僕らを歓迎した場所-13
「あ。今のって鈴の音だよね?確か鈴の音鳴ったら食堂来いって言ってたけど」
「食堂どこよ」
とりあえず探してみる以外にないだろう、と思い、僕とアカネは部屋から踏み出す。すると、誰かがこちらへ来るような足音が聞こえてきた。ペリーが誰かよこしたのではないかと思い、アカネと顔を合わせると、通路の向こう側から黄色いポケモンが姿を現した。
顔が向日葵のような形をしたポケモンで、顔立ちを見る限りどうやら雌のようだった。僕たちを見つけるとすぐにとっとと駆け寄ってきて、僕たちの前でお辞儀をして見せた。
「今日入ってきた新入りっていうのはあなた達ですの?」
「あ、はい。そうだと思います……」
「やっぱり!!さっき見かけたからずっと気になってたんです!私はキマワリのフラーと申します。一応このギルドの先輩ですのよ!それにしてもお二人とも可愛いですわー!」
やけにテンションの高い、このフラーというキマワリをムッとした顔で見つめるアカネの思考は嫌でも分かった。
「変態」
そう。まさに今口に出した事。そう、変態。変態?ん?
「きゃ、キャー!私変態じゃありませんわ!でもこれこそツンデレって奴ですね!」
「どうでもいいけどあんた何か用?」
メンタルは鉄板のようだ。というよりは全く気にしていないようで、変だが優しい先輩のように思えた。
「ぺリーの事は知ってますわね?食堂に連れていくよう言われたんですの。」
「あ、そうなんですか。助かります!僕達ちょっと迷ってて」
「まぁ仕方ないですわよ。あなた達お名前は?」
「僕はカイトです。」
「………アカネ」
軽く自己紹介をすると、彼女に連れられ食堂まで行くと、すでに僕達以外の全員が集まっているようだった。机の前に並び、僕たちをじっと見ている。その中で席が何個か空いていたのは、おそらくあのどこかに僕達が並ぶからだろう。
「お前達。今日このギルドに入ったチームクロッカスだ。さ、自己紹介しろ」
「クロッカスリーダー、アカネ」
「副リーダーのカイトです。えっと、色々お世話掛けるとは思いますが宜しくお願いします!」
僕が頭を下げるが、アカネはそっぽを向いていた。ペリーの顔を見ると、顔に少しだけ怒りが浮かんでいた。これはアカネに頭を下げさせた方がいいと思い、肩を叩く。
「………よろしく」
そういって頭を下げるアカネを見て、ペリーの顔を再び見ると、顔色は落ち着いていた。アカネには本当にひやひやさせられるばかりだと痛感するが、人に敬意を表したのは初めてだった。このギルドの親方を侮辱したりだの、色々と死んでしまうかと思った。
周りから拍手が飛んでいる。皆笑ってこちらを見ていた。
不安ではあるが、ここでならやっていけるかもしれない。そう思い、アカネと顔を見合わせて、僕だけ一緒になって笑っていた。