142話 アルティメットゾーン
「僕の本当の狙いは、君の背後にあるあの機械だ! あの機械にはアルセウスジムで集めた正の精神エネルギーが貯めてある。それを壊してしまえば、僕らの次元を破壊するほどのエネルギーは生み出せまい!」
「なっ……! 小癪な真似を!」
初めて有瀬の顔に焦りが走る。しかし、有瀬の姿が一瞬で消えてしまうと同時、爆発音と共に三日月カッターが霧散していく。
「……そんな、妨害する物はもうないはずなのに!」
『一之瀬、君の発想には恐れいったよ。しかし、それもあと少しで届かない。……私を誰だか忘れたとは言わせんぞ』
確かに有瀬の声ではあるが、先ほどまでとは違って少しエコーしたかのように聞こえる。爆発の際に生じた煙でまだはっきりとは見えないが、球体の機械の前に立ちはだかる大きな影……。あれこそ有瀬悠介の真の姿。
「アルセウス……」
『この姿で君の前に現れたのは二度目だな。正直驚いたよ、君が実力行使で挑むだなんて。しかしその程度の攻撃を消し飛ばすのは容易いことだ』
「な……、アルセウスが突然!? てかどうして! 何がど、どうなってんだ!」
たじろいだあまり、背後で翔君がしりもちをつく。その横で、突如黄緑色の光の渦が三つ現れて長岡恭介、風見雄大の二人、石川薫、松野藍の二人、そして最後に藤原拓哉が現れる。
「み、皆! 無事だったか!」
「翔、お前こそ! ってこれは一体何がどうなってんだよ……」
皆再会出来た喜びと、目の前の異常な光景に対する衝撃で何をどう思えばいいかも麻痺している。挙動不審な位に辺りを見渡して、なんとか自分の情報と照合しているようだった。
「ここにも一之瀬さんが……。ということはこれが本物か?」
「本物? まるで一之瀬くんの偽物がいたのね……」
「風見と戦ったのも偽物だったってことか」
「ちょ、ちょっと待って。じゃああそこのあのデカイのは?」
「見たとおりで言うならアルセウス、なはずだよね」
「とっ、突然現れたんだ! あの装置を守るように。しかもあいつ、有瀬の本体だとかかんとか」
「というよりもそもそもどうしてこの二人が戦っているんだ」
このままではラチが開かない。翔君もあんな風に混乱しているならば、僕がまとめなければ。
「皆、聞いてくれ!」
大声を張り上げたからか、六人の意識がこちらに向く。
「順番に話そう。有瀬はこのアルセウスジムを利用して僕らの正の精神エネルギーを集めていた。そしてその集めたエネルギーを利用して僕らの次元を滅ぼす気でいる。そして僕は利用されていた。有瀬に僕らの次元を守るためだ、と言われてね! だから僕は僕のけじめをつけるために有瀬と戦っている。そして、その有瀬の真の姿があそこにいるアルセウスというわけだ」
「有瀬悠介、ありせゆうすけ、ありせゆう、あるせゆう、あるせうす、アルセウス……。なるほど、そういうことか! って分かるかんなもん!」
アルセウスが一人で勝手に怒鳴り散らす長岡くんをギロリと見つめると、傍目でも分かるくらいすくみあがった
。決して出会うはずのない異形の大きな生き物。そしてあの凄みで睨まれると、生きた心地がしなくなるのも当然だ。それが「創造神」であるのだからなおさらだ。僕だってアルセウスに渾身の攻撃が防がれたときはダメだと思った。
『有瀬悠介……。それは君たちの次元での仮の姿。実体ではあるが生命はない、まるで幻影のような特別製だ。折角だから少しは私の話をしようか。ただ、このままでは首を上げて君たちも大変だろう』
ふとアルセウスの姿が掻き消える。となると、視線が動く先は勿論人の形を取ったアルセウス……。いや、有瀬と呼んでおこうか。
「一之瀬のように話をまとめるのはそこまで得意ではないが、肝心なことだけ話していこう。私がこの世に生まれたと確信したのは、約十八億年前のことだ」
「なっ」
「嘘だろ……」
「そっ、そんな長寿な生き物がいるとでも言うの……?」
一通りのリアクションを確認した有瀬は、少し満足そうな面もちだ。
