第7話 暗い空のリソルタウン
街に入ってみると、やはり人々の雰囲気は暗く、活気はなかった。街を歩いていると、街の住人に声をかけられる。
「ちょっと、あんた達!」
容姿は、小太りのいかにも近所のおばさんだ。声をかけられた三人は止まり、おばあさんの方に向く。
「何ですか?」
「あんた達、よそから来たのかい…」
「そうじゃ、それがどうしたのか?」
彼女の問には、老人が答えた。年齢の近いぶん話しやすいのだろう。
「出ていきな!ここは、危険だよ」
その言葉に三人は驚く。せっかく街まで来たと思ったら、出て行けと言われる始末。ソウは、怒りながら事情を聞こうとする。
「ちょっとオバさん!どういうこ…」
「キャァァァァァァ〜!!」
すると、北の方から女の悲鳴が聞こえた。
「何だ、今の悲鳴は!」
「ライ!行こう、じいさんはここで待ってるんだ」
老人を置いて二人は、悲鳴のした方へと走っていく。
「ちょっとあんた達!…大丈夫かね…」
二人は、悲鳴のした所まで到着する。見てみると女性が、腰を抜かして尻もちをついていた。女性が見ている方向には、ポケモンがいた。
「ルラァァァァイィィィィ!!」
「ライチュウ!しっかりして!」
そのポケモンの名は、ライチュウ。だが様子がおかしい。鋭い目つきで女性を睨んでおり、目は、赤くなっている。それを見たライは。
(あれは、森で見たのと同じだ!このままじゃあの人が)
ライチュウをほっぺをパチパチさせており、そしてそれを一気に女性へと放出する。十万ボルトだ。
「危ない!!」
ライは、捨て身で女性の方に飛び込む。女性を押しのけ、十万ボルトは、ライに命中した。
「ぐわぁぁぁ!!」
「ライ!!」
ソウが駆けつける。ライチュウは、襲うのをやめて、一目散にこの場から離れる。
「待って、ライチュウ!!」
助かった女性は、ライチュウを追おうとするが、走りが早くて、もう見えなくなっていた。そして女性は、ライのところまで行く。
「おいライ、大丈夫か?」
「ああ、でもかなり痺れた…」
ライは、痺れて悶絶していた。通常の十万ボルトよりも、ずっと強烈なものだったのだから。除ライに声を掛ける。
「助けてくれて、ありがとうございました。」
「いえ、大丈夫です…そっちこそ無事で…」
しばらく経って、ライが歩けるようになると、老人を呼び三人は、助けた女性の家へと向かうことになった。
「いいんですか?」
「いいんです。助けてくれたお礼です!」
そして三人は、女性の自宅に到着した。一軒家で入ると結構広い家であった。
「広いんだなぁ、俺の家よりでけぇよ」
リビングも広く、中々のものであった。女性は、三人をソファーに座らせてお茶を出した。
「おお、気が聞くの、おじょうちゃん」
老人は、いち早くお茶に手を付けた。女性は、三人の向かいのソファーに座り、自己紹介をする。
「先程は、ありがとうございます。私は、町長ユサツの娘のミチと申します。」
ミチと言う女性が自己紹介すると、三人も順番に名前を言う。
「僕は、新庄ライです。」
「俺は、東 ソウだ!よろしくな」
「わしは、芝野ゲンじゃ」
ライとソウは、老人の名前をここで初めて聞くことになった。
「そういや、じいさんの名前、聞いてなかったな…」
「それはそうと、ミチさんのお父さんは、町長なんですか?」
町長という言葉に引っ掛かったライは、ミチに質問する。
「はい。父は、ここリソルタウンの町長です。今は、ここにはいませんが…」
家が他のところより大きいのは、そういう理由であろう。ライは、新たに質問をする。
「そういえば、さっき襲われてましたけど、あれって?」
その質問を聞いたミチは、先程と違う表情をする。それは、暗くどこか悲しみに満ちた表情であった。
「あのライチュウは、私のパートナーなんです。」
「えっ!?」
それを聞いた三人は驚く。それならば、何故パートナーを襲うのか疑問を浮かべる。
「見た通りに、ライチュウはおかしくなってしまいました。ライチュウだけではありません!この島のポケモンたちは、皆おかしくなってしまったんです。」
確かにそうだ。三人が森で出会ったゴルバットたちも、ライチュウと同じ感じだったのだ。
「何でおかしくなったんだ?」
「あいつが来たからです。あいつが来てからポケモンたちは利用され、空もご覧の通り暗くなったんです。」
どうやら暗い空は、誰かが意図的にしたものらしい。三人は、窓から暗く不気味な空を見上げる。
「あいつって誰なんじゃ」
すると女性は、ソファーから立って窓の方に行く。そしてある方角を指差す。
「あそこ、見えますか」
三人も窓の方に近づいて、その方角を見てみると、一際目立つ塔が街から離れた所にそびえ立っていた。
「あの塔に、今回の事件を起こした犯人がいます。」
「誰なんですか、犯人は」
「名前は…」
To be continued…