逝きたいのです。
一人ぼっちの僕は、その場で黙る。
『この世から意味なく命が消えるのは誰にとっても不本意ですわ!』
そう言われた。
でも、僕は消えると決意したんだ。
ズヴークがいない今は絶好のチャンス。
台所から果物ナイフをとってくる。
「ふぅ…よしっ」
ズヴークには悪いけど、僕はここで消えさせてもらうよ。
お構いなく腕に振り下ろそうとしたその時──
体ごと宙に浮いて、果物ナイフは弾き飛ばされた。
「何をしていますの?!
貴方馬耳東風ですわね!」
僕を下ろした。
無重力はいきなり重力に変わる。
「いてっ」
「私は貴方の気が済むまで邪魔をいたしますわ!!」
ズヴークの目からは決意が読み取れた。
となると、ズヴークは僕が寿命として死ぬまで追い続けるのか。
「では、山に移りますわ。」
扉をガサツに開いて、外に出た。