Hyper fresh
11話 隠し玉
「おれの番や! リーフィアでキングドラに攻撃ィ、アロマスリープ!」
 リーフィアからキングドラ0/150にトドメの攻撃が放たれる。キングドラについていた達人の帯の効果で、西山はサイドを二枚引くことができる。
「あたしはシードラを次のポケモンにするわ」
「サイドを二枚引いておれの番は終わりやな」
 これで西山のサイドは二枚、あたしは四枚。一気に二枚の差が開いてしまった。
 西山のバトル場は草エネルギー二枚ついたリーフィア50/130、ベンチには同じく草エネルギー二枚ついたジュカイン100/140、そして草エネルギー一枚のシェイミLV.X40/100。
 あたしの場には先ほど出たばかりの水エネルギー一枚ついたシードラ80/80、ベンチにはユクシー70/70、スターミー80/80、そして水エネルギー一枚ついたフローゼルGL80/80。
「よし、これであと二匹倒せばおれの勝ちやな!」
「ふん、そんな簡単に言わんといてや。こっからはもっと険しい道にしたるから」
 余裕をかます西山にピシャリと言い切ってやるが、西山は半信半疑といったような眼差しでこちらを見てくる。算段は無いわけではない。まずはこの番から!
「あたしのターン、ポケブロアー+を二枚同時に発動や」
「二枚同時!?」
「そうや、このカードは一枚だけで使用したときと、二枚同時に使ったときでは効果がちゃうで。二枚同時に使用したときの効果は、相手のベンチのポケモンを一匹選んで、バトルポケモンと入れ換えさせる!」
「ということは……」
「そう、ベンチのシェイミLV.Xとその鬱陶しいリーフィアを交代してもらうで」
 天井の方からマジックアームのようなものが伸びてきて、シェイミLV.Xとリーフィアはそれぞれがっちり捕獲してそれぞれのポジションを無理やり入れ換えさせる。これでシェイミLV.Xにダメージを与えれる。
「ユクシーをベンチに出して、ポケパワーのセットアップを発動。このカードを手札からベンチに出したときだけ発動出来て、手札が七枚になるよう、つまり今のあたしの手札が一枚やから六枚山札からカードを引く!」
 ポケブロアー+だけでカードを二枚も消費してしまったんだ。しっかりユクシー70/70で補給をしておこう。
「手札からサポーター、ミズキの検索を発動。手札を一枚デッキに戻して、デッキから好きなポケモンを手札に加える。あたしはキングドラを手札に加えて進化させんで」
「倒しても倒しても……! どんだけ出てくんねん!」
 西山がキングドラ130/130を指差して焦り始める。
「それはそっちの勝手な予測やろ? さて、手札を二枚捨ててキングドラのドラゴンポンプで攻撃!」
 先ほど手札を補充したばかりだから、捨てるカードなら山ほどある。
 キングドラから放たれた水の龍はまずシェイミLV.Xを攻撃、抵抗力で20ダメージ軽減させても40+20−20=40ダメージ。ともかくシェイミLV.XのHPはこれで0/100となる。
「ドラゴンポンプの効果でリーフィアにも20ダメージ!」
 水の龍はシェイミLV.Xだけでなく、ベンチのリーフィアにも攻撃する。ダメージを受けたリーフィア30/130は弾き飛ばされて西山の側まで転がる。
「シェイミLV.Xがワザで気絶したことによってサイドを一枚引くで。更にシェイミLV.Xが気絶したことで、ポケボディーの感謝の気持ちによって上がったHPは元に戻る!」
「そっちが狙いやったんか!」
 西山の場の全ての草ポケモンのHPバーが減り行く。これでリーフィアのHPは0/90、ジュカインは60/100となる。
「リーフィアもこれで気絶でサイドもう一枚引くで! これであたしも残ったサイドは二枚や」
 そして西山はベンチに残った唯一のポケモン、ジュカインをバトル場に出す。
「おれのターン! サポーターのバクのトレーニングを使い、デッキから二枚ドローする」
 バクのトレーニングの真髄は、バクのトレーニングがバトル場の横にあるとき、ワザの威力が10増えることにある。
 このターンで何かしら攻勢に転じるのかしら?
 しかし、西山は一向に動じない。歯がゆそうにしている。
「くそっ、進化ポケモンばっかでたねポケモンがっ……」
 ボソッと呟いたそれを聞き逃さなかった。なるほどね、いくら進化ポケモンがあってもたねポケモンがいなければ邪魔にしかならない。
 おそらく手札のほとんど全部が進化ポケモンなのだろう。それはやることは少ないに決まってるだろう。
「ジュカインの攻撃、リーフブレード! 攻撃と同時にコイントスをする。……オモテ、よってリーフブレードの威力は20追加される!」
 リーフブレードの元の威力は50。コイントスで20、さらにバクのトレーニングの効果で10上がって計50+20+10=80ダメージ。
 ジュカインに大きく腕の葉で切りつけられ、苦痛に歪むキングドラのHPは50/130となる。
「これで次のターンのジュカインの攻撃が通れば、コイントスに関わらずキングドラは気絶するで!」
「通れば……ね」
「なっ!?」
「あたしの番、やるで。この番の攻撃で決着をつけるで」
「ドラゴンポンプをしてもジュカインのHPは削りきれへんやろ!」
「あら、いつあたしがキングドラはドラゴンポンプしか使えないって言うた?」
「えっ?」
「隠し玉はこういうときに使うもんやで、キングドラでジュカインに攻撃。アクアストリーム!」
 キングドラの足元から激しい水流がジュカインを巻き込む形で発生する。
「アクアストリームはトラッシュにある水エネルギーを好きなだけ選択し、そのエネルギーをデッキに戻してその戻した数かける10ダメージを与える。あたしはトラッシュにある全ての水エネルギー、十一枚をデッキに戻すで」
 抵抗力を加味しても、10×11−20=90ダメージ。これではジュカイン60/100も耐えることは出来ない。
 水流から解放されて完全にのびてしまったジュカイン0/100が気絶してしまったことで、西山にはもう戦えるポケモンがいない。よって、あたしの勝ちだ。
「なかなか楽しかったで。でも、まだまだやな」
 無事一回戦は突破。これで二回戦へ進める。それでも啓史と戦うにはまだまだ勝ち進まなくてはならない。そして翔たちとの約束を果たすためにはもっと勝たなくちゃいけない……。



