02
御機嫌よう 皆さま、私の名は「きんのたまおじさん」 神出鬼没の小太りおじさんだ
私は20年前から慈善活動としてお金に困っているトレーナーに高額換金アイテム「きんのたま」を配っている
ほら、今日も あそこに若き駆け出しトレーナーがいる!
おじさん「はいっ おいっ そこのっ きみ」
女トレーナー「は、はい?」
おじさん「…それは おじさんの きんのたま!
有効に活用してくれ!」
女トレーナー「…え?」
おじさん「それは おじさんの きんのたま だ からね!」
女トレーナー「!? キャーーーッ!!!」
おじさん「ど、どうしたんだい?」
女トレーナー「痴漢ですっ!この おじさんが私に…きんのたまを!」
おじさん「痴漢!?!?何を言ってるんだ 君を!私は ただ君に高額換金アイテムを…」
そこに白バイに乗った警察がやってきた
警察「おい!そこの おじさん!何をしている!」
女トレーナー「おまわりさん!この おじさん 痴漢なんです!!!」
おじさん「おまわりさん 聞いておくれ!私はただ きんのたまをあげただけなんだ!」
警察「わかった!言い訳は署で聞こうか!」
そう言うと警察はおじさんに手錠をかけ強制連行をした
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警察署
警察「…それで何をしたんだ」
おじさん「違う!私はただトレーナーがお金に困っているだろうと思い…慈善活動としてきんのたまをあげただけなんだ!」
おじさん「おじさんの きんのたまをね!!」
警察「は!?!?それは犯罪だぞ!!!!」
おじさん「全て勘違いなんだ!きんのたま というのは貴重なものなんだ!」
警察「ああ そうだろうな!2つしかないからな!!!!!!!!!!!!」
おじさん「そっちの きんのたまじゃなくて!!」
警察「もう十分 分かった!!お前は性犯罪者だ!!!!!!!!!!!!」
おじさん「違うっ!私は20年前から お金に困ったトレーナーにこの活動をしてきだな!」
警察「さては貴様!!常習犯だったのかああああああ!!!!!!!!!!!!」
おじさん「あーーーっ!だから全て勘違いなんだっ!!!!!!」
警察「見苦しいぞ!お前は重大な性犯罪者だ!!懲役10年を命じる!!!!!!」
おじさん「そっ、そんな!!!!!」
警察官に囲まれ無理矢理パトカーに詰め込まれる
おじさん「勘違いなんだ!!放してくれ!私は無実だ!!」
警察「どんな言い訳も もう通用しないぞ!!お前はこれから十年間 刑務所にいてもらうことになる!十分 反省をするんだな!」
おじさん「ちくしょう!!!」
そうして牢屋に閉じ込められ、私は刑務所に十年間 収監された
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刑務所生活一年目
おじさん「どうして こんなことに…私はただ慈善活動をしてトレーナーを救っていただけなのに」
刑務所生活二年目
おじさん「もう散々だ!ここにいるやつらは皆 荒くれ者で一緒にいると こっちまで気が狂いそうだ」
刑務所生活三年目
おじさん「くそっ…こんなところ早く出て行きたい…何で私がこんな目に…」
刑務所生活四年目
おじさん「元はといえば あの女トレーナーが悪いんだ!くそくそくそくそ!!!!」
刑務所生活五年目
おじさん「やっと半分 もう耐えられない」
刑務所生活六年目
おじさん「ああああああああ!!!!!!!女トレーナー、警察、覚えとけよ。俺がここから出たら その時には…ひひひひひひひ」
刑務所生活七年目
おじさん「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
刑務所生活八年目
おじさん「……私はどこか気が狂っていたようだ 一周回って元に戻ったよ あと二年か」
刑務所生活九年目
おじさん「元はといえば私が悪いんだ 誤解を与える表現だったのかもしれない 今後は名前の改定が必要だな…いや もう きんのたま なんか配らないか」
刑務所生活十年目
おじさん「ここまで長かった 遂にやっと…」
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警察「もう二度とあんなことするんじゃないぞ!」
おじさん「はい、お世話になりました…」
こうして おじさんは社会復帰を果たすことができた
おじさん「…しかし、所有していた きんのたま も全て押収されてしまったし…私の資産は0円だ」
おじさん「こんなジジイを雇ってくれる仕事もないだろうし、いっそ…」
おじさん「この世界から いなくなってしまおうか」
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シロガネ山 頂点
おじさん「ううっ…寒い…これは堪らないな…うん、ここでなら楽に逝けそうだ」
おじさん「思えば人の為にきんのたまを配るだけの つまらない人生だったな」
おじさん「……あの時のトレーナー達はどうしてるかな?みんな、元気かな?」
???「ああ 元気だぜ」
おじさん「!? 君は…!」
レッド「おじさん…久しぶりだな」
おじさん「30年前!きんのたまを渡した少年じゃないか!懐かしいなあ!」
レッド「あの時は手持ちのポケモンがヒトカゲしかいなくてさ モンスターボールが欲しかったんだけど金に困っていて…」
レッド「そんな時 おじさんが きんのたまをくれたんだ あの時は本当に助かったよ」
レッド「ほら あの時のヒトカゲ…見違える程強くなっただろ?」
リザードン「がおおおおおおおおおお」
おじさん「…本当に立派になったな少年」
レッド「だからよ……死なないでくれよ!おじさん!!!!!!!!」
おじさん「……もういいんだ レッド君、最後に素敵な思い出をありがとう」
レッド「…ッ!」
おじさん「…悔いはもう なくなったよ」
???「「「「「ちょっと待ったああああああああああああああああああああああ!!!」」」」」
おじさん「!?!?」
おじさんが後ろを振り向くと そこには無数のトレーナーがいた!
