影光-0
闇に轟く断末魔は、ずっとそばにいた友人の物だった。迂闊だった。本当は、もう少しのところだったのに。まさか、こんなところを狙われるとは思っていなかった。否、入り込んでくるなど想定できることではなかったのだ。
黒い影は絶望に加速する未来の背中を、さらに強く推したようだった。もはやここまでかもしれない。そう思った時、闇が砕け、意識も消えていく。
私はいいのよ。嗚呼、どうか、あなただけは
「生きていてください」
絶望の間際に思ったことを、私らしくもなく、小さく口にした。
私が望む未来では無くても構わないから、あなただけが佇んでいる未来でも構いません。だから、どうか、私の事は、放っておいてください。あなたの足枷になるなら、私は居なくて構わない。