ポケモン不思議のダンジョン〜時の降る雨空-闇夜の蜃気楼〜
















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八章 垣間見える光と影
“盗賊『L』”‐124
* * *

(…………こいつ……今、一瞬……笑った?) 
 どこかぎこちない様子のキースを見て、アカネは一瞬そう感じた。しかし、キースの顔の変化は既に消えている。気のせいか?しかし、今一瞬……確かに、目を細めて笑ったのだ。
 『思い当たることは無いか』と、カイトはキースに尋ねた。キースは『時空の叫び』という能力の事以外は、特に心当たりがないという。そのことだけでもいいから聞きたい、と、カイトはキースに頼み込むようにして軽く頭を下げた。
 ぼろを出さないよう、慎重に考えながら、キースはさも『聞いたことがあるだけ』という体でアカネとカイトに『時空の叫び』についての説明をはじめる。
「物に触れることが、過去や未来が見えるという能力……それは、時空の叫びと呼ばれているものです」
「……時空の叫び」
 自らの能力の一つに名前がついた。それだけでもアカネからしてみれば進歩したように思えたが、なぜか気が抜けない。その理由は、それを説明しているのが目の前の男だからだろうか。
「はい。どのようなきっかけでそうなるのかはわかりませんが……物やポケモンを通して、時空を超えた映像が、夢となって表れる。という能力が存在すると、聞いたことがあります」
「アカネの力は時空の叫びっていうんだね。……なんか、すごいな」
「……そう、ね」
 アカネの反応がイマイチ悪いが、カイトに至ってはキースの言うことを全く疑うことなく鵜呑みにしているようである。この二匹の関係は悪くない。片方が自分の事を信じていれば、半信半疑であるもう片方も徐々にシンクロしてくるだろう。それがキースの見解である。
 しかし、一方でキースは高揚感の他に、妙なモヤつきに襲われていた。
(……『時空の叫び』が無条件に発動している傾向にあるようだ。あの能力について私自身は多くは知らない……下手に発言するとかえってクロッ……いや、アカネの心境に響くだろう。 
 ……『ウロボロス』については知らないふりをしよう。あの能力は最も面倒なものだ。万が一感づいて能力を使いこなされてしまうと勝機が薄れる。この二匹は元から個体能力が高い。下手に敵に回さず、ヒトカゲの方を妄信させておいた方がアカネも手出しできず、後々楽だろう)
「……そうだ、あなたのお名前はまだちゃんとお聞きしていませんでしたね」
「え、僕!?あ、カイトです。『カイト・ジャファーズ』です」
「……ちょっと」
 最初の頃は自分にすらフルネームで名乗らなかったのに、キースには名乗るのか。アカネは眉間に皺を寄せて、不機嫌そうな声を発す。あの時は出会い方と自分の態度が悪かったというのは承知していたが、なんとなくモヤモヤとした心境である。そんなアカネの方を振り向くと、カイトは柔らかく笑った。何なんだ。アカネは表面ににじみ出るレベルで内心悪態をつく。
「カイト・ジェファーズさんですね」
 キースは穏やかな表情で聞き返した。カイトは『うん』と、小さくうなずく。
(……ジェファーズ……確か隕石落下事件の……いや、英雄とキュウコン伝説、みたいな呼ばれ方をしているようだな。英雄二匹の間に子が居る、ということは知っていた。ただ、その『子供』が、探検隊になったなどという『記述』は……)
 キースはカイトの方を盗み見た。とにかく、今は自分の陣営へと抱き込む必要がある。キースはまた一つ『芝居』を打った。
「……うん、よろしい!これも何かの御縁です。アカネさんが何故ポケモンになってしまったのか……その謎を解くのに、私も協力しましょう!」
 『ドン』と胸を叩くと、キースはたくましく二匹にそう告げた。それを聞いたとたんに、カイトの瞳はキラキラと輝き始める。アカネの反応は相変わらずイマイチであるが、大きな抵抗はなさそうだった。
「ホントに!?」
「はい、まぁ正直申しますと……私に分からない物事があるのは悔しい!というのが本音何ですがね!ハハハハハ!」
 親しみやすいように少し大き目な声で笑ってみたりと、工夫を施した。演技力には何も問題は無い。カイトはすっかり信じ込み、アカネの手を取って『やったね!』と、嬉しそうに笑っていた。その光景を見て、キースは柔らかく微笑む……演技をした。
「キースさんが協力してくれるなら心強いよ!よかったね、アカネ!」
「……まぁ、そうね」
 アカネはこの返答を『迷惑ではない』という意味で言ったが、やはり少しモヤついていた。細かな部分はともかく、どうしてそう感じてしまうのか。少し過剰に心配しすぎているのではないか。
 その『予感』は外れていない。キースがアカネに対して狂気的な感情を抱いているように、アカネにとってキースは『危険』な存在だったのだ。
 しかし、記憶を失っている彼女に、それを定かには出来ない。……方法はあっても、行動へ移すことが出来ないのだ。
  
