ポケモン不思議のダンジョン〜時の降る雨空-闇夜の蜃気楼〜
















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一章 茜色の花歌
夜のお話-23
 今日は、朝ゴルディに叩き起こされないように早めに眠ろうと思い、夕食後少し腹を休ませてから横になった。アカネもそんな僕を見て気がついたのか、アカネ自身のベッドに横になり、毛布を被った。そう言えば今日アカネに聞きたいことが何個かあった気がするが、何だっただろうか。確か、何かとても印象に残ることだった気がする。何だっただろう、思い出せない。思いだせないまま、何となく口に出してみた。
「ねぇ、アカネ。起きてる?」
「……そんな早く寝る訳ないでしょ」
「………あのさ」
 『あの赤い目は何だったの?』ふと、頭に思い浮かんだ言葉だった。頭で考える前に口から出た、というべきか。アカネの方を見る形で横になっていると、アカネがごろりと寝がえり、僕の方を向いた。いつにもまして冷静な顔のアカネからは、相変わらず感情は読み取れない。
「私にも分かんない。けど、一昨日にもあったんじゃないの?」
「……うん。アカネの目が、ほのかに赤く光ったんだ。あれって何の意味があるんだろうね。」
「………気持ち悪いでしょ、あんたからすると。目が光るピカチュウなんてさ」
 そう言うと、アカネは僕への目線を外し仰向けに寝転がった。何を考えていたのかな、と思ったらそんなことを考えていたのか。と意外に思う。強がってはいるが、本当は普通の女の子なのではないか、とも思った。強がっている、本当に普通の女の子。
「そ、そんなこと無いよ?そりゃびっくりしたけどさ、全然気持ち悪いとか思ってないし、アカネの事も嫌ったりしないよ?」
「………嬉しいこと言ってくれんじゃん」
 やけに素直だな、と思った。今日の出来事で、少し心が弱っているのかもしれない。そう思うと、放っておこうなんて思うこともできず、僕は仰向けになって目を閉じるアカネの横顔をじっと見ていた。
「アカネ美人さんだよね」
「……はぁ?何言ってんの。あんたステフィのようなかわいー子好みなんでしょ。お世辞なんて言わないでよ。余計傷つくじゃないの」
「本当のこと言っただけだよ。ねえ、アカネ。傷ついてる?」
「………あっ」
 アカネはすぐに、口を滑らせたことに気がついたようだった。やはり、何かしら心に傷を負っているのを隠していたようで、口を押さえて、目がゆらゆらと揺らいでいた。
「アカネ、気になることがあったら相談して。僕もできる限り、言うから。仲間なんだから、それくら、い」
 そう呟いている間に、おさまっていた睡魔がいきなりのしかかってきた。くらくら、くらくら。しゃべることもままならず、睡魔に引きずり込まれていく。そんな中、アカネは何かを呟いた。
「………私は、あんたの事……」
 その言葉の最後まで聞くことはできず、ゆっくりと目を閉じた。
 *
 その日の朝から四日日連続で、五件ずつの依頼をこなした。僕達の働きにはペリーもパトラスも感心しており、チームブレイヴの二匹も『先輩』ではなく、ギルドの仲間として、友人として接してくれるようになっていた。アカネも少しは正直なことを僕に話すようになったが、相変わらず冷たいような言葉は変わらず、腹が立つとすぐに僕の体に電流を流そうとするのも治らなかった。
「へえ、初めから一日に五件なんて聞いたこと無いよ!大分力ついたような感じにならない?」
「ん〜……そうね。電気技も二日前より確実に相手に当たるようになったし、大分レベル上がったと思うし。結構な進歩だと思う」
 アカネは、ステファニーの前では笑顔が多かった。すでにあの二匹はかなり仲が良くなっており、そんな二匹を見つめながら頬を緩ませている男子勢が僕たちだが、リオンはリオンでとても性格が良いので、すぐに打ち解けることができた。
「ギルドの依頼もどんどん消化されるから、ペリー達大喜びしてる。お金も増えるし、一石二鳥だってね。」
「その割に私たちの方の貯金はそんなに増えないんだけどね……」
「あの二匹仲良いね」「そうだなぁ」と会話しながら、ポスターの前で依頼を選んでいた。すると、少し急いでいるような様子のペリーが僕達に近づいてくる。
「お前達。ちょっと良いか」
 そう言われ、僕とリオンは顔を見合せた。


ミシャル ( 2014/06/21(土) 09:22 )