生きませんよ
あ、このままでは僕は消えることができない…!
咄嗟に手を離した。
「?
生かないのですか?」
「僕は生きませんよ。」
「意味が分からないです。
そうだ。
私のことをзвукと呼ぶことを許します」
「え?今なんて?」
「звукと。」
「え?え?」
よくわからない発音をしだす彼女。
向こうは、この発音が普通だと思っているらしい。
「звукですよ?」
「ず、ずぶ?」
「звукはзвукです。
あ、ここはニホンとかいうところですね。
ズヴークと発音してください。」
「ズヴーク?」
「はい。」
「ズヴーク。」
「なんでしょう。」
「君は奇抜な色だよね?」
「……。まあ、そうですね。」
彼女…ズヴークは一旦黙った。
何があったのだろうか?
「私はオンバーンの色違いです。
嬉しいやら、悲しいやら。」
眉を下げると、急に顔を明るくする。
「貴方、今生きたいと思ってますよね?」
「そんなわけ…」
「では、私についてきてください。
途中ではぐれたら私、この世で一番残酷な方法で貴方を死においやります。
貴方が一番臨んでいない方法で。」
と、笑い、ズヴークと森の中に消えていった。