 何だかんだで、意見がまとまりかけていたその時だった。青い空の下を沢山の巨大な鳥ポケモンが横切り、陽だまりになっていた砂浜に影が伸びる。
 大きな羽音とその影を不審に思い、砂浜に居た三匹は全員空を見上げた。
「……ペリッパーだね」
 何頭ものペリッパー達が、慌ただしく空を飛び回っていた。どこか尋常ではない雰囲気である。大抵何匹か空を飛んでいるのは珍しいことではないが、その二倍ほどの頭数が空を覆っていた。
「いつもより、やたら沢山飛んでるよね」
「……羽浮かんでる」
 ペリッパーの翼から抜け落ちた羽が、何本か海の上を漂っている。キースはその様子を『不審』に思い、ぽつりとつぶやいた。
「なにかあったのでしょうか?」
「おぉぉぉ〜〜〜い!!」
「……何」
 海岸への入口付近から、しゃがれたような大声が三匹に向かって発せられた。なんとなく異常事態であることを察した三匹は、その声の方向へと振り返った。そこには、ふくよかな体を揺らしながら、息を切らしつつ走ってくるグーテの姿があった。おそらくシャロットあたりからここに居ることを聞いたのだろうと推測する。
 そんなグーテの様子もおかしかった。今にも泣きそうな顔をして走ってくるので、驚いて三匹がグーテの方へと出向いた。
「こ、ここにいるって、ハァハァ、シャロットからきいたでゲス……」
 息を切らして、その場に座り込みそうになるグーテに、カイトは軽く手を貸した。カイトの手に両前足をひっかけて、グーテは何とか起き上がると、手短に要件を伝える。
「招集がかかっているでゲス!弟子達全員、ギルドに集まる様にと!」
「やっぱり、なんかあったみたいだね」
「とにかく、今はギルドへ向かいましょう!」
 ものすごい剣幕で話すグーテは、かなり必死だった。とにかく、さっさとギルドに帰ってしまった方が状況をつかみやすいだろう。
 疲れ切ってしまったグーテを引き摺りながら、四匹はギルドへと足を向けた。
 