「私は生まれたときから他の生き物にはない特別な能力を持っている。正の能力、負の能力、そのどちらでもないまさしく神の能力……。『創造(クリエイション)』だ。文字通りあらゆる物を物理現象を無視して生み出す。その能力を利用してどうにか生きながらえてきた。古い細胞は捨て、自らに新しい細胞を創造(クリエイション)して……。俗にいう不老不死だ」
「なぜそこまでして生きる必要があるんだ」
「……風見雄大、確かに一之瀬が気に入るだけはある。良い質問だ。それは『管理』するためだ。この二つの次元が崩壊しないようにする……。それが私の宿命だ」
次元。僕らが今生きている次元を有瀬は
D1、そしてもう一つの世界。有瀬を筆頭としたポケモン達が住む世界を
D2と名付けていた。この二つのことだろう。
「そもそもどうしてなぜ二つの次元が存在するかは分からない。『初代の』アルセウスが生まれたと同時に、ビッグバンが発生して
D1の宇宙も生まれたが、そのアルセウスは一体どうしてかもう一つのビッグバンを引き起こし、
D2の宇宙を作り出した。そして、その
D1と
D2の境界が最も近いところがこの地球だ。偶然にもこの地球には人間という高度の自我をもった生き物が現れた。そのせいで精神エネルギーのバランスという複雑な問題が発生し、
D1と
D2が衝突、やがては崩壊に繋がっていく。我ながらその先祖を疎ましく思うね。どうして二つも次元を生み出したのかとね」
「初代のアルセウス? まさかアルセウスっていうのは他にも……?」
藤原君が恐る恐る有瀬に問いかける。
「いいや、今生きているアルセウスは私こと三代目のアルセウスだけだ。我々はどうやら、自分の能力の限界を感じれるらしい。我々は『次の』アルセウスをこの世に生み出して活動を停止する。そして、私も感じているのだよ」
「まさか有瀬、君は……」
「そう、一之瀬。君の考えの通りだ。私の命は間もなく燃え尽きるであろう。しかしこのまま私が力尽きても、次のアルセウスがその能力を発揮するまでには十年はかかる。手遅れにならないうちに、私がこの生きているうちにどんな手を使ってでもこの歪んだ精神エネルギーのバランスを戻さなければならない! 責任は後の世代に任せてはいけない。必ずこの手で成し遂げる必要があるのだ!」
今のセリフの最中、少しだけ有瀬の表情に影が見えた。……それが君の本音か。
「だがしかし! それでも犠牲を生み出す君のやり方には賛同出来ない! その因果は僕が崩す!」
「君程度のちっぽけな存在に何が出来る! どうしてもと言うなら力でねじ伏せてみろ!」
今、有瀬が繰り出したスタジアム、アルティメットゾーン2ndの中に僕らはいる。
僕のバトル場には悪エネルギーが二つ、超エネルギーが一つついたダークライ&クレセリアLEGEND150/150。ベンチには悪エネルギーとダブル無色エネルギーがついたバンギラスグレート130/160。
対する有瀬のバトル場には、先ほど攻撃を受けてHPが0になったドータクン、ベンチにドーミラー20/60と水、鋼エネルギーが一枚ずつついたパルキア&ディアルガLEGEND160/160。サイドはどちらも三枚だが……。
「勝負を再開する。まずは後始末からだ。ロストクライシスの効果を発動! このワザで相手のポケモンを倒したとき、相手のポケモンとそれについているカードをすべてゲームからロストする!」
ミシミシ、と重い音を響かせながらドータクンの真上の空間に亀裂が走る。そして大きくなって空間の穴となった場所に、ドータクンはエネルギーごと吸い込まれて消えていってしまい、空間は元のように修復されていった。
「さらに僕はサイドを一枚引く」
「この瞬間、アルティメットゾーン2ndの効果が発動する。ウィナーズベネディクション(勝者の祝福)! サイドを引いたプレイヤーは、サイドを引いた枚数と同じだけカードを山札から引く。これは任意効果ではなく強制効果。さあ、カードを引くんだ」
効果が発動した瞬間、流石に身構えた。しかしむしろこっちが有利になる効果……。ということは有瀬のパルキア&ディアルガLEGENDは手札を消耗しながら戦う、とか? だとしてもおかしい。
それならば、パルキア&ディアルガLEGENDがバトル場に立ったときにアルティメットゾーン2ndを使えばいいはずだ。むしろ僕にカードを引かせるために使ったのか?
