ポケモン不思議のダンジョン〜時の降る雨空-闇夜の蜃気楼〜
















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一章 茜色の花歌
赤の瞳-20
「調子乗ってんのはどっちよ………」
 そういうと、アカネはゆらりと立ち上がり、赤色の目をアリゲイツに向けた。その目を向けられたアリゲイツの体は、ビクリと震え、後ろへ一歩、二歩、後ずさる。アカネが詰め寄るたびに後ずさりをするアリゲイツは、後ろの池に気付かず、その場所から池に落下した。それを待っていたかの様にアカネは走り寄ると、池に向かって「電気ショック」を浴びせる。池の中からとてつもない断末魔がしたと思えば、ぷかり、ぷかりとアリゲイツの体が水面に浮いた。
「あ、あか、ね?」
「何やってんの?火の粉よ火の粉」
 そう言って振り返ったアカネの目は、先ほどまでのクリっとした綺麗な黒い目に戻っていた。先ほどのアレは、気の所為、ではきっと無いだろう。アリゲイツがあそこまで怯えていたのは、あの赤い目の所為だと思える。そんなことを考えていると、彼女の怒鳴り声が耳の奥まで響いた。
「だから火の粉って言ってんでしょ!何ぼーっとしてんのよ」
 ほら、また光った。再び、アカネの目の奥がほのかに赤く光った。いったいどうなっているのだろう。とにかく、アカネはどうしようもなくアリゲイツに腹が立っているようで、浮かんでいるアリゲイツに背を向けて僕に愚痴をこぼしていた。その話を聞いている間に、アリゲイツの体が心なしか少し動いたような気がした。「何ビビってんのよ」なんて言ってるアカネの後ろで、何かが動く。アリゲイツが立ち上がり、殺してしまいそうな目でアカネの事を見ていた。
「アカネ!?」
「!!!!」
 アカネがすぐに電気ショックを繰り出すが間に合わず、アリゲイツは水鉄砲を放っていた。どうしようもない事態に戸惑うばかりの僕は、とにかくアカネを庇おうとアカネの前に飛び出す。
 顔面に向かってくる水鉄砲に、防ぎようがないと目をつむった矢先、目の前から大きな爆発音が聞こえた。驚いて目を開くと、目の前に見たことのないポケモンが立ち塞ぎ、「守る」だと思われる技で僕たちを守っていた。この後ろ姿は、何となく知識にあるが、「リオル」という種族のポケモンだったような、そうでなかったような、曖昧な思考が頭を駆け巡る。
「え、あ、えと、え?」
 そのリオルのすぐ前を茶色のポケモンがとてつもない速さで通り過ぎ、アリゲイツに体当たりを食らわせていた。そのポケモンの種族は確か「イーブイ」しかし、並みのイーブイの力では無い。体当たりを食らったアリゲイツはそのまま壁側に吹き飛ばされた。そのイーブイは、顔立ちを見る限り雌のようだった。目の前のリオルは「守る」を解くと、そのままアリゲイツの方に向かっていき「はっけい」と思われる技をアリゲイツに叩きつけ、腕を押さえて拘束した。
「確保しました!!」
 イーブイは僕達と同じ探検隊バッチに向かってそう叫ぶと、探検隊バッチをかざしどこかへアリゲイツを転送する。その始終を見ていた僕たちは、ただ黙ってそれを見ていた。イーブイは僕達に気がついたようで、こちらに駆け足で向かってくる。
「パトラスのギルドの者です。ペリーさんから応援に行くようにと……」
「ぺ、ペリーから?」
「DからCクラス以上のポケモンが潜伏していた場合、難しいだろうということで、とりあえず真珠を取って、ギルドに戻りましょう」
 はきはきした口調でそう言うイーブイに、後ろに立ってそれを見ているリオル。この二匹は確か僕達がギルドに来た時ギルドには居なかったが、出かけていたのだろうか。そう思いながらも、イーブイとリオルと共に、ギルドへと戻った。

ミシャル ( 2014/06/19(木) 20:43 )