「お疲れ様」
 無事初戦を終えて戻って来た由香里に対して声をかけてやる。
「ありがと、啓史もしっかりな」
「当たり前や」
 由香里がしっかり一回戦を勝ってきたんだ、もちろん俺も負けられない。
 とりあえずこの初戦はしっかり勝って、後の弾みにしなくちゃ。
「あ、一之瀬さん」
 由香里が呟くのになぞらい、同じ方を向く。やあ、と片手を上げてこちらに合図する。
「二人とも調子はどう?」
「あたしらどっちも予選勝って、今あたしが一回戦勝ち抜きました」
「すごいね、さすが僕が見込んだことはある」
「それにしてもバトルベルトすごいですね、あんなエフェクト出たり風がビューン吹いたりしたりしてもうほんとわーっ、ってなりました」
「あはは、そう言ってもらえると嬉しいね。僕らが開発したわけじゃないけど。おっ、今やってる試合は終わったみたいだね」
「……、啓史何さっきからボッーと突っ立ってんねん。出番やで」
「え、ああそっか」
「緊張してんの?」
「いや、まあ考え事しててん」
「そんな分かりやすい嘘つかんでええやん」
「そんなときは楽しめばいいよ。難しいことを考えずに好きなよう、思いっきりやればいいさ」
「そうですね」
 それが出来ねーから困ってるんだよ! 残念ながら完全に上がってしまった俺には効果は今一つだ。そんなこと言われると逆に負担になってしまう。
「そろそろ行きや」
 由香里に促されて俺は勝負へ向かう。
 案内通り、対戦の所定位置に立つ。向こうから対戦相手がやってきたのだが、その相手のことは忘れもしない。
 この前のバトルチャレンジで、突然吐いた人の対戦相手だ。
 肩より長い青髪の長身の女性。近くで見るとかなり威圧感を放っていて、もしかして体が震えているかもしれない。
 見た感じに強そうで、自分が負けるイメージしか浮かばない。こんなの相手に楽しめとか、ビルから飛び降りろと同義。って弱気になってどうする!
「よ、よろしく……」
「……」
 睨まれたと思う。その冷たい視線に思わず視線が逃げる。
「啓史、頑張りやー!」
 くっそ、これまた嫌なのと当たってしまったんちゃうか。



由香里「今回のキーカードはキングドラ。
    なんといってもワザエネルギーが少ない上に、
    威力も抜群! あたしのお気に入りや」

キングドラLv.52 HP130 水 (DP5)
─  アクアストリーム 10×
 自分のトラッシュの水エネルギーを好きなだけ選び、相手プレイヤーに見せて、そのエネルギーの枚数×10ダメージ。その後、そのエネルギーをすべて山札にもどし、切る。
水  ドラゴンポンプ 40+
 のぞむなら、自分の手札を2枚トラッシュしてよい。その場合、20ダメージを追加し、相手のベンチポケモン1匹にも、20ダメージ。
弱点 雷+30 抵抗力 ― にげる 1

照風めめ ( 2011/05/26(木) 20:30 )