特別編・割引闘争
※この特別編はポケ徹ボイスドラマ(http://bit.ly/x5R48P)に提供した台本です。
こちらも是非併せてどうぞ。話の時期としては90話前後となります。
翔「お邪魔しま〜す。あーよっこらしょう」
薫「よっこら……しょう? なにそれ翔、今のギャグ?」
翔「ごめん薫、聞かなかったことにしてくれ」
恭介「あれ、翔と薫ちゃんじゃん。二人もかーどひーろー来たのか!」
翔「おっす恭介。蜂谷(はちや)も向井もいるじゃんいるじゃん」
蜂谷「よ! ほら向井もなんか言っとけ!」
向井「えと、こんにちは」
翔「で、恭介は何してるわけ」
恭介「かーどひーろーに来てやることは一つだけだろ! カード買うんだよカード。かーどひーろーはカードショップだ、カード買う以外に何やるんだよ」
蜂谷「二階のデュエルスペースで対戦とかできるよな」
恭介「うっ」
向井「カードの買い取りとかもやってるし……」
恭介「ぐっ」
薫「というかカード買わずに見るだけも出来るんじゃないの?」
恭介「ごふっ」
翔「ははっ、馬鹿丸出しだな」
恭介「お、俺は今日はカードを買いに来たんだ! これでどうだ、どーだ!」
蜂谷「よりによって開き直んなよ」
(一同笑う)
翔「で、なんかいいのあった?」
恭介「もちろん! このゼクロムのカードだ」
薫「ホワイトコレクションのやつね」
恭介「そうそうそれそれ」
向井「でもちょっと高いですね」
恭介「そうなんだよなぁ、もうちょっと値段安くしてくれれば迷わず買ったのに」
佐藤「あら、どうしたの皆」
翔「あ、佐藤さん」
向井「蜂谷先輩、この人は?」
蜂谷「ああ、ここの店員の人。大学生で、ここでバイトしてるんだってさ」
恭介「それより佐藤さん、このゼクロムのカード安くしてもらえません? 俺最近食費がバンバン飛ぶからちょっとこの値段はな〜」
佐藤「そんなこと言われてもねぇ……」
恭介「お願いします!」
佐藤「いやだからそんなこと言われてもね」
蜂谷「お。いいことひらめいた! な、翔?」
翔「は? なんで俺に振んの?」
佐藤「それよりも、いいことって?」
蜂谷「翔が今から説明してくれるぜ」
翔「だからなんで俺に振んの? 何も聞いてないし」
蜂谷「こないだ俺がやったやつみたいな感じでいいじゃん」
翔「あー。またアレやるのね。……じゃあ、二人がポケモンカードで対戦して、恭介が勝ったらゼクロムを値下げ。佐藤さんが勝ったらゼクロムのカードをちょっとだけ値上げ。ちなみにどっちが勝っても絶対恭介はゼクロム買うことな」
恭介「ナイスな案じゃん! それなら文句なしだ」
佐藤「仕方ないわねぇ。その代わり、私たちが使うデッキはこのバトルスタートデッキに収録されてる構築済みデッキ。自分のデッキは使用禁止! 条件を対等にするためよ。文句なしね」
向井「バトルスタートデッキと言えば全部で四種類ありますよね」
薫「守りのドダイトスデッキ、力のブーバーンデッキ、技のカメックスデッキ、速さのライチュウデッキの四つね」
恭介「いろいろあるよな。……うーん、じゃあライチュウデッキで」
佐藤「私は力のブーバーンデッキにするよ」
翔「そうと決まれば早速始めようぜ」
(プレイマットを広げて対戦準備)
恭介「デッキをシャッフルし、手札となるカードをデッキから七枚引く。そしてたねポケモンをセットだな、俺はこいつをセットだ」
佐藤「私はこの子とこの子をセットね。さ、開きましょう」
蜂谷「恭介はマイナンか」
薫「佐藤さんはバトル場にドンメル、ベンチにロコンね。三匹とも全員HPが60だけ、か」
佐藤「そっちが持ちかけてきた勝負だから先攻くらいはもらうわよ。私のターン。手札の炎エネルギーをドンメルにつけ、グッズカード、デュアルボールを発動!」
向井「コイントスを二回して、オモテの数だけ自分の山札からたねポケモンを加えるカードですね」
翔「序盤だから、駒を揃える感じだな」
佐藤「ウラ、オモテ。よって私は自分のデッキからブーバーのカード一枚を手札に加え、ベンチに出す」
向井「HPは70、他の三匹より抜き出てますね」
