マナフィの脳漿って水なの?(マナフィside)
「あれれ?」
ボクことマナフィは、サメハダ岩に戻るがいなや、首を傾げた。
ペラップにしばらく構って貰って、ハルキに合流しようと思っていたボクだけど、サメハダ岩にはせつなどころかハルキすらいなかった。空っぽのアジトに響いているのは波の打ち寄せる音だけだ。
「なんだかなぁ〜…」
今日のボク等はすれ違ってばかりだ。…どうも胸騒ぎがする。
せつなとハルキは背中を預けて戦える戦友で、仲間で、かけがえのない相棒だった筈なのに、どうしてこんなにも上手く行かないのか。
溜息混じりにごろんとハルキの寝床に寝転がったその時だった。
「確かここだったと思うんだけどな…」
「あ、誰かいますよ?」
―――突然、フードを被った二人組が内部に侵入してきた。
さて、ここでボクは考える。超考える。体の80パーセントが水のボクだけど、脳味噌考える。
ここはボク等のアジト→目の前にいる知らない人→即ち、排除!
「もんどーむよー!バブルこうせーんっ!」
ボクは二人に向かって技を繰り出した。せつなにトレジャータウンは非戦闘区域だって注意された気がするけど、きっと気のせいだ。
「…って、危ないな!」
バブル光線は二人組の片方に直撃し、フードを払った。現れたのは目つきの悪いジュプトルで、うちのメンバーにジュプトルの進化系がいたことを思い出す。
進化前のジュプトルも恐らく草タイプだ。水タイプのボクには不利過ぎる。
「ちょ、ちょっと待って下さい!私達は貴方に危害を加えたいのではありません!」
もう一人の方が必死に訴えているが、今のボクは信じられない。
「ふほーしんにゅーは犯罪なんだよ!」
「不法侵入じゃない、れっきと訪問だ!それよりお前は誰だ!?」
「ボクは素敵で無敵な探検隊のマナフィだー!」
「なんでそんなお前がここにいるんだ!?」
「それはこっちのセリフだよー!」
「オレ達が用があるのはお前じゃない!」
「…あのさ、」
ボク等が睨み合いを続けていると、聞き慣れた声が緊張した空気を裂いた。
「…もしかして、ジュプトル…?」
「…ハルキ、なのか?」
目を見開くジュプトルと、信じ難いものを見るような目のハルキ。そしてフードを脱いだもう一人の姿に「セレビィ、」と呟いた。
「…え?どういう状況?」
置いてけぼりなのはボクだけでした。