誰がポーカーフェース、だって?(ハルキside)
「せつなが俺に隠し事してるんだけど」
サメハダ岩にある住処に先に着いた俺、ハルキは、居ても立ってもいられなくなり、そこにマナフィを呼び出した。
マナフィは青いグミをもぐもぐと咀嚼しながら話を聞いている。
「どうしようか、マナフィ。俺せつなに用無しの烙印押されたら死んじゃうよ…」
「…ハルキってさぁ、」
グミを飲み込んだマナフィは俺の顔をまじまじと覗き込んだ。
「せつなの前ではしっかりしてるけど、ボクとかギルドメンバーしかいない時はダメダメだよねー?」
「うっ…」
核心を突くようなマナフィの言葉に呻く。
「仕方ないじゃん。やっぱり相棒の前では格好つけたいんだよ」
「せつなはハルキの、いつも笑っている不貞腐れ?なトコロが格好良いって言ってたのにねー♪」
ふてくっ…?
「……あ、ああ、不敵なトコロ、でしょ?」
「そうそう!それー♪」
吃驚した。影でせつなに悪口言われているのかと焦った。超焦った。ハルキさん泣きそうになったじゃないか。
…そう、マナフィの言うように、俺はせつなに対して見栄を張りがちだ。
だって、せつなが凄過ぎるから。かつてのパートナーであるジュプトルとの別れがあっても前を向いて生きている。結果的に助かったとはいえ、自分が消えてしまうという未来さえも受け入れた。
俺なんかが届かない程、せつなが眩しい。自慢の相棒だ。
でも、たまに考えることがある。
せつなには、俺が知らない過去があるんだな、ってことを。
それは、ジュプトルとのパートナーだったせつな。
もし、せつなにその頃の記憶が戻ったら、せつなは未来へ帰りたがるのだろうか。
「…そうしたら、嫌だな」
凄く嫌だ。相棒失格だけれど、それならせつなの記憶が戻らなくても良いとさえ思う。
「…ハルキ?何がイヤなの?」
「!」
ハッと我に返ると、マナフィが心配そうに俺を見つめていた。
「…何でも、ないよ」
「そう?」
「そう、大丈夫。急に呼び出したりして悪かったね」
「ホントだよー!…でも、ハルキがだいじょーぶになったならボクも嬉しいよっ♪」
…マナフィって喜怒哀楽が激しいな。まあ、俺に比べればかなり年下なのだから当たり前か。そろそろ音符マークを付けた会話が苦しい年頃だけれど。
「…さあ、せつなも遅いし、そろそろせつなを迎えに行こうか」
「せつな遅いねー?どうしたんだろ?」
「ギルドの前の十字路で別れたから、行ってくるよ」
「ボクも行くー!」
俺が立ち上がると、マナフィは俺の腕にまるで恋人のように絡みついてきた。…マナフィの性別はイマイチよく分からないけれど。
そんなこんなで、俺はマナフィとサメハダ岩を後にした。