ポケモン不思議のダンジョン〜時の降る雨空-闇夜の蜃気楼〜
















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一章 茜色の花歌
今私が思うこと-12
 チーム名は受理してもらい、私たちは自分達が寝泊まりする部屋に案内されていた。ペリーを先頭に弟子たちの部屋らしき扉が何個か並ぶ場所の一番奥に連れて行かれると、「ここがお前たちの部屋だ」と言って、敷き詰められた藁の上に毛布が敷いてあるベッドを羽で指さした。私の記憶にあるベッドとは少し違う物の、野宿で地面に横になるよりは断然いいし、毛布があるのもまた良いと思う。これで食事も出してもらえるのだから申し分はないだろう。
「とりあえずこれから食事だ。鈴の音が鳴ったら食堂まで来い。場所はすぐに分かるだろう。遅れるんじゃないぞ」
 そう言い残すと、ぺリーは部屋から出て行った。ペリーが出ていくや否や、カイトはベッドにバタンと倒れこむ。パトラスの部屋に行き、緊張して疲れてしまったのだろう。私は探検隊の具体的な仕事もまだ分からないが、カイトもカイトで大丈夫なのかと思う。別に心配しているわけではないが。
「ふぅ……ちょっと緊張疲れしちゃった。お腹もあんま空いてないしこのまま寝ちゃいたいなぁ」
「別に大したことしてないじゃないの。確かに朝来た割にはもう夕方って感じだけど、こんな事でヘバるとかださい」
「ううん……確かにそうだけど、でも僕達本当に探検隊の卵になったんだなぁって思うとちょっと気が張っちゃってさ……うう、肩痛い〜」
「はぁ……肩揉んであげるからちょっと静かにしてくれない?色々考えることもあんのよ」
「あ、うん。ありがと」
 カイトの後ろに回り込み、座り込んだ彼の肩をぐいぐい力を入れて押していると、「あっ痛い痛い!」と声が聞こえてきた。
 これから私は彼と探検隊として生きていく訳だが、どうもしっくりこないのだ。他にやるべきことはなかったのか、私はどうしてポケモンになったのか。疑問と違和感が脳内を覆い尽くした。
 カイトに出会ったのも偶然か必然か分からない。しかし、カイト自身も私についてはきっと何も知らないだろう。今考えてみれば、カイトが私を団に入れたがったのも、私の身を案じての事か、自分自身の心の赴くままに動いたのかは分からない。
 今はもう彼への警戒心もほとんど無い状態だが、ポケモンも人間とそう変わらないだろう。すぐに裏切るし、あくどい事も考える。
 本当に、チーム名も深い意味があってつけた訳じゃないのだ。ただ、チーム名を記した後に気付いた。「私を信じて」それは、今の私にはぴったりとも言えるし、全く不似合いだとも言える。「私を信じて」は、カイトの事でもあると思える。信じているつもりなのかどうなのか知らないが、私はきっとカイトの事を全く考えていないのだ。
勿論この先も一歩一歩共に、など考えていないし、考える気もない。
「アカネ肩揉むの上手いね〜。きもちー」
「………こんなの上手くたって何の得にもなんないわよ」
「あれ?アカネ照れて痛い痛い!!!」
「うっさい」
 そんな時、部屋の通路の向こう側から、ちりんちりんとベルが鳴った

ミシャル ( 2014/06/14(土) 20:31 )