シャロットの成績‐86
チームに初参加だったシャロットは意外にも好成績を叩き出した。アカネのサポートもあり、いつもよりもずっと短い時間で依頼を終えることに成功する。疲れもいつもより少ない気がした。
最初の印象でシャロットはよく喋るので、精神面で多少疲れることを覚悟していたのだが、いざ戦闘となるとそんなことは一切無かった。シャロットの話を聞いた時点ではあまりいい顔をしていなかったアカネも、こればかりは深々と感心している。先ほどからアカネの口はポロポロとシャロットへの褒め言葉を零している。相当仕事が楽だったらしい。僕の立ち位置が取られそうだ。はっきり言って、とても助かったし感謝もしているが、焦っている。
「……報酬、ホントに要らないの?」
「いえいえ、そんなの要りませんよ!クロッカスと探検できただけ有難すぎて!アカネさんにもカイトさんにもすごいもったいない言葉もらって、内心億万長者気取ってますから!!うふふふ……」
「でも木の実くらい貰っとけば?こっちだってモヤモヤするし。別に、いらないならいいけど」
「きのみ……うぅん、木の実……は……クラボの実貰っていいですか?」
「……いいけど」
アカネがクラボの実を渡すと、いそいそとシャロットはそれを自分のバッグの中に詰めた。やはり、探検に必要な道具はすべて持っているようだ。
ついでにだからペリーやパトラスにも紹介しよう、という風に話が運び(というかアカネとシャロットで話が進んでいた)、仕事の報告ついでにシャロットをギルドに案内した。
いつもよりも早い時間。少しオレンジ色の空が見え始めたか、そうでないかという時間帯だったため、ペリーは少し忙しそうにしていたものの、僕たちを見止めるとこちらに向かってゆっくりと飛んでくる。
「嗚呼、お前たちも帰ったか。で、仕事はどうだった?」
「うん。まず森林形状のダンジョンで三匹保護、潜伏中だった指名手配者を捕獲。そのことは警察や保安官から連絡が来てると思う」
淡々と仕事の報告をする。ペリーはしばらくそれを黙って聞いていた。僕が話し終わると、「ありがとう、お疲れ」と言って、次はシャロットの方へと目を向ける。
「あ、えっと、ロコンのシャロットって言います。時々お世話になると思うんで、よろしくお願いします」
「あ、あ?はい、よろしくお願いします……?」
そもそもシャロットが何者か知らないペリーにとってはなんのこっちゃ、だが、おそらく顔は知っているはずだし、なんとなく噂(ギルド前の土下座騒動)で耳にしていると思うので、誰かに聞くなり察すなりしてほしいとばかりに、そのあとすぐにシャロットとギルド前で分かれた。
初めての共同作業に興奮気味なシャロットは、嵐のように去っていく。そんな彼女を見て、呆れた顔をしたアカネもどこかほっとしていた。
「変だけど。普通の子じゃない」
「よし、じゃあ今日はイベントあるから、部屋で明日の支度して夜に備えよっか」
「……めんどくさい」
文句を言いながらも、アカネは僕より前を歩きながらギルドへと帰っていく。
僕は、少し複雑だった。