そんなにいきたいのですか?
逝きたいのです。
一人ぼっちの僕は、その場で黙る。

『この世から意味なく命が消えるのは誰にとっても不本意ですわ!』

そう言われた。

でも、僕は消えると決意したんだ。

ズヴークがいない今は絶好のチャンス。

台所から果物ナイフをとってくる。

「ふぅ…よしっ」

ズヴークには悪いけど、僕はここで消えさせてもらうよ。

お構いなく腕に振り下ろそうとしたその時──



体ごと宙に浮いて、果物ナイフは弾き飛ばされた。

「何をしていますの?!
貴方馬耳東風ですわね!」

僕を下ろした。

無重力はいきなり重力に変わる。

「いてっ」
「私は貴方の気が済むまで邪魔をいたしますわ!!」

ズヴークの目からは決意が読み取れた。

となると、ズヴークは僕が寿命として死ぬまで追い続けるのか。

「では、山に移りますわ。」

扉をガサツに開いて、外に出た。





RuBi ( 2014/08/17(日) 10:59 )