロポロと涙をこぼした。コリンクは本当に心細かったのだろう。
「良かったね。2人とも助かって」
マロンは満足げな表情でポニータとコリンクを眺めている。
「うん」
アクアも得意げにマロンに返事をした。すると、
「まぁ、コリー! 探してたのよ!誘拐犯につれさらわれたと知って驚いたんだから!」
とコリンクの母と思われしレントラーが走ってきて、コリンクをなめた。貴婦人のような上品な雰囲気を醸し出しているものの、1人の母としてコリンクを心配していたようだ。
「あのね、あのね、この旅人さん達が助けてくれたんだよ!」
コリンクは母のレントラーに自分を助けてくれたアクア達を教えた。レントラーはアクア達の方を向いて、
「まあ! あなた方が助けてくれたんですね! あなた方がいなければ、うちのコリーは助からなかったかもしれません。心から感謝します。これはお礼です。受け取ってちょうだい」
と言い、バッグから何かをごそごそと取り出した。その取り出したものにアクアは驚いて、思わず声を上げた。
「ええっ!そんなにいらないですよ」
レントラーは手に50000円を握っていた。
「良いのよ。うちは貧乏じゃないし。あなた方はうちの子の命の恩人よ。それに、旅のポケモンは貰えるときはもらっときなさい!」
「僕からも、ありがとうございます! お礼もらってください!」
そう言うレントラーとコリンクに押され、アクア達はお礼のお金を遠慮がちに受け取った。
「ええっ良いのかな……」
アクアは戸惑っていたが、マロンは
「レントラーさんのご厚意だよ。気持ちだけでも受け取ろう」
と言った。確かにそれだけ感謝してる訳だし、ご厚意は受け取らないと。
「ありがとうございます」
アクアは律儀にお礼を言った。これで事件は一件落着だ。
「それで、誰がコリーを誘拐したの? 今どこにいるの?」
突然思い出したようにポニータが言った。そうだ。あのラグラージの事を伝えなくちゃ。
「えっと、ラグラージだったよ。今、洞窟の中で気絶してると思う。」
「そうなんですか。じゃあ警察に伝えます」
レントラーは子供が戻ってきた喜びと同時に、誘拐犯への強い怒りを黄色く鋭い目に灯していた。
「そういえば、お二人の名前は?」
レントラーは2人の名前を聞いてきた。2人は快く答えた。すると、
「アクア、マロン。あなた達の事は一生忘れません」
とレントラーは2人への感謝を伝えた。こんなに感謝されるのは初めてだ。でも次の町へ行くにはここを出るしかないので、2人は別れを惜しんでいるコリンク達に別れを告げた。