キバとグランブル1
フウタが毎週見ている番組「チャンプ」は非常に人気がある。
毎週抽選で選ばれた挑戦者が「チャンピオン」とバトルをし、勝った場合は自分がチャンピオンになれるというシンプルなルールだが、子供たちには受けがよかった。
今のチャンピオンのマサフミというトレーナーは現在最高記録の7連勝中で、フウタはマサフミのポケモン、ガブリアスのキバが大好きだった。
ピンチの時もマサフミの指示を的確に聞き、豪快な攻撃で相手を倒す。
そんなキバはフウタにとって憧れだったのである。
「マサフミさん、今日も勝てると思いますかね?」
「うちのポケモン達なら大丈夫でしょう。」
番組が始まってすぐの司会の質問に、マサフミは落ち着き払って答えた。
マサフミは中肉中背な普通の青年といった感じで、今日はTシャツにジーンズを着ていた。
「始まるぞグランブル!まだチャンプは見たことなかったよね!」
フウタはわくわくしながらグランブルに語りかけた。
その声を聞き、グランブルはテレビに目線を向けた。
挑戦者の紹介が終わり、すぐにバトルが始まる。
「頼んだぞグラエナ」
「いけユキノオー!」
挑戦者のグラエナとマサフミのユキノオーが対峙する。
二体共図鑑でしか見たことのないポケモンだ。
他の地方から連れてきたのかもしれない。
フウタはそんなことを思いながらもキバの登場を待ちわびていた。