盗賊団-47
「なに、あれ……」
「ドラピオン?ドラピオンだ……」
巨大なポケモンは、蠍のような姿をしたドラピオンと言うポケモンだった。アカネも木が付いたように、僕の方に目を向ける。
「ドラピオンって、よくギルドに出入りしてる奴らの一匹じゃない!」
「と、ということは……」
チーム【MAD】そのチーム名は、【盗賊団】のメンバー達、そのリーダーから部下までの種族名の頭文字を取ったものだった。ここら辺では恐れられている盗賊団だ。しかし、めったなことではポケモンは襲わないと聞いていた。ギルドでの出入りも親方ことパトラスから許可されている。なのに、どうしてだろうか。
「あっちで戦ってるのは……」
「あのマニューラとアーボックかもしれないわね」
奴らの名前は知らないが、種族名呼びでいいだろう。すると、目の前のドラピオンがやっと口を開いた。
「お前ら、良く見りゃなんだっけ、あのギルドの弟子じゃねえか」
「なによ、分からずに攻撃してたわけ?」
「いやいや、ボスの命令だから従わないわけにはいかねぇだろ?」
「なんで攻撃してきたのよ?あんたたち普通に探検隊のギルドに入り浸ってるじゃない。その探検隊を襲うとか馬鹿なの?」
「はぁ!?ば、ばっ……お前らこそ俺らに様があってきたんだろ!さっきからやたら盗賊団盗賊団って……」
「なんで聞こえてんのよ!」
「うちのアーボックことブローは地獄耳何だよばぁーか!!」
「あんたその年になってその返ししかできないわけ!?」
「うるせー!年はかんけーねー!」
いや、確かにそのドラピオンは、僕達からしてみればニ十代半ばに見えるが、まずその言い合いはどうにかならないのか。気の強い者同士が争うとこうなるのか、としみじみ思う。それよりも、爆発音は背後で繰り返されている。未だ、あの四匹は戦っているということだ。
「……あんたに単刀直入に聞く。あのコリンクともう一匹のポケモンを襲ったのはあんた達?」
「はぁ?襲っただぁ?」
「なによ、とぼけんじゃないわよ」
アカネがドラピオンを睨みつける。ドラピオンも負けじと睨みつけたが、アカネの方が断然怖かった、正直。
「襲ったんじゃねーよ。逆逆、あいつが俺らを襲ってきたの」
「……え?」
僕は戸惑ったような顔をして後ろで繰り広げられている戦いの音に耳を傾けていた。アカネは、何かを考え込むようにして、何かをドラピオンに伝えようとした。
「……あんた、今『あいつ』って言ったわね?」
「ああ、言ったよ。それが何か?」
「……あいつっていうのは、コリンクの事?」
「そうだ」
「……それ以外に、居なかったのね?」
「いねーよ」
「……戦闘は中止よ。あんた、ちょっとボスに声かけなさいよ」
「はぁ!?どういうことだよ……」
「やっぱ馬鹿なのねあんた。いいからさっさとしなさいよ」
「一言多いんだよこの電気鼠……」