救助隊ポラリス!【ポケモン不思議のダンジョン〜赤〜】
第一章 ちいさなもり
03
「ねえ・・・」
だれかが呼んでいる。
私を・・・私の魂を・・・。
だけど。
『ダレカ』じゃ、ない。
「ねえ・・・」
しっかりとした地面が、私をささえている。
あのときではない。
「ねえってば・・・」
『ダレカ』ではない、だれかが私を呼んだ。
ちがう。だれかじゃない。
『ダレカ』に聞きたいことがあるのに。
「ねえ、起きてよ!」
だれかは、私を強く揺さぶった。
たまらず私は跳ね起きる。
「ああ、よかったあ!急に叫んで倒れちゃうんだもの。」
声のした方を見ると、あの黄色い物体がそこにあった。
葉っぱのすきまからではよく見えなかった顔を、満面の笑みにして私を見ている。
いや、まて。TVで見たことあるぞ。これ・・・。
たしかCMで・・・X○で、○Yで。
「ピカチュウウウウウウ!?!?」
見違えるわけない。
ネズミのくせにウサギ耳のあの!
レッドの相棒のあの!
「そうだけど・・・。あ、自己紹介がまだだったね。」
そしてポケモン知らない人でもだいたいは知ってるあのポケモンは、私の前で平然と自己紹介を始めた。
「ボクはキイ。君の言ったようにピカチュウだよ。」
そう言って、キイは黙った。
どうやら私の返事を待っているらしい。
「い、いい名前だね・・・」
「でしょ!」
ナルシかーーーー!!
「で、君は?ここらへんじゃ見かけない顔だけど・・・。」
見かけない顔?
まって、私はここに住む・・・。
住む・・・。
私は・・・。
あれ?
私は・・・誰?
私は、ニンゲン。でも・・・。
記憶が・・・ない。
「・・・?君、少し変わってるね・・・。じゃ、名前は?名前はなんて言うの?」
名前・・・。
そう、私の名前は・・・。
「ルノ。」
「そう。ルノって言うんだ!なんか・・・。」
キイは私を見て、指さした。
「おもしろい名前だね!」
ブチッ。
私はキイの胸ぐらをつかむ。
「はい、すみません。いい名前です。はい。だからおろしてえええ!!」
「よろしい。」
丈の短い草の上に、キイを下ろした。
キイは崩れ落ちた後、思い出したように目を見開いた。
「あ、そうだ!キャタピーちゃん!」
キャタピーちゃん?
そういえば、あの蝶々がそんなこといってたような・・・。
「キャタピーちゃんががけの下に落ちちゃったんだ!」
頼んでもないのに事情を話し始めるキイ。
「そのがけの下はこの小さな森で・・・。とにかく助けなきゃ。キャタピーちゃんはまだ小さいし、森には危険な野生のポケモン達がいる。」
「だから?」
「だから・・・ルノ、君についてきてほしいんだ。」
キイは懇願するように私を見上げる。
そして私は答えた。
「・・・。やだ。」
「ですよね〜。じゃなくてえ!」
キイは私のしっぽに抱きついた。
「すくなくともボクよりは強いじゃん!頼むよ、ねえ・・・。」
「いやだ。ていうかさ、私たちが行くよりプロに頼んだ方がよくない?」
キイはまだ見つめる。
その目には、少しだけ涙がたまっていた。
「プロ?たとえば?」
「たとえば・・・警察とか、救助隊とか・・・。」
キイはうろたえたように首を振った。
ていうか泣いてるし。
「ケイサツはいないけど、救助隊なら。いるよ。」
「じゃあ、そいつらに頼もう。危険な野生ポケモンがいるんでしょ?私たちじゃ返り討ちになるに決まってる。」
「そんなの・・・!」
キイが立ち上がった。
その勢いがあまりにもすごく、私はびっくりしてキイを見上げた。
立ち上がったキイは、私より一頭分背が高かった。
「そんなの、行ってみなければわからないじゃないか!」
「え・・・?ちょ、まっ・・・!!」
キイは私をつかむと、木と木の間に引きずっていった。
森の奥だ。
「キイ!?」
「助けなきゃ!僕たちで!」

■筆者メッセージ
=====あとがき=====
ル「終わり方ーーー!!!」
自覚はしている!
なんかすごくもやもやした終わり方だとは。
ル「ならなおせよ!」
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追伸:2014/3/21 に拍手メッセージを下さった方へ
拍手ありがとうございます!
創作の励みになります〜。
これからもよろしくおねがいしま(ル「ずうずうしいな、おい!」

こまめ ( 2014/03/21(金) 11:41 )