私の条件-8
「探検隊ねぇ………」
「アカネは強いし、きっと探検隊に向いてると思うんだ。ねぇ、僕と一緒に組んでくれないかな?僕、ずっと一緒に組んでくれるポケモン探してたんだ」
「悪いけど。私は探検隊に向いてないと思う。私、群れるの嫌いなの」
「でも!お願い!アカネがいいんだよ!!アカネじゃなきゃだめなんだ!!」
アカネは、そういうとまた顔を赤くした。何か恥ずかしいのか、「いや、べつに……」とか、「そこまで言うなら……」とか、意味深な事を言っては口を閉ざしてしまう。こっちからぐいぐい行かなければ、きっとアカネは何も言ってくれないだろう。大分アカネも僕への警戒心が解けてきたようで、きっとこっちが素なんだろうなぁ、と思えるような言葉を何回か耳に挟んでいた。
「……分かった。あんたと組んであげる。でも私は私で勝手にやるから、いつチームが崩壊しても文句言わないで。チームリーダーは私。いいわね?」
………そんなことを考えていたら主導権を握られてしまった。アカネが止めたくなったらいつでも止めることができる、ということだ。僕に否定権も何もあった物ではなく、これからはアカネの決定が絶対、ということだろう。
憂鬱ではあるが、やっと相方を見つけることができた。心から一緒に探検隊をしたいと思ったたった一人の人だ。逃さないでよかった!!と涙を流して笑いたくなるが、そんなことをすると忽ち変人に見られ、今の契約は白紙、ということにもなりかねない。いや、アカネなら言いそうだ。
「じゃあ、まず正式な探検隊になるために、ギルドで修行しなきゃね。プクリン親方が主のギルドなんだけど、トレジャータウンを抜けてすぐの所にあるから、付いてきてくれる?」
「は?ギルドって何それ、聞いてない。まさか私たち以外にもっとたくさんのポケモンがいるって訳?そんなのパスよ。群れるのは嫌いって言ったでしょ」
「えっ!!?」
まさかここでつまずくとは。確かに群れるのは嫌いだと言っていたが、やはりここら辺の事を何も知らないのだな、と感じる。相変わらずアカネはそっぽを向いてしまい、話を聞いてくれそうもない。そこで、今アカネに一番重要なことを口に出してみることにした。
「でもアカネ、ギルドの修行は確かに厳しいけど、食べ物もちゃんとした寝床もあるよ。この先飲まず食わずの野宿で生きていくつもり?」
「……う。まぁ、確かにそうだけど……」
「ギルドでの生活に慣れれば、きっと苦でも無くなると思うな。」
気まずそうな顔をするアカネを、宥めるようにそう淡々と言って聞かせた。さすがのアカネもこれには反論できないようで、「いや、でも」、などなど、口を零しては目を泳がせていた。
「………わ、分かった。けど、条件は飲んでもらうからね」
「うん、分かった。じゃあ行こうか」
―――――始まりの場所へ