 急ぎ足でギルドの問を通過し、地下へと潜る。なんとなく落ち着きのないギルドの様子に当てられたのか、ギルドの外にいる一般のポケモン達も、どこかザワザワと騒がしかった。
 掲示板やお尋ね者ポスターのあるフロアへと到着すると、ギルドの弟子全員が集結し、『お尋ね者』の討伐依頼が貼ってあるポスターの方を囲い込んでいた。キースも一緒についてきたことにより、チームクロッカスがギルドに到着したということを早々に弟子たちは確認する。弟子達は落ち着きなくポスターを囲んでいたため、遠目からではその状況がいったい何なのか分からなかった。
「皆、遅れてごめん!集合って聞いたけど、いったい何があったんだい!?」
「アカネさん!カイトさん、こっちです!」
 弟子たちは既にこの状況の意味を理解しているようで、後から来たクロッカスが分かる様にポスターの方へと道を開ける。弟子達の中からシャロットがひょっこりと顔を出し、尻尾を揺らして『こっち』と、ポスターの方へ導いているようだった。
「あれ?シャロット!?集合は弟子達って……」
「実際は、遠征であの光景を目撃したポケモンたちです!いいからちょっと来てください!」
 シャロットのその言葉に、キースは目を見開く。シャロットの言う『遠征でのあの光景』とは……。キースには思い当たることがあった。『時の歯車』である。
 やはり目撃していたのか。それをわかっていて隠していた。情報は一滴も漏れていない。大したものだ。と、キースは目を細める。
 キースやグーテ、シャロットを含む五匹は、ポスターの前で苦虫を噛みしめたような顔をしているペリーの前へと出ていく。この状況をまずは説明してもらうために、カイトは招集された理由を求めた。
「ペリー!随分騒がしいようだけど……何があったの!?」
「……遠征メンバーってことはつまり、そのあたりに関する話って事よね?」
「嗚呼、アカネの言う通りだ。……時の歯車が、また盗まれた」
 嗚呼、やはり。アカネとカイト、そしてキースは同時に思った。そして、それがどこの時の歯車なのか……そんなことは、この状況からして明白だった。
「……こんなの愚問ってわかってんだけどさ……どこの?」
「……霧の湖だ」
 ペリーがそう言った瞬間に、空気が凍り付く。アカネやカイト達の前にその事実を知っていたポケモンたちも、改めて再確認するのは相当なダメージだった。アカネは大きくため息をつき、カイト指先を丸め、八つ当たりのように何かを握りつぶすような仕草をした。
「……『霧の湖の時の歯車』のことは、僕たちだけの秘密だったはずだ。それなのに、盗賊はかなり時期を詰めてきた……」
「あの、この中の誰かが漏らしたなんてこと、ないよね?」
 奥の方で話を聞いていたステファニーが、恐る恐るそうつぶやいた。『ンなわけあるか』と、リオンはステファニーの耳をパチンと弾く。そんなことはあり得ない、と、メンバー全員が頷く中、フラーは『疑われても仕方がないですわ』と、小さくため息をついた。
「そう思うのは無理ないですもの。私たちが遠征に言った直後にこうなったわけですし……カイトが言ったように、前の犯行からの期間も短くなっている。誰もが一度は考えてもおかしくないですわよ」
 フラーは彼女の考え方を肯定しているわけではないが、心理的な問題としては仕方がない。と、それをフォローした。ステファニーも申し訳なさそうに頭を軽く下げ、『ごめんなさい』と、謝罪を述べる。
 一方、キースはその会話を聞いて考えていた。このポケモンたちが遠征に行った際には、確実に『霧の湖』に時の歯車が存在していた。キースはその犯人の正体を知っている。この短期間に時の歯車が盗まれたと言っているように、犯人であるルーファスはこの周辺に潜伏している可能性が高い。だが、潜伏場所を割り出すのが困難なので困っていた。既にキース自身のことは噂などで耳に入っているだろう。これから先、更に慎重になる。
 とにかく、『失敗』したと聞いていた遠征先に、実は時の歯車があったなどという話を聞いて、黙っているのは可笑しい。何か突っ込んだ方が良いだろう。そう思うと、キースは困惑した表情で声を上げた。
「ちょ、ちょっと待ってください!私、よくわからないんですが……。霧の湖に時の歯車があるなんて、私初めて聞きました。 
 そもそも、今回の遠征は……霧の湖への遠征は、失敗したのではなかったのですか!?」
 困惑しながら説明を求めるキースに対し、パトラスは一歩前へ出ると、それについての弁解を始めた。
「ごめんね、キースさん。実はある約束があって、キースさんには言えなかったんだ」
(……ユクシーに約束をこじつけられたか。今の様子からして、脅されているということはなさそうだ。可笑しなことではない。やはり、時の歯車に対する警戒心はかなり強いということだな)
「……ともかく、霧の湖を訪れた侵入者は、グラードンの幻影、さらにユクシーを倒し、時の歯車を盗んでいった」
 『複数犯か?』実際にグラードンの幻影と戦ったアカネやカイト、シャロットはそう思う。そんなに簡単に倒せるような相手ではなかったはずだ。もしも侵入者が一匹のみだとし、グラードンとユクシーの両者を撃破したのなら、相当な実力者である。
「……そういえば、ユクシーはどうなったの?」
 アカネはふとユクシーの現在の状態が気になり、ペリーに尋ねた。ペリーは顔をゆがめたままではあるものの『大丈夫、無事だ』と、ユクシーの状態を告げる。どうやら死に至った、ということは無いらしく、現在は回復の方向に向かっているようだ。
「今、ジゴイル保安官の元で保護されているよ。心配しないで」
「そうなんですか。それだけでも、よかった」
 アカネは安心したように尻尾をぺたりと地面につけ、シャロットやカイトは安堵のため息をつく。しかし、本題はここからである。
「じつは、ユクシーの証言から、侵入者の詳細が分かった」
「えっ!?どんな奴なんでゲスか!?」
「既にお尋ね者としてポスターに張り出されている」
 ペリーに促されるままに、まだポスターを見ていないクロッカス達はポスターの前に立った。時の歯車を盗んだ者として張り出されている依頼を探す。すると、一番上の目立つところに、そのような内容で張り出されているポケモンの似顔絵が掲示されていた。
「……種族は……ジュプトル、か」
「凶悪そうな顔でゲスね……」
 鋭い目つきをしたジュプトルが、ポスターに張り出されていた。証言内容も大雑把にだが記されており、情報は随時更新となっている。声や喋り方からして性別は雄。現在把握している使用技は『リーフブレード』のみだという。
(……確かに危なそうな顔つきだけど、再現だからかそれなりの意図を感じる。まぁ、ユクシーが言っている限り、種族はジュプトルで間違いなさそうね)
 ポスターに張り出されている顔を見て、アカネはそう思う。しかし、不思議とそのポスターを見て『怒り』のようなものは感じなかった。皆それぞれ、ジュプトルに対し悪態ついたり怒ったり、そこまで沸いてくるものが無い。カイトでさえ、その顔をずっと睨みつけていた。
「……けど、種族がジュプトルってだけでしょ?ジュプトルジュプトル言ってたら、関係ない同種族のポケモンまで巻き込みかねないんじゃないの。私たちが間違えることは無くても、一般のポケモンは違う。変な正義感を働かせて、無関係なジュプトルまで巻き込む輩もこの先出てくる筈よ。そこらのお尋ね者とはわけが違うんだから」
「確かにアカネの言うことも一理あるな。だが、ここまで大事になれば種族名を公開しないわけにもいかない……だろ?」
 アカネの指摘に、リオンは頷いた。その発言に、パトラスは困った顔をして回答する。
「うん、申し訳ないけどそうなるね。既にペリッパーによっていろんな地域に情報が回ってるはずだ」
「ジゴイル保安官も、さすがにこれ以上野放しにはしていられないという見解を示した。このジュプトルには、歴代のなかでもかなり高額な懸賞金をかけたようだ。現在、住処が分かる同種族のポケモンをしらみつぶしに当たっているらしい」
 確かに、依頼書に記された金額は非常に高額である。チームクロッカスが一生働いても、これだけ稼げるかは不明だ。そこまでの高金額だった。これなら、食いついてくる輩は多いだろう。
「あ、あの〜。ジュプトルについてなんですけど、あたしから少し提案があります」
 シャロットは話を切り替えるために前置きをすると、全員が自分の方に目を向けたところで話を始めた。キースもそれを睨むように見ていたが、その視線に誰も気づかない。ただ、『真面目』なのだ、と。そう思っていた。
 ある種のポケモン達を除いては。