おじさん「……一体なんなんだ これは?」
「おじさん!あの時はありがとう!」
「お陰でキズぐすり買えたんだ!」
「命の恩人なんだよ!」「死なないで!」
「おじさん!」「ありがとう!」「あの時は助かったよ!」「本当にありがとう」
……………………無数に湧き出るトレーナー達の感謝の声 暖かい声援
レッド「こいつらは 昔おじさんに きんのたまを貰った奴らだ 今じゃジムリーダーやベテラントレーナーとして皆 立派に活動をしている」
レッド「それは おじさんのお陰なんだ!」
おじさん「…あぁ こんなにも…私は…」
おじさん「グリーン…ハヤト…シルバー…オダマキ…エメラルド…トウキ…サトシ…他にも…たくさん!」
その数 およそ80000人!!
「「「「「「「「おじさーん ありがとーーーー」」」」」」」
80000の声が こだまとなって響き渡る
レッド「これで分かっただろう?」
おじさん「…ああ 私は…こんなにも愛されているんだなあ 幸せ者だよ 私は…」
思えば 私は どれだけ感動的な映画を観ても悲しい事が起きても涙を流した事がなかった
刑務所の中でも…
しかし…今 この時 私は号泣をした
声を振り絞り泣き叫んだ
人生でこんなに幸せな涙があるとは…
この歳になるまで知らなかった
レッド「…おじさん それで1人 おじさんにどうしても伝えたい事がある奴がいてさ…」
おじさん「…誰なんだ?それは…」
レッド「出てこいよ 大丈夫だ」
???「はい…」
おじさん「き、君は あの時の女トレーナー!」
???「はい、そうです…、私の名前は…」
「シロナです」
おじさん「シロナ…」
シロナ「今はチャンピオンをやっています…
その…あの時は痴漢と間違えてしまい すいませんでした!!!」
おじさん「………」
シロナ「その きんのたまが どういうものかイマイチ分かってなくて…おじさんの善意を踏みにじってしまい…」
おじさん「…もう いいんだ もう いいんだよ
立派になったな あの時から見違える程成長して…今はチャンピオンになったんだって?」
おじさん「今まで よく頑張ったね 私は君を誇りに思うよ」
シロナ「…あ、ありがとうございます…私 あの時からずっと 申し訳なくて…」
シロナは涙を流しながら謝罪をしてくれた
私は実際 もうあの時の事など気にしてない
それ以上に皆からの思いが嬉しかった
レッド「…それで おじさん これからどうするんだ?予定がないなら一緒に海外旅行にでも行くか?」
おじさん「いや…そんな事よりやる事があるんだ 皆も協力してくれないか?」
レッド「?」
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御機嫌よう 皆さま、私の名は「きんのたまおじさん」 神出鬼没の小太りおじさんだ
私は30年前から慈善活動としてお金に困っているトレーナーに高額換金アイテム「きんのたま」を配っている
一度は刑務所に入り資産が0円となったが皆に貰ったお金でまた元どおりの生活を取り戻せた そして きんのたまを大量に購入し またまた懲りずにこうして活動をしている
ほら、今日も あそこに若き駆け出しトレーナーがいる!
おじさん「はいっ おいっ そこのっ きみ それはおじさんの きんのたま!」
ー完ー