おまけ:少年と猫
1.長い夏休み 入道雲を追って
今日も少年は 坂道を下っていく
笑う夏の果実 影を広げては
止まぬ蝉時雨
掻き分けて 君と走る
微熱のような衝動に 慌て焦って躓いた
君がいないと困難に 挫けそうと気付いたから
愛を学んだ少年に 猫は明るく微笑んだ
「君は一人じゃない」なんて 声に出さなくても 良かった
2.雨雲は去った 湿り気纏って
傘を畳んで 坂道を上っていく
駆ける夏の疾風 山を吹き抜ける
歌う鳥の群れ
追いかけて 君と進む
にこり笑った少年の 丸い笑顔が目に浮かんだ
君は僕の太陽で 僕は君を見守る月
言葉が通じなくたって やるべきことは一緒だった
手を取り助け合うことで 鮮やかな世界に 変わった
とある夏休み 綿雲を追って
色鉛筆は 縁側に置き去り
微熱のような衝動に 慌て焦って躓いた
君がいないと困難に 挫けそうと気付いたから
愛を学んだ少年に 猫が優しく微笑んだ
「境界なんてない」なんて 声に出さなくても 良かった