第6話 見たことない場所と不思議な生き物
三人は、とある森で気絶していた。そしてライが、先に目を覚ます。
「うっ…ここは?」
あたりを見回すと、神殿のあった森とは違う雰囲気が漂っていた。何かの気配もするし、そして何よりも空が不気味に暗かった。
そしてライは、残る二人を揺すって起こそうとする。
「起きろソウ、おじいさん!」
二人とも無事で目を覚ます。彼らも同じくあたりを見て驚く。
「見たことない場所だな…」
「おそらく、ここがあの女性が言ってた外の大陸じゃろう」
それを聞いた二人は立ち、少しあたりを散策する。森の木は元気がないような感じで、気配はするが表には出てこなかった。
「何だ…この嫌な感じは」
全体的に不気味極まりない気配が漂い、二人を不安にさせていく。
「こっちには誰もいないぜ」
「こっちもだ」
二人は、合流して状況を教え合う。手がかりが掴めず一旦、倒れていた場所に戻ることにした二人。すると
「うぉぉぉ!何じゃぁああああ!」
「あれは、じいさん!行こう!!」
「うん!」
老人の悲鳴が聞こえ、急いで来た道を戻る。最初のところに戻ると、そこには、老人が腰を抜かして倒れていた。
「おじいさん、大丈夫ですか」
見たことのない生き物が、老人を襲おうとしていた。姿は、こうもりの様で三体いた。
「これって、ポケモン!?」
おとぎ話で語り継がれているポケモン、人間以外の生き物は、こう呼ばれている。
そう、彼らの前に現れたのは、こうもりポケモンのゴルバットだ。三体とも目を赤く光らせて、様子がおかしい。
「こいつら…」
ライが言った途端に、ゴルバット達が"いやなおと"を一斉に発した。三人は、その音に耳をふさぐ。
「何だ、この音は!」
「逃げよう!おじいさん、立てる!!」
「あっ、ああ」
老人を立たせて、一目散にゴルバットから逃げる。ゴルバットたちも追いかけるが追いつくことはなかった。
逃げ切れた三人。ライが老人をおんぶさせている。逃げているうちに、森の出口付近まで来ていた。
「何だったんだ、今の」
「ポケモンだよ。あれは間違いない!」
ライは、ゴルバットたちを見て、すぐにポケモンだと確信した。昔から絵本を読んでいるライとって、あれがどういう種族かも分かったのだ。
「とりあえず、この森を出よう」
「ああ」
「待て、わしを降ろさんか!これでも歩けるわ」
老人を降ろして、森を出る。森の外は、広い広い荒野になっていた。
「広いなっ…おい!あそこに街があるぞ!」
ソウが指差した方向には、確かに街らしきものが見えていたが、距離は結構ある。
「あそこに行ってみよう、何か分かるかも」
「歩くのかのう、やれやれ」
そして三人は、街へと歩き出す。向こうに街が見える以外は、ほとんど何もなく、北に暗さにより黒く見える海、真後ろの南側には先ほどの森、西には、一際目立つ高い塔、東は岩山だらけの場所などがある。
「俺たち、なんの準備もしてねぇから、食べ物とかないぞ」
「あそこに行けば、何とかなるだろう」
「そうじゃ、必要なのは試みじゃ」
なんの装備もしていない三人にとっては、もはや街に行くしか選択肢はない。三人が街へと歩き続けている道中、ポケモンや人の気配などがしない。
「荒野で全く気配がないな」
「これはこれで気味わりぃな」
三人は、何事もなく無事に街の入り口まで到着した。
「着いた〜!!」
ようやく着いた事に、喜ぶソウ。しかし、外から見た街の雰囲気がどこかおかしかった。
「何か暗い空気だな」
「仕方がないじゃろ、こんな空じゃからのう」
「とにかく、入ろう!」
三人は、入り口のアーチをくぐり、街へと入っていった。
To be continued…