ポケモン不思議のダンジョン〜時の降る雨空-闇夜の蜃気楼〜
















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一章 茜色の花歌
滝の調査-33
 ざぁざぁ、ざぁざぁと、激しく水しぶきを上げ、水が霧状になって漂う。しかし滝の周りは思ったよりも聡明で、綺麗なところだった。もっとも、この足場から落ちるような事がなければ、の話だが。
 カイトはとてもうれしそうに滝の周りをうろちょろしていたが、それは調査でも何でもなくただ滝を見てはしゃぐ子供である。しかし、調べると言っても何を調べればいいのか分からなかった。まずはこの足場にある石の質や、水の質?いや、そんなものをこの世界でどう調べればいいというのだ。
 意外とこう言う場所では頭が回らないものだな、とため息をついた。はしゃいでいるカイトはそんなことをまるで気にしていないようだ。以前、カイトの年齢は18歳だと聞いたことがあった。ほぼ大人ではないか、と思ったが、この世界ではどうなのか分からない。
 しかし、その年で探検隊なんていう職業に就くことができるのだから意外と緩いのだな、とも思った。
「うわぁ、アカネ……何かこの滝すごい勢いだよ…………触ったら手えぐれそう……」
「え、えぐいねあんた。多分抉れはしないと思うから触ってみれば?」
「え?だ、大丈夫かな………ヒィッ!!」
 カイトの手が水に触れた瞬間に、バチッという音がし、まるで静電気が起きて痛い、と言いたげな顔でカイトは手をさすっていた。死んでも触りたくないな、と思った。
「すごい痛かった……アカネも触ってごらんよ」
「なんで自分から触んなきゃいけないのよ。痛いのわかってんなら触んないよ」
「そんなこと言わないでーーあーかーねー」
「ちょ、何やってんの馬鹿力!!止めなさい!やめろアホ!!!」
 カイトが私の手を掴むと滝に近づけた。全力で抵抗していると、手が何かに触れ、バチッという音と共にしびれるような感覚と痛みに襲われる。カイトが尚触らせようとするので、電気タイプの特権を使い「電気ショック」を浴びせた。
「アカネ卑怯!」
「卑怯はどっちよ馬鹿力!」
 そう言ってカイトの手をバシッと叩く。カイトはしょぼんと子犬のような顔をして「うう、ごめん」と呟いた。謝られても困るもの。別にそこまでは怒っていない。
 ___その瞬間だった。目の前がぐらりと揺らぎ、体がふらふらとよろついた。カイトが驚いた顔で私に駆け寄ると、その瞬間暗闇の中に光が走る。
 この滝、だった。ざぁざぁ、ざぁざぁと音が聞こえる。しかし現在聞こえているこの音では無い。一匹のポケモンが、シルエットとなって映っていた。そのポケモンは滝に駆け寄り、滝の中に突っ込んでいく。そしてその奥には、空洞。ダンジョンが広がっていたのだ。
「だ、大丈夫!?僕のせいかな……とにかく気分が悪いならいったん戻らないと……」
「いや、大丈夫。ちょっと聞いてくれる?」
 カイトに、ありのままに今見たことを話す。カイトは驚いた顔をしていたが、自然と真剣な顔になり、私の話にコクコク頷いていた。
「……確かに、探しても本当に何もないもんね。あるとしたらそこしかない、か……」
「あんたは炎タイプだし、私も強くは無いから、きっと失敗したら滝の下で死ぬ。どうする?行く?」
「行こうよ。滝の裏側に、何かがあるなら」


■筆者メッセージ
更新遅れました
ミシャル ( 2014/07/01(火) 11:36 )