佐藤「ドンメルのワザを使わせてもらうわ。フレアボーナス! 手札の炎エネルギーをトラッシュすることで、カードを三枚ドローする」
蜂谷「うおおおお! すごいドロー出来るワザだ」
恭介「俺だって負けないぜ。俺のターン! よし。サポートカード、MCのおしゃべりを発動。コイントスを行いオモテの場合、カードを三枚。ウラの場合カードを二枚ドローする」
翔「負けじと互いにカードを引きあう流れだな」
向井「手札はあればあるだけチャンスが広がりますもんね」
恭介「オモテだ。だからカードを三枚ドロー。そしてマイナンに雷エネルギーをつけてベンチにリオルを出す。そしてマイナンでワザを発動。仲間を呼ぶ!」
蜂谷「確か自分の山札からたねポケモンを二枚までベンチに出すワザだったな!」
恭介「そう! そして俺はピカチュウとプラスルを選択してベンチに出す」
薫「リオルとプラスルのHPは60、ピカチュウのHPは50。やや佐藤さんと比べると小粒揃い?」
翔「恭介の選んだライチュウデッキは小粒でも素早さを活かした戦闘特化デッキだ。ここからトントンと進んでいくぜ」
佐藤「私のターン。グッズカードのモンスターボール、行くわ」
蜂谷「あれ、このカードよく見るけど、効果はどんなんだったっけ」
向井「コイントスをしてオモテなら、自分の山札から好きなポケモンを選んで手札に加えれるんですよ」
蜂谷「好きなポケモンってことはデュアルボールと違ってたねポケモンじゃなくてもいいのか!」
翔「そう。それがデュアルボールとの差になってるんだ」
佐藤「オモテ! 私は手札にキュウコンを加え、ロコンをキュウコンに進化!」
蜂谷「あれ、ドンメルを進化させた方がいいんじゃなかったの?」
翔「このブーバーンデッキにはバグーダは収録されてないんだ。そしてようやく進化ポケモン、キュウコンが出たな。HPは90、なかなか骨が折れる相手だ」
佐藤「そして新たにブーバーをベンチに出して、もう一度ドンメルでフレアボーナス。手札の炎エネルギーをトラッシュして三枚ドロー」
向井「佐藤さんの場がどんどん整って行きますね」
薫「そうね。たくさんドローしてるから山札ももう残り十枚よ」
恭介「俺のターン、まずはリオルをルカリオに。ピカチュウをライチュウに進化!」
蜂谷「おおっ! ルカリオのHPは90にライチ ュウのHPは80! どんどん恭介の場に強いポケモンが揃って行くぜ!」
恭介「ベンチのルカリオに闘エネルギーをつけてグッズカードのポケモンリバースを発動」
翔「ポケモンリバースは、コイントスをしてオモテならば、相手のベンチポケモンを一体選んで強制的にバトル場に出させるグッズ。まだエネルギーがついていないポケモンを潰しに出るつもりか?」
恭介「……ウラ。不発か! だったらマイナンで攻撃、タッグブーストッ! このワザの元々の威力は10だが、ベンチにプラスルがいると20ダメージさらに追加して与えることが出来る!」
薫「ということは30ダメージ。丁度ドンメルのHPの半分を削って残り30!」
恭介「どうよ!」
佐藤「それくらい想定済みなんだから。私のターン。 モンスターボールを発動。……ウラなので失敗ね。そしてドンメルに炎エネルギーをつけてサポートカード、エンジニアの調整を発動」
蜂谷「エンジニアの調整?」
向井「手札のエネルギーを一枚トラッシュして、山札からカードを四枚引けるサポートカードです」
薫「ドンメルのフレアボーナスがサポートカードになった感じね」
佐藤「ドンメルでバトル! 火炎攻撃」
恭介「なっ!」
翔「火炎の威力は40! マイナンのHPはもう残り20か。もう迂闊にダメージをもらえないな」
恭介「くっ、まだまだァ! 俺はライチュウに雷エネルギーをつけ、リオルをベンチに出す。さらにサポートカード、ジャッジマン! 互いの手札を全て山札に戻しシャッフル。その後互いに手札が四枚になるよう にカードを引く」
薫「上手い! 佐藤さんの手札は七枚もあるから、実質手札を減らしたことになるわ」
蜂谷「それに恭介も手札が二枚だけだったから手札を稼いだことになる!」
恭介「マイナンの雷エネルギーをトラッシュしてベンチに逃がす。俺はライチュウをバトル場に出すぜ」
