ポケモン不思議のダンジョン〜時の降る雨空-闇夜の蜃気楼〜
















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一章 茜色の花歌
お尋ね者ポスター-24
 僕達四匹は、ペリーに連れられ、先ほど居たポスターと反対のポスターに連れてこられる。「ああ」「なるほど」と、ブレイヴの二匹はこれから何が行われるかわかったようで、納得したような顔をして僕達の後ろでこちらを見守っていた。
 ポスターには何匹ものポケモン達の顔の絵が並び、その下に何か文章が綴られていた。あちらのポスターの依頼書とは異なるものの、これも一応依頼書のようだ。
「お前達。これが何か分かるか?」
「え、えと………ポケモンの顔写真?」
「馬鹿。違うわよ。これは多分お尋ね者ね」
「そう。これはお尋ね者の捕獲依頼だ。我々探検隊の仕事、お尋ね者の捕獲もその一つだ。お前達には今日これからお尋ね者を捕獲してほしいと思っている」
 そう言われて全身の神経が逆立った。お尋ね者と言えば、前のあのアリゲイツもそうだ。あんな凶悪なポケモン達とまた戦わなければならないのか、と思うと心底ゾッとしたし、正直怖かった。ポスターにはいかにも凶悪、というポケモン達の顔が並んでいる。否、そう見せ居ているだけなのか。分からないが、このポケモン達のほとんどが表世界で悪事を働いているのだ。相当強いに違いない。そう思い、グッと目を瞑った。
「はは、おいおい。そんなに怖がらなくてもいい。お前達にはお前達のレベルに合ったお尋ね者を選ぶ。いきなり前のような事はさせないよ」
「うっ……で、でも、どうやってそんなの見分けるの?」
「カイト。依頼書の上の方に、DやAって書いてあるだろ?見えるか?」
 隣からリオンが顔を出し、依頼書を指さした。確かにそう書いてあるのが見えたが、申しかしてアレが大体の捕獲レベルなのだろうか。そう思い、リオンの方を見ると、目があった。コクリと頷いた後、ステファニーの声が聞こえた。
「そのアルファベットは、お尋ね者の捕獲レベルだよ。下から簡単なランクになってるから、Eランクをお勧めするね。まぁ、その分報酬は減っちゃうけど」
 にっこり笑いながらそう言うステファニーに、うんうんと頷きながら依頼書を眺めていた。アカネは主に弱い方のランクを舐めるように見ていたが、視線が高い方に飛んだ。大きなランクのポケモンを見ては、冷や汗を垂らしている。
「まぁ、そういうことだ。えーチームブレイヴ。グーテを呼んできてくれ」
「え……グーテ?」
「この二匹の案内役はグーテに任せようと思うのだ。呼んできてくれないか?」
「そっかぁ……彼、きっと喜ぶね」
 ステファニーがそう言うと、二匹は階段の方に登っていく。「グーテ」とはいったい誰なのだろう、と考えていたら、どうやらアカネも同じことを考えているようだった。彼女は暫く「よくわからん」みたいな顔をしていたが、考えるのに飽きてしまったのか再び依頼書を眺め始めた。
「連れてきたぞ」
 不意に後ろからリオンの声が聞こえ、振り返るとブレイヴの二匹と一緒に一匹のビッパがそこには居た。ビッパは俯いているようで、顔をこちらに見せようとしない。ステファニーが途切れと途切れにだが「頑張って!」や「大丈夫」と声をかけているのが聞こえた。「嗚呼、ありがとう。お前たちは通常の仕事に戻れ」
「えと……じゃあ、がんばってね!」
 二匹は遠ざかり、向かい側の掲示板の方へと歩いていく。一方目の前のビッパは、相変わらず顔を下に向けたままこちらを見ようとしなかった。
「グーテ。もう泣きやんだらどうだ。後輩達も困ってるだろう?」
「……グズッ……だ、だって……」
「な、何故泣いて……?」
 よくよく見れば、グーテと呼ばれたそのビッパはぽとぽと、ぽとぽと涙を零して泣いていた。それを呆れたようにみるペリーが背中をさすると、落ち着いたようで赤くなった眼を拭い、僕達の顔を交互に見た。
「えっと……カイトとアカネ、だったでゲスね。あっしはビッパのグーテでゲス。一応このギルドの先輩でゲス!宜しくでゲス」
 特徴のある「〜でゲス」という語尾は忘れられそうもない。しかし優しそうなビッパだった。
「よし!後は任せたぞグーテ」
「はい!了解でゲス!」
そう言うと、ペリーは階段の方へと歩いて行った。残ったのは僕、アカネ、グーテの三匹だった。

ミシャル ( 2014/06/21(土) 16:23 )