有瀬は次のバトルポケモンにパルキア&ディアルガ160/160を送り出した。これが有瀬のエースカードのはず。どう出てくる。
「さあ、ようやく私の番だ。私は、手札から
SL3
次元衝撃を発動。場にスタジアムカードがあるときにのみ発動出来る。相手のベンチポケモンを一匹選んで相手のバトルポケモンと入れ替える。そしてダメカンを二つ乗せる。私が選択するのはバンギラスグレートだ」
有瀬がバンギラスグレートを指さした瞬間、ほんのわずかにだが指を指された箇所の空間が捻れ、バンギラス110/160の巨体を真上に弾きとばした。そして、ダークライ&クレセリアLEGENDを押し退けて、バトル場にバンギラスが落ちていく。
「これは……。少し原理は違うけど、指を指した所にダメージを与える、高津の能力と同じだ」
藤原君の言う通り、有瀬の
SLは今まで見たことのある正或いは負の能力の断片をカードに封じ込めたもの。自分のトラッシュに
SL以外のグッズがあると発動出来ず、同名カードはデッキに二枚以上入れられない、
SLは自分の番に一度だけという厳しい条件があるものの効果は非常に大きい。
ただポケモンを入れ替えるだけなら、ポケモンキャッチャーやポケモンリバースなど様々な種類があるが、ダメージを与える追加効果まであるなんて。
「深く考え込んでくれてはいるが、ダメージはただのおまけだ。このデッキの真の力を見せてあげよう。私は、パルキア&ディアルガLEGENDに鋼エネルギーをつけてワザを発動する。サドンデリート!」
パルキアが両手を前に突き出すと、その両手の前に紫色の渦が出来て両手の手首より先をそれぞれ飲み込む。すると、ダークライとクレセリアの苦しそうな声が聞こえた。
急いで真上に視線を動かすと、ダークライとクレセリアの背後に二つの紫色の渦が現れて、そこから伸びるパルキアの右手と左手がダークライとクレセリアの首をがっちりと掴んでいた。
「ベンチのポケモンに攻撃か!」
「残念ながら攻撃ではない。いいや、むしろ攻撃をする必要すらない!」
「なんだと!?」
渦から伸びる手が二匹を渦へ引きずり込んでいく。……いや、渦の方が二匹に近付いている!
「まさか、このまま……」
「サドンデリートの効果は単純。相手のベンチポケモンとそのポケモンについているカードを全て! 持ち主の手札へと戻す。そしてこの瞬間に勝負は決した」
確かにエースポケモンは手札に戻され、僕のバトル場にはポケモンが一匹しかいない。それでもまだチャンスは残っている。
「生憎君は未来を予知出来る神ではない! それを思い知らせてやる。僕のターン! 再びダークライ&クレセリアLEGENDをベンチに出す」
今のサドンデリートの渦のせいで、現物のダークライとクレセリアが僕の手の届く領域にいなくなった。これではオーバーゲートを使っても呼び出すことは出来ない。それでもこの勝負に勝つだけならばそこまでの必要もない。
「ダークライ&クレセリアに悪エネルギーをつけ、バンギラスグレートで攻撃。悪の雄叫び! 場にいる悪タイプ以外のポケモンに20ダメージを与える!」
バンギラスを中心に拡散する黒い波動がパルキア&ディアルガ140/160、ベンチのドーミラー0/60を襲う。
「ドーミラーはこれで気絶。サイドを一枚引く」
「それだけじゃない。アルティメットゾーンのウィナーズベネディクションによって君は山札からカードを一枚引く」
デッキポケットの中に眠る山札が薄くなっているのが触れるだけでもよく分かる。バトルテーブルの表示を見ると、残りは六枚。
「……ようやく狙いがわかったよ。そのスタジアムを使うタイミングがおかしいと思った。僕の山札が無くなるのを君は待っている。そしてそのために僕のダークライ&クレセリアLEGENDを手札に戻して時間稼ぎをするつもりか。それでも山札が切れる前にそのディアルガ&パルキアLEGENDを倒す!」
しかし、有瀬は何も言わずにただこちらを嘲笑っているかのように見つめる。
「すぐに分かるさ。君は私のことを、未来を予知出来ないと言ったね。確かに『私は』未来を予知する事は出来ないが、自分の思い描く未来のレールを敷いて、それを走らせることならそこまで難しくないんだよ。君のようにね」
「くっ……!」
確かに僕は有瀬にはめられて、このアルセウスジムの計画に荷担した。それどころか僕が最後に反旗を翻すことも予期していた。いざ戦う時に「スイッチング」をさせないように、僕にディープディバイダーを使ってスイクン達を操作させて精神力や集中力を使わされていた。確かに掌で踊らされてはいたが、これ以上思う通りに行かせさせない!