蜂谷「あれ、マイナンのタッグブーストでも倒せるのに」
向井「たぶん、その返しのターンでマイナンが倒されることを防いでの判断だと思います」
翔「そしてライチュウは雷エネルギー一つでも十分なワザを使える」
恭介「ああ! ライチュウで攻撃だ。コッペパンチ! このワザの威力は30。丁度ドンメルには退場してもらうぜ。サイドを一枚引く」
佐藤「っ、私はキュウコンをバトル場に出すわ。私の ターン。まずはブーバーをブーバーンに進化!」
翔「来たか、このデッキのエースカードが!」
蜂谷「HP110もあるのか……」
佐藤「キュウコンに炎エネルギーをつけてワザを発動。熱加速! トラッシュの基本炎エネルギーを三枚まで、自分のポケモンに付けることが出来る。私はベンチのブーバーンに炎エネルギーを三枚つける」
向井「だからさっきからフレアボーナスやエンジニアの調整とかで、トラッシュに炎エネルギーを溜めてたんですね」
薫「まだ佐藤さんのトラッシュには炎エネルギーが三枚もあるから、もう一度熱加速で三枚つけることが出来るね」
恭介「おそらくなんらかの手段でエネルギー加速を行うのは読めてたぜ!」
佐藤「へぇ?」
恭介「俺のターン! 俺はライチュウに雷エネルギーをつけて攻撃だ。スパーク!」
翔「そういうことか」
蜂谷「どういうことだ」
翔「スパークの威力は40だけど、その効果としてベンチポケモンに20ダメージを与える効果もある。だから今のからでもブーバーンにダメージを与える、っていう訳」
恭介「その通り! というわけでキュウコンに40、ブーバーンに20ダメージを受けてもらう」
薫「それでもキュウコンの残りHPは50に、ブーバーンの残りHPは90。まだまだ削り足らない!」
佐藤「その通りよ。そして君がそうやってくることをこっちも読んでいたわ。私のターン。ベンチのブーバーをブーバーンに進化!」
恭介「ぶ、ブーバーンが……」
蜂谷「二匹も並んだぞ……」
佐藤「今進化させたばかりの ブーバーンに炎エネルギーをつけてキュウコンで熱加速。トラッシュの炎エネルギーをこの番に進化させたブーバーンにつける」
翔「どっちのブーバーンにしろ、すぐに攻撃に移れる状況になっちまった! これじゃあさっきスパークで20ダメージ与えた意味が」
恭介「どうにせよ必ずどちらか一匹は倒さないといけないんだ。俺のターン!」
蜂谷「でもスパークを使ってもキュウコンのHPは10だけ残っちまうぞ」
恭介「ま、見てろ。まずはベンチにいるルカリオに闘エネルギーをつけてからグッズカード、発動だ。プラスパワー!」
向井「プラスパワーは相手のバトルポケモンに与えるダメージを10加算するグッズカード! これでスパークでキュウコンを撃破出来る!」
恭介「そう! そしてラ イチュウでスパーク攻撃! ベンチのさっき進化したばかりのブーバーンにもダメージを受けてもらう」
薫「元々威力40のスパークにプラスパワーで10加算して合計50ダメージ。丁度キュウコンのHPは無くなったわ」
翔「更に佐藤さんのブーバーンの残りHPはどちらも90!」
恭介「サイドを一枚引くぜ」
佐藤「私はさっき進化させたブーバーンをバトル場に出す」
蜂谷「恭介のサイド、もう残り一枚じゃん! それに対して佐藤さんのサイドはまだ三枚もあるし、勝負は決まったな」
翔「それはまだ分からない」
蜂谷「え?」
翔「あのブーバーンのパワーは相当だぞ、見てれば分かるさ」
佐藤「私のターン。バトル場のブーバーンに炎エネルギーをつけ、攻撃よ! マントルバズーカ!」
恭介「ぐ! 俺のライチュウが一撃!?」
佐藤「マントルバズーカはブーバーンについている炎エネルギーを二個トラッシュしなくちゃいけないワザだけど、威力は100! HPが80しかないライチュウなんて一撃よ。サイドを一枚引くわ」
恭介「くそっ、だったら俺はルカリオをバトル場に出す」
蜂谷「ひゃっ、百ダメージ! ブーバーンつえぇ」
翔「言っただろ?」
向井「あのライチュウデッキにはHPが100より多いポケモンは入ってないですね」
薫「つまりマントルバズーカで常に一撃で倒されてしまう……」
