プロローグ
――――――ここはどこ?――――――
――――――暗くて何も見えない――――――
耳に入ってくるのは苦痛や悲痛に悶えたり苦しんでいる悲鳴――――――
――それがあちこちから
木霊している――
――――あたしも体中痛くて息をするのも苦しい――――
どこからか足音が聞こえて――
――!! こっちに近づいている……!?
『逃げなきゃ!!』
――――気がついていたら走り出していた。全神経が逃げろ、と警告している。あたしは何も考えないでただ走り続けた。
でも――――
――足音はまだ聞こえる。それどころかどんどん近づいてくる。
『……あッ……!?』
だけどここに来て足が縺れてあたしは転んでしまう。やがて足音の持ち主が追い付き見下した。――その口元がニヤリと歪んだような気がして――――
『やだ……来ないでぇ!!』
あたしは怖くて必死に追い払おうとしたけども相手は全く動じずこちらを見ている。
――あぁ、あたしはきっと――
もう、抗っても無駄かもしれない。
そう思ったから追い払うのをやめる。
体中痛いし……もう楽になりたい……。
だけど――――
“――――て……しっ――んだ――”
頭上から誰かが呼んでいる。
生きる希望はさっき捨てたのに――――
――――心のどこかでは諦めたくなかった。
無意識に手を上へと伸ばす。
すると――――
暖かい温もりを持った両手があたしの手を優しく包み込む。
“――もう、大丈夫だよ――がそばにいるから――”
はっきりとその声が聞こえた時――――
――――意識が急に遠くなっていった―――――