「いくら私を睨んでも、状況は変わらない。私はパルキア&ディアルガLEGENDのワザを発動。時を操る!」
ディアルガの胸にあるダイヤモンドが、強い虹色の光を放つ。視界がその光に包まれて歪んでいく……!
「すぐに分かるさ。君は私のことを、未来を予知出来ないと言ったね。確かに『私は』未来を予知する事は出来ないが、自分の思い描く未来のレールを敷いて、それを走らせることならそこまで難しくないんだよ。先ほどまでの君のようにね。」
「くっ……!」
確かに僕は有瀬にはめられて、このアルセウスジムの計画に荷担した。それどころか――。はっ! 待て、何かがおかしい!
「ど、どうなっているんだ! 今一瞬時間が……」
「戻っているのは時間だけじゃない。よく場を見てみるといい」
バンギラスグレートにもダークライ&クレセリアLEGENDに異常はない。手札も同じだ。……となると。
「そんな! サイドの枚数が増えているっ!」
「それだけじゃない。時を操るの効果は、自分についている鋼エネルギーを二枚トラッシュする代わりに相手のサイドを二枚、山札から増やす」
山札から、ということは僕の山札を削りつつ僕のサイドを増やすことになる。それは実質デッキ破壊につながる……。これで残りの山札は四枚!
「言っただろう、未来は予知出来なくても思うレールを進ませることはそんなに難しいことではない」
「くっ! 僕の番だ」
自分の番の頭にカードを一枚引いて、残り三枚。ダメだ……。仮にこの番にパルキア&ディアルガLEGENDを倒せたとしてもサイドを二枚引いたと同時にアルティメットゾーンの効果で山札からカードを二枚引かなくてはいけない。しかし有瀬の場にはそれ以外にポケモンがいないから、僕の勝ちになる。
とは分かるが、それ以上にそもそもHPが140/160もあるあのポケモンを倒すことが出来ない! バンギラスのメガトンテールが威力120と最も火力のある大技だが、それでも届かないし、このワザを使うとデメリットで山札を三枚トラッシュしなければならない。
「ぐっ、僕は手札からポケモン入れ替えとエネルギー付け替えを発動。バンギラスをベンチに戻し、バンギラスについているダブル無色エネルギーをバトル場に出すダークライ&クレセリアLEGENDにつける! そして悪エネルギーをつけて攻撃。ロストクライシス!」
ダークライとクレセリアが放つ三日月カッターが、パルキア&ディアルガLEGEND50/160を体力を大きく削った。が、どうしても足りない! ロストクライシスの効果でダブル無色エネルギーをロストさせる。
「残念だが倒しきれなかったようだ。ちっぽけなチャンスを与えてやったが、それを掴む力は無いようだね」
「……」
「ならばその君のパルキア&ディアルガLEGENDを気絶させたいという願い、私が代わりに叶えてあげよう」
「っ、ど、どういうことだ!」
「すぐに分かるさ。私のターン。私はドーミラー(60/60)をベンチに出す。そして
SL1
時空歪曲を発動!」
「セ、
SL1!?」
カードの発動と同時にこの空間の全てが歪んで振れ始める。まるで強い地震のようで、立つことすらままならない。
「皆、無理して立つな! 伏すんだ!」
翔君達がパニックになる前に指示をとばして被害を最小限にしなければ!
