目的-49
――――そうです、僕は嘘をつきました。もうばれちゃったのか……。僕、チーム・クロッカスのファンなんです。ファン、です。ごめんなさい。僕、ただ見てみたかっただけなんです。クロッカスのレベルが一体どのくらいなのか、知りたかっただけなんです。だから、あのMADに攻撃を仕掛けて、自分で攻撃を受けて、レベルを計りました。チームクロッカスとMADが戦ったら、一体どうなるのか、知りたかっただけなんです。クロッカスは絶対勝つって信じてました。でも、和解して帰ってくるなんて思わなくて。だって、物分かり悪そうじゃないですか、あいつら。頭も悪そうだし、クロッカスなら勝てるんじゃないかと思って。でも、あの伝説の救助隊が付いていくなんて予想外でした。結局、戦ってたのはチームガーベラで、クロッカスは和解を進めただけでした。失敗です。これ、完全に失敗しました。ハメるような真似をして、すいませんでした。
……どうして、クロッカスの事を好きになったのか、と?だって、かっこいいじゃないですか。クールなピカチュウに優しいヒトカゲ、でこぼこコンビがどんどん依頼遂行していって……って、まさに憧れなんですよ。僕、探検隊って言いましたよね?相方が居たっていうのは、嘘ではないです。僕だって、相方が居たんです。そいつは、頭が悪くて、正義感が強い奴でした。僕と真反対でした。だから、もしかしたら、重ねてたのかも。
理想の探検隊像を、作り上げていたのかもしれません。
*
しおしおとした態度とは一変し、コリンクは堂々とした口調で話を終えた。少し戸惑っているのは、私とカイトだけだった。サラとガリュウは、真剣な目付きでコリンクを見つめている。なんだか、無理やりだ。でも、それが真相なのだろう。私はそう思った。コリンクは、きっと、自分が頭が良いと思っているのだろう。実は全く違うのに、気が付いていない。彼は、物事に熱中しすぎると、馬鹿になる。それが真相だ。
「……理想の探検隊、ねぇ……」
サラがあきれ顔でそう呟く。カイトは驚いた顔で自らの母親の顔を見つめた。サラが言いたいことは分かった。私は、小さく口を開く。
「あんたの考えは、分かったわ。名前は?」
「……セオ、です」
「そう。セオね。あんた、良く聞きなさいよ。私達、そんな大した探検隊じゃないわよ。まだまだランクだって低い、簡単な依頼しかこなせない、その上私とこいつのコンビはがったがた。こいつ、私に脅されてんのよ。少しでも私が嫌になったら、直にチーム解散するってね」
「え?」
「え、なにそれ……?」
セオだけではなく、サラとガリュウも驚いたようだった。そういえば、まだ二匹には私の事を話して居なかった。話すべきか否か、まだ考えてさえいないけれど。
「わかったでしょ。私達、大したチームじゃないのよ。少なくとも、私はカイトに信頼を寄せているわけじゃない。信頼関係で成り立っているわけじゃないのよ、私達の探検隊は。私は、カイトに背中を任せたりなんて、したくないの」
その場に、沈黙が響いた