02
灰色の岩肌。
植物はまばらに生えている雑草だけで、高い木などは全くない。
時折風が吹き、それを揺らして去って行った。
私とキイはそのなかを歩く。
「オオ キテクレタカ。ビビビ!」
大きな穴がぽっかり空いた場所で、依頼人のコイルは待っていた。
・・・あれ、依頼人じゃなくて依頼ポケモン?
まあいいや。
「コノドウクツニワレワレノナカマガイルンダ。ビビビ。」
別のコイルが言う。話し方までカタカナだとは・・。
「ナカマハB6Fニイルハズダ。タスケテクレ!ビビビ!」
ビビビは口癖なのか、必ず語尾に付ける。
私はそんなことを考えながら、テキトーに聞いていた。
「デモキヲツケロ。ココノポケモンタチハツヨイ・・・。」
「まあ、要するにB6Fにいるコイルを助けりゃいいんでしょ。」
めんどい説明などいらん。
ちゃっちゃと終わらせてしまおう。
私は洞窟に入って行った。
あわててキイがついてくる。
コイルたちは心配なのか、そんな私たちをずっと見ていた。
ガッ!
「ぐっ・・・!」
体当たりの衝撃で私は吹き飛んだ。
わき腹がずきずきと痛む。
爪を地面に突き立てて止まったので、地面に溝が残った。
相手はコラッタ。
ノーマルタイプの、やたら沢山いるネズミだ。
「ザコのくせに技繰り出してんじゃねええよ!!」
私はその声で鳴き声を繰り出した。
・・・鳴き声って可愛い声で油断させるんだっけ。
まあそんなことはどおでもいい。
鳴き声は効いているようだった。
「ザコは言い過ぎでしょ!ポケモン権に反してる!!」
と、キイ。
なんだその人権もどきは!
大声でくらくらしているコラッタに、体当たりを繰り出しながら私は思った。
「いっちょあがり〜。」
コラッタを倒した時だ。
突然、体の中に熱いものがこみ上げた。
これは・・・喜び・・・?
「わあ!ルノ、レベルあがったんだ!」
レベル?
「レベルあがるってうれしいことなんだ・・・。」
私は倒したコラッタを見ながら言った。
なにか強くなった気がする。
「キイは今レベル何?」
「救助隊バッチの、そのボタン押してみて。登録されている仲間のステータスが見られるよ。」
・・・なにそのゲーム的要素は・・。
便利といっちゃ便利だが。
私はキイのさしたボタンを押した。
黄色い光が出てきて、パネルのようなものが空中に出された。
透明で、触れられない。これが映像だということが分かった。
これも技なのか・・・?
キイに言われるままに、『チーム』を選ぶ。
私はそこに表示されている文字を読んだ。
「えっと・・・」
ルノ レベル8
けいけんち735
つぎのレベルまで515
ほかにも、HPや攻撃/防御など沢山の項目があった。
キイは・・・。
キイ レベル10
けいけんち730
つぎのレベルまで545
「レベル10〜〜〜!?」
私よりも高いじゃないか!
経験値も私より低いのに・・・なんで?
「個体差だよ。イーブイよりピカチュウのほうが育ちやすいのかもね・・・。」
むうううううう。
「そんなにふくれないでよぅ・・・。ほら、先行こう?」
ふんだ。