救助隊ポラリス!【ポケモン不思議のダンジョン〜赤〜】
第二章 でんじはのどうくつ
01
目をゆっくりとあける。
まず、わらが見えた。
それから茶色い毛・・・イーブイの毛。
やっぱり。
体、イーブイのまんまだ。
横向きで寝ていた私は、仰向けになって天井を見上げた。
ボウル状の丸い天井。
目のはじには、光の入ってくる窓がある。
頭がぼうっとする・・・。
プールで泳いだ後のように、頭の奥ががんがんと痛む。
昨日は沢山のことがありすぎて疲れた。
目を開いていることにさえ、エネルギーを使うようだ。
もう一度寝むりたい。
開いた時とおなじようにゆっくりと目を閉じる。
暗くなっていく世界を眺めながら、私は思った。
このまま寝て起きたら、なにもかも元どうりならいいのに。
面倒なことはなかったらいいのに・・・。

朝の光が顔に降り注ぐ。
目を閉じていても眩しいほどだ。
まだねむい。けど・・・。
もう一度寝る事はさすがにだめだよな・・・。
私は起き上り、近くにあった水で顔を洗った。
頭痛は前よりも良くなっていた。
だが、まだ若干ぼうっとする。
いやいや、二度寝はまだしも三度寝はだめだ。
そう言えば・・・。
昨日のポケモン、キイっていったっけ。
確か一緒に救助隊やることになったんだよね。
キイはどうしてるだろう?
外に出てみようか。
もしかしたら会えるかも。
救助隊活動が楽しみで、早く起きすぎて玄関前で寝てたりして。
私は苦笑する。そんなことないか。
私は玄関へ向かった。
廊下とかはない造りになっているから、昨日来たばっかでも迷わない。
ドアはしっかりした木を集めてつくられている。
私は頭で押すようにして、ドアを開けた。
しかし、ドアは開かなかった。
何かにさえぎられているようだ。
「・・・?」
私はドアの隙間から、外の様子をうかがった。
視界の80%をしめるものは、見覚えのある黄色いものだった。
「キイイイイイ!!」
「・・・ピ!?ってルノ。なんでこんなとこにいるの?」
力任せにドアをこじあけると、キイは驚いたように目を開いた。
「あ、そうだ・・・。ボク、楽しみで朝早くおきすぎちゃったんだ・・・。」
そんなことあったよ!
救助隊活動が楽しみで、早く起きすぎて玄関前で寝てたりしたよ!!
「そうだ、ポスト!ボク、ルノの事待ってたんだ!」
キイははじけるように立ち上がると、ポストの方向へ走って行った。
待ってなくてもよかったのに。
「昨日結成したから、今日はあれが届くはずだ・・・。」
『あれ』?
「やっぱりあった!救助隊スターターセット!」
キイが取り出したものは、四角く青い箱だった。
プラスチック・・・?
「なんかこの世界ってさ、科学が発展してるのか発展してないのかよくわかんないよね・・・。」
「なんか言った?」
「いやあ、なにも?続けて。」
キイが箱を開ける。
そこには茶色い皮でできたバックが入っていた。
他にも細かいものが色々あるが、それはキイに任せよう。
「これは救助隊バック!道具とか木の実とかが入れられるよ。」
そう言うと、キイは木の実を三つ取り出した。
バタフリーと呼ばれてた蝶々からもらったものだ。
「バタフリーさんからもらった木の実はここに入れとくね。」
木の実はキイの手を離れ、バックの中に入って行った。
キイはバックを地面におくと、次に翼のような飾りが付いたバッチを取り出した。
「救助隊バッチ。救助するポケモンにかざすと、広場に返すことができるすぐれものさ。」
やっぱ、わかんない・・・。
あれか、科学じゃなくて技とかそういうものか?
それともボールの赤い光と同じようなものなのかな・・・。
「救助隊バックは、ランクが上があがるともっと大きいものに変えてくれるんだ。救助の邪魔にならないよう、小さいサイズで多くの物を入れられるようになってるやつ。」
キイが説明を続ける。
「ランクは救助隊バッチの色で表わされるんだ。今はまだノーマルランクで赤色だけど。いつかきっと、ゴールドランクになって見せる。それがボクの夢なんだぁ・・・。」
キイはどこか夢見がちな目になり、バッチを見つめた。
「ふーん。」
夢、かあ・・・。
私の夢はなんだったっけ。
忘れちゃった。
ぜーんぶ・・・。
「他に救助依頼は・・・ないの・・・かなあ・・・。」
キイはポストのふたを開け、中を探るように目を動かすと、がっかりしたように溜息をついた。
「ないよね・・・。昨日結成したばっかだもんね・・・・あはは。」
キイは力なく肩を落とす。
なぐさめる?なにそれおいしいの。
ばさ!
「・・・ん?」
ばさ!ばさ!
キイが顔をあげた。
私も空を見上げる。
ばさ!ばさ!ばさ!
青い翼、黄色い大きなくちばし。
あれは・・・ペリッパーだ。
「お届け物ダヨ!」
カラン。軽い音をならしながら、郵便物はポストの中に入った。
ばさ!ばさ!ばさ!ばさ!
目を輝かせるキイを見ながら、ペリッパーは飛び立っていった。
「救助依頼かもしれない!ルノ、ポストを見てみて?」
「・・・なんで私?」
「いや・・・いざとなると緊張しちゃって・・・。」
なんという・・・。
私はあきれながらポストをのぞく。
白い横長の封筒が入っていた。
それを取り出して封を切ると、なかからやたらカタカナが使われている手紙が出てきた。
「読んで読んで!」
キイが子どものようにせがむ。
まあ、私も年齢的には子どもなのだけど。
「うーん・・・読みにくいな。じゃあ読むよ。」
私は手紙を読み始めた。

ビビビ!
 キミタチノ コトハ
 キャタピーチャン カラ キイタ。
 タノム。タスケテクレ。
 コイル ガ ピンチ ナノダ。
 ドウクツニ フシギナ デンジハガ ナガレタヒョウシニ・・・。
 コイル ト コイル ガ クッツイテ シマッタノダ。
 レアコイル トシテ イキテイクニモ イッピキ
タリナイシ コノママデハ チュウトハンパ ダ。
 オネガイダ。タスケテクレ。ビビビ。
 − コイル ノ ナカマ ヨリ −

よ、読みにくかった・・・!
「ルノ!」
手紙を読み終わると、キイがきらきらした目で私を見た。
「・・・はいはい、救助ね。初めての。」
「さあ、早く行こう!」
キイは新品のカバンを肩にかけ、私を待たずに駆け出した。
・・・リーダーっていったいなんなんだ・・


■筆者メッセージ
=====あとがき=====
でんじはのどうくつ、来たねぇ。
ル「ま、ね。」
できるだけ原作に沿うようにしたいな〜。
キ「でもそれだと面白くなくない?」
だから、ちゃんと用意してるよ。
ネイティオのところでは原作と違う動きするしね。
キ&ル「それネタばれだよね!?」
こまめ ( 2014/03/24(月) 12:03 )