Interlude――鍾乳洞に浮かぶ青い光――
フィルド達が『高原の麓』で一拍休んでいた頃――――
――大鍾乳洞 奥地――
大陸から少し離れた常夏の南の島――熱帯特有のジャングルに群を成す『巨大岩石群』と呼ばれるダンジョンの中にある『大鍾乳洞』。猛暑となっている外とは対照に涼しげな洞窟内では地上から染み出たカルシウムを含んだ水が滴り上には純白のつららを、下に鍾乳石を形成している。その奥地でポツンと淡い青緑色に光る何があった。幾何学的な模様の檻と光の揺りかごに守られているそれはこの世界の時間を司ると言われている時の歯車=B非常に透明度がある水に浸されていた歯車はまるで自身が水を浄化しているような雰囲気を与える。そこへあるポケモンが現れた。
「本来ならここに番人がいると聞いたが……どうやらいないようだな」
その者が言うにはどうやらここには番人がいるらしい。しかし、この奥地には訪れたポケモン以外の気配がないように感じる。それでも気を緩める事はしないポケモンは水の中で光る歯車に手をかけた。
「――これで二つ目だ!」
その者の余韻が反響する中、水中から素早く手を抜く。その手には時の歯車≠ェしっかりと握られていた。ポケモンは麻袋に歯車を入れるとその場から迅速に立ち去る。
そして……『大鍾乳洞』――いや洞窟を隠していた『巨大岩石群』が不気味なほどまで静まりかえり、燻った灰色に覆われる。
それは――――
――――時の歯車≠ェ
また盗まれた事を示唆していた。