佐藤「サイドを二枚あげたんだから、一気に三枚回収させてもらうわ!」
恭介「そう簡単にはさせない! 俺のターン。よし、サポートカード、MCのおしゃべりを発動。……ウラなのでカードを二枚引く」
蜂谷「おいおい恭介のデッキがもう残り四枚しかないぞ」
恭介「慌てんなって。ベンチのリオルに闘エネルギーをつけて、ルカリオで攻撃だ。マグナムパンチ!」
薫「50ダメージ! これでブーバーンのHPは40、もう一発マグナムパンチで倒せるわ!」
翔「でも次のブーバーンの攻撃をルカリオは耐えきれない」
佐藤「そう、その通りよ」
恭介「だがその返しのターン、俺の新たに育てたバトルポケモンがトドメを刺す!」
佐藤「それはどうかな。私のターン。バトル場のブーバーンの炎エネルギーを二個トラッシュしてベンチに逃がす!」
恭介「何っ!?」
翔「恭介のチャンスが!」
佐藤「そしてベンチにいるもう一匹のブーバーンをバトル場に出す。あらかじめブーバーン二体にエネルギーをため込んでたのは、こういう状況になったときに自由に交代させれるときのためよ。私はグッズカード、エネルギーリターナーを使うわ」
蜂谷「リターナー?」
向井「自分のトラッシュの基本エネルギーを四枚まで山札に戻すカードですね」
佐藤「私はトラッシュにある炎エネルギーを四枚デッキに戻し、シャッフル。そしてブーバーンで攻撃、ハードクラッシュ! このワザは自分の山札の上からカードを三枚トラッシュし、その中にあるエネルギーの枚数かける50ダメージを与える!」
翔「だからエネルギーリターナーでわざわざ炎エネルギーを戻し、ダメージの期待値を上げたのか!」
佐藤「キュウコン、炎エネルギー、炎エネルギー。二枚あるので100ダメージを受けてもらうわ!」
蜂谷「まっ、また100ダメージ!」
恭介「ルカリオも一撃でっ……!」
佐藤「サイドを一枚引くよ。……これで状況はもう五分、いや、私の方が有利ね。今の君の場にはリオルとプラスルとマイナンしかいない。そんな貧弱なポケモンだけじゃあ勝てないわよ」
恭介「俺はリオルをバトル場に出す。……もう佐藤さんの勝ちだなんて、まだ分からないぜ」
佐藤「そうかしら?」
翔「いいぞ、恭介。お前の根性見せてやれ!」
恭介「俺のタァーン! よし! リオルをルカリオに進化して、ルカリオに闘エネルギーをつける!」
薫「でもルカリオの一番強いワザであるマグナムパンチは50ダメージっ。今バトル場にいるブーバーンのHPは90もあるわ。いくらプラスパワーを使っても30ダメージも残るのに」
恭介「俺はこいつに懸ける! グッズカード、ポケモンリバース!」
向井「そうか! 先輩はこのカードのコイントスに勝負を委ねるつもりなんだ!」
蜂谷「どう委ねるって?」
翔「さっきも言ったけど、ポケモンリバースはコイントスをしてオモテなら相手のベンチポケモンを一匹強制的にバトル場に出させる効果のグッズだ。これでオモテを出して、ベンチのHPが40しかないブーバーンを攻撃すれば!」
蜂谷「そうか!」
佐藤「やるじゃない。でもそんな都合良く行くとは……」
恭介「悪いな、オモテだ!」
佐藤「はっ!」
恭介「効果でベンチの残りHPが40のブーバーンを引きずり出す! そしてルカリオで攻撃。マグナムパンチ!」
翔「決まったな」
恭介「最後のサイドを引いて、これで俺の勝ち!」
蜂谷「よっし!」
薫「あそこからどんでん返しで勝っちゃうなんて」
向井「すごい……」
(しばらくの間)
佐藤「お買い上げありがとうございましたー」
恭介「じっ、十円しか安くならないだなんて……」
翔「こればっかしは、勝負前にどれだけ安くするか決めてない恭介が悪いな」
蜂谷「日頃の行いも悪いからな」
恭介「お前には言われたくねーよ!」
薫「ま、いいじゃないのいいじゃないの」
向井「そうですよ、楽しい対戦出来たじゃないですか」
恭介「まあそれもそうだなあ」
翔「よし、じゃあ今から俺たちもやろうぜ!」
蜂谷「乗った乗った!」
薫「あたしもやるやる!」
向井「僕もお願いします」
恭介「あっ、ちょっ、俺も混ぜろよー!」
ちゃんちゃん