前を見れば、不自然な体制でパルキアとディアルガの体が持ち上げられている。例えていうなら、クレーンゲームで捕まれた人形のようだ。
「
SL1は人智を超越した神の力。その力はあらゆるモノを生み出し、そして破壊し尽くす! これはその見せしめだ!」
不自然に空中に浮かび上がったパルキア&ディアルガLEGEND0/160の体が、有瀬が指を鳴らすと共に内側から爆ぜる。
「ぶっ、うううわあああああああああああああ!」
時空が歪んでいる! 爆風と揺れに挟まれて、平衡感覚が分からない! 僕は浮いているのか!? どこが上なんだ!
「がはぁっ!」
気づいたときには背中と頭が地面に叩きつけられていた。肺が一瞬ぎゅっと締められた感覚を覚え、うまく呼吸が出来ない。そういば揺れはもうしなくなっていた。
「
時空歪曲は自分の場にスタジアムがあり、自分のバトルポケモンが伝説ポケモンのときにのみこのカードは発動出来る。その第一の効果はスタジアムをトラッシュし、自分のバトルポケモンを気絶させる。そして第二の効果! 互いに山札のカードを上から三枚ロストさせる」
「さ……、三枚」
「そう。君の山札の残りは丁度三枚。その全てをロストした。伝説ポケモンが気絶したからとはいえ君が引けるサイドは二枚だけ……。サイドは全て引ききれず、私には次のバトルポケモンになるドーミラーが選べる。これで一之瀬、君の番は回ってこない」
ま、負けた……。くそっ、まだ頭をぶつけた反動で意識が朦朧としているが、奇妙な程に有瀬の声だけが耳に入る。
「だっ……! がはっ」
気づけばいつの間に移動したのか目の前に有瀬が立っていて、仰向けに倒れている僕を見下ろしていた。
「君がいなければここまで効率よく正の精神エネルギーを集められなかっただろう。君には心から感謝している。……ここはワンダーワールドのような精神の世界ではなく実体の世界。痛みは直接君の体を襲うが、君の姿が消滅するわけではない。後はゆっくりとこの幕切れを特別席から楽しむといい。
次元幽閉!」
これは……、藤原拓哉の能力。一見端から見ると何も起きていないように思うが、はっきりと違和感のようなモノを感じた。僕と僕のバトルテーブルごとなんらかの空間に閉じこめられたような……。
手を伸ばせば有瀬の足首くらいは掴めそうな距離だ。叩きつけられてダメージを受けた体で、這いつくばっても見えない壁のようなものが行く手を阻む。
「無駄だ。
次元超越を使ってようやく抜けられるかどうかのこの次元の壁。よもや能力を使う体力は残っていないだろう。それ以上にこの壁を越えたところで、一体何が出来るかも怪しい訳だが。……今までの君の助力、本当に感謝している。お疲れさまだ」
そこまで言うと、有瀬はまるで僕に興味が失せたかのように踵を返して翔君達の方を向く。
「さあ、前座……というには過ぎるかな。ウォーミングアップは終わった! 決着を付けようか。奥村翔!」
「有瀬! お前をぶっ倒して全てを終わらせてやる!」
翔「今日のキーカードはパルキア&ディアルガLEGENDだ。
相手を攻撃する能力は無いが、相手を妨害する能力には富んでいる。
こいつで相手の動きを封じてやれ!」
パルキア&ディアルガLEGEND HP160 伝説 悪超 (L3)
水無無 サドンデリート
相手のベンチポケモン1匹と、ついているすべてのカードを、相手の手札にもどす。
鋼鋼無 ときをあやつる
このポケモンについている鋼エネルギーをすべてトラッシュし、相手の山札の上からカードを2枚、相手のサイドにおく。
【特別なルール】
・手札にある2枚のパルキア&ディアルガLEGENDを組み合わせて、ベンチに出す。
・このポケモンがきぜつしたら、相手はサイドを2枚とる。
※「伝説ポケモンのカード」は、「上」と「下」を組み合わせて使います。
弱点 雷闘×2 抵抗力 − にげる 3