04
枝と枝の間から、真昼の光が差し込んでいる。
ときおり強い風が吹き、その光がゆらゆらと揺れた。
そして・・・。
その光と共に、地面も揺れた。
「っ!?な、なに・・・!?」
揺れは収まるどころかどんどん強くなっていく。
木々がざわざわと鳴り、光のゆれはいっそう強くなった。
―地震だ!
4本の足で踏ん張っても、強い揺れで倒れそうになる。
やがて、地震はだんだんとおさまっていった。
「こっちの世界でもあるんだ・・・!」
私はつぶやき、ふとキイに目をやった。
「ってなに、その傷。」
キイは傷だらけだった。
切り傷とかじゃなくて、打ち傷とかそう言うの。
「地震さ・・・。」
キイが消え入りそうな声で言う。
そういや効果抜群だ。
「ほら、さっさと立つ!」
「うええ・・・ルノ、冷たいよお・・・。」
あまったれるんじゃねえ。
「・・・!!!」
ほおの傷をさすっていたキイが、目を見開いた。
「ルノ、あ、あれ!」
キイが指を指す。
指が指す木の上を見ると、緑色の幼虫のような物が・・・。
「なにあれ、きもちわる!」
「ええ!?ちょっと、あれがキャタピーちゃんだよ!」
おう・・・。
「助ける気がちょっと削れた。」
「ちょっとおお!!」
私はそらしていた目を、もう一度キャタピーのいる木の上に向けた。
キャタピーは必死になにかを叫んでいるが、ここからじゃ遠すぎて聞こえない。
姿さえ、かろうじて見えるぐらい遠いのだ。
待って。茶色い翼みたいなのも見えるし。
「・・・?」
私は目を疑う。
「えっと、キャタピーって飛行タイプだっけ?」
「ちがうよ!あれはポッポだ!」
え、おい。それって食物連鎖的にやばいんじゃ・・・。
私はちょっとだけ後ずさりした。
キイが気がついてないのを確認し、ダッシュ!
「よし!たすけ・・・ってルノ、なに逃げてんの!?」
木になっていた、リンゴが頭にあたった。
私は避難所(仮)である木の上から、キイを見下ろす。
だって、戦い方なんて知らないもん・・・。
「だいじょうぶ!タイプ的には勝ってる!」
「無茶言うなあ!」
ポッポがこちらを向いた。
こちらに気がついたみたいだ。
「そりゃそうだ。幼虫よりネズミの方が食べ応えあるしね。」
「人ごとみたいにいわないでよ、ルノ・・・て、うわあ!!」
ポッポはキイに標的をかえ、木の上から急降下してきた。
キイはギリギリよけたが、毛が何本か抜け、飛び散った。
「た、助けて!ルノ!!」
「助けてって・・・自分で何もしないのかよ。」
私は木になっていたリンゴをもぎ取る。
「ルノ選手、振りかぶってぇ・・・なげた!!」
リンゴはポッポに向かって、一直線に向かっていった。