重大発表-62
それからまた、数日経った頃だった。僕とアカネは、いつもどおりに起きて朝礼へ向かった。暫く滞在していた母さんと父さんは、昨日の夜に別れを告げて大陸へ帰ってしまったのだが、母さんが「またお邪魔させて貰うわ」と言っていたので、割とはやく再会しそうだ。やだなそれ。
朝礼に行くと、すでに全員そろっていた。ビリは僕たちだったらしい。アカネが小さく舌打ちするも、そんなのは日常茶飯事なので、皆もう慣れてしまっていた。なにやら、みんなウキウキとしている。今日、何かあったっけ?頭をひねらすも、特に浮かんでくる者は無かった。
「全員そろったな?では、重大発表だ」
重大発表?はて。そんなの聞いていないが、一足先に来ていたギルドメンバー達は知っていたのだろう。歓声が上がる。いったい、何なんだろう。アカネも首を傾げていたが、ペリーがもったいぶっている間に、アカネには何か思い浮かんだことがあるらしい。すぐに悩むような顔を止めた。
「……というわけで、その遥か東にあるといわれる湖には、未知の部分がまだ残されており、その謎を解明すべく、我がギルドも、久しぶりに、『遠征』を繰り出そうと思っている!」
そう言った途端、歓声が上がる。そうか、このことだったのか。僕とアカネは知っていたが、そうだ、他のメンバー達は知らないのだ。子供のようにキャッキャキャッキャと騒いでいる。ステファニーなんて尻尾をまわして踊りだす始末だった。しかし、それを止めてすぐに俯いて、こう呟いた。
「あ……でも、私新人だった。ねぇ、大丈夫かな?私選ばれるかなぁ……」
「んー……わっかんね」
「リオンは探究心薄い!!もっと盛り上がろうよ!私、そんな気分じゃないけど」
「浮き沈みはげしいなー……」
まぁ、確かに。あの様子だと、ステファニー達は知らされていなかったらしい。僕達も入るかどうかはまだ未確定らしいので、油断はできない。
「まぁ、ステファニーの言うとおりでもあるな。遠征チームはこのメンバー全員の中から何人か抜擢される。遠征は数日後。その数日間の間に、そのメンバーを決めようと思う。皆、遠征に行けるよう、しっかり仕事を頑張るんだよ!」
「アカネもカイトも、一緒に行けるといいでゲスね!」
ビッパのグーテが、僕達にそう声をかけた。彼もなんやかんや張りきっているようだ。
「そうだね!僕、何か楽しみになってきたかも……アカネは?」
「とくに」
「そんな事言わないでよ〜。遠征メンバーに入れば、結構な実績になるし……」
「……まぁ、そうだけど」
アカネは腕を組み、少し目を泳がせる。ほんとは楽しみなんだろ、こんにゃろ。と、思っただけだったのだが、思い切りアカネに睨まれた。本当はアカネはエスパータイプなんじゃないかと思うくらい勘が良い。
「では、今日も仕事頑張ってくれ。基本、ポスターを見ての仕事だ。持ち場がある奴は、いつもどおりな。では、解散!」