「なんだ、シャロット。提案とは」
「はい。えっと、このジュプトルなんですけれども、これから多くの場面でこのポケモンを示すような会話が多くなってくると思います。けど、アカネさんやリオンさんが言ったように、ジュプトルとはひとくくりにした種族の事です。そのひとくくりの中にはどれほどたくさんのジュプトルがいるか……。
 同種族のポケモン自体を捜査範囲に入れるのは全然いいと思うんです。でも、種族名ばかり言っていてはジュプトルという種族に偏見を持たれたり、迫害されたりする可能性が高くなる。
 何かこちらでニックネームを付けましょう。そこまで多くないようなニックネームにすれば、そのような被害は抑えられるかと。以上、ですかね?」
 そんなシャロットの提案に、ペリーは少し考えるような姿勢を見せた。要するに、ジュプトルという種族名は公表するものの、種族ばかりを押し出すのではなく、一匹のポケモンとしてのジュプトルのニックネームを世間に認知させる、ということである。
「なるほどな……異論がある者は?」
 その場は静まり返る。ギルドのメンバー達も、それが良いと納得したのか、うんうんと頷いた。
「……では、シャロットさんに乗っかって私はニックネームの提案よろしいですか?」
「嗚呼、キースさん!この愚か者に名前を付けてやってください!」
 そう言って、ペリーは翼をはためかせながら浮き上がると、ルーファスの似顔絵をコンコンとつついた。そんな様子を見て、リオンは眉間に微かだが皺を寄せる。キースはその様子が目に入り、多少不審に思った。
「では。私は彼の呼び名に『L』という名前を提案します」
「『L』ですか?」
 L。エル。どこにでもありそうなその響きに、皆首を傾げた。もっと奇抜な名前を考えている者が多かったのである。
「はい。まず、このような簡単なものにしたのは理由があります。『盗賊』という言葉から繋げやすくするためです。『盗賊L』という繋げた形で使えば、皆直ぐに理解できます。
 そして、この『L』というのは、かなり昔に世の中を震撼させた大泥棒の頭の文字です。これはちょっとした遊び心ですが、いかがでしょう?」
 キースの提案に、特に反対する者はいなかった。そのため、これ以降ジュプトルの呼び名は『L』に切り替わる。
 その後、パトラスの言葉によって、これからの仕事すべてを『盗賊Lの捕獲』にあてるということになった。ギルドのポケモンたちはそれを聞いて武者震いし、声を張り上げる。キースも『盗賊L』の捕獲に携わることになる。その話題に逆らうものは一匹もいやしない。
 ペリーとパトラスにより、盗賊L捕獲の段取りが取り決められることになった。直ぐにでも捕獲作戦を始める姿勢である。

 ――――――――――すべては、キースの都合の良い方向へと進み続けていた。
 



* * 

 一旦解散後、リオンはポケモンたちの目につかないところで壁に手をつくと、壁の表面をえぐり取るような力で爪を壁に食い込ませた。 
『くそったれェッ……』
 そう言いたかった。こちらが何も言えないのを良いことに、好き勝手言いやがって!何が昔の大泥棒の名前だ!からかいやがって、ふざけるな!
 心の中で叫び散らす。
 ステファニーもキースを信じ込んでいるような様子である。この先、奴が、キースがどう動くのか、展開は目に見えている。だが……。
 ――――すでに、俺とルーファスの味方はいない。……シャロットさん。『この時代』においては、あなたもそうなんだろう。
 ルーファスはあなたの事を信じていた。この時代においても、もうしかしたらと、淡い期待を抱いていた。でも、仕方がないんだ。確かにあなたの選択は、普通のポケモンにはできないものだった。それはあの世界がそうさせたのだ。
 この美しい世界しか知らなかったあなたは、きっと分からないだろうな。この先の未来がどうなるのか。
 あなたの存在に、キースは既に気づいているだろう。守らなくてはいけない。まだ、あなたは殺されていない。
 それなのに、この無力感。俺は堂々とこちら側へ出てきていながら、結局何もできていない。お前は既に歯車の三つ目を手に入れている。ここで引き下がれない。引き下がる訳にはいかない。
 幸いにも、キースは俺の正体にまだ気づいていないらしい。だが、それも時間の問題だ。あの時のあの表情。俺に見せつけていたのか?唯一、意味が理解できる俺に……。いや、勘ぐりすぎか。
 しかし、おそらく疑いはあるはずだ。いつまで隠し通せるか……下手に一緒に行動したりすれば、最悪ばれてしまう。
 ……まだ死ぬわけにはいかない。お前の事も、シャロットさんの事も、俺は生かさなければならないのだから。


 


 …………おい、クロッカス。お前は、まだ生きているのか?

 ――――ならば、どうか、助けてくれ。頼むから…… 
  
 


■筆者メッセージ
気まぐれ豆雑談

サラ「ところで……世の中を震撼させた大泥棒って?」
作者「好みの女性を目の前にすると一瞬で下着以外の衣服を全て脱ぎ捨てベッドにダイビングする超次元的能力の持ち主だじょ〜〜」
ガリュウ「おい」
サラ「おい」
作者「わかった人は手を挙げるのじゃ〜〜〜〜」
ガリュウ「こいつ頭相当おかしくなってるぞ」
サラ「そうね。手っ取り早く楽にしてあげましょ」
作者「え、ちょ、やめて」
サラ「わかった人はァ」
ガリュウ「手を上げてェーーー」
作者「ァッ……」



夫婦「「ルパァ―――●」」
その後、作者の形をした雑巾が発見された。

雑巾「こいつらも相当頭おかしいよ」
ミシャル ( 2016/02/17(水) 21:51 )