第5話 導きの光へ…
それから一時間後、太陽の光は、一直線に神殿の扉を光らせる。すると、窪みの部分が七色の光を放ち、それを見た三人は興奮する。
「すげぇ〜じゃん!」
「わしの思った通りじゃわい、では早速」
老人は、窪みと同じ形をした物体を持って、扉の前まで来る。
「始まるんだな…」
不安な表情をしながらも、内心は期待しているライは、静かにつぶやく。そして老人は、物体を窪みにはめ込む。すると、物体も七色に光りだして、それは、扉全体に広がる。
「扉が…」
ライ達が当然のように驚く。そして光がおさまると、遂に扉が開いた。
「開いたぞ!やったじゃん、じいさん!」
「オホホホ、当然じゃ」
「よ〜し!突入だぁ」
そしてソウは、突っ走るように、神殿の扉をくぐる。それを見た老人とライは、呆れた表情をする。
「やれやれ、急かす必要なかろう…」
「あはは…」
ライは、苦笑いしながらもワクワクしていたのであった。そして残る二人も、神殿内部に入る。中は古く錆びれていたが、広い空間が広がっており、まるで異次元にいる感じであった。
「ほぉ〜、中々の作りじゃな、ルルタ族という者たちは、相当な技術をもっていたらしい」
二人は、更に奥に進むと、先に行っていたソウがいた。目を輝かせながら、あたりを見回していた。
「遅いぞ、二人共」
「お前が早いんだよ!全く…」
ソウにツッコミを入れるライ。しかし、神殿の中は外見で見たよりも、はるかに広く吹き抜けており、三人共、興奮気味だ。
「おいソウ、あそこに扉があるぞ」
それを聞いたソウが、後ろに振り向くと、確かに奥に続くような扉があった。
「ほう、さらに奥には何かありそうだな」
ライとソウは、早速、扉の前まで来て、開けようとするが…
「おりゃ〜!!」
「う〜ん…!!」
扉は、ビクともしない。押しても引いても同じであった。
「ダメだ、また振り出しに戻るのかな?」
「何だよ!せっかくここまで来たのに!」
どうすればいいか、二人が悩んでいる中、老人も扉の前まで来た。
「ほれ、二人とも、せっかちなんじゃ」
老人は、二人を押しのけて扉の一番近くに立つ。そして老人は、ふすまのように横に引くと、扉は、いとも簡単に開いたのだった。
「和式かよ…!」
ソウは、そう驚くのであった。そして中に入ると、またしても広い空間が広がっており、他にも、縦一列と横一列と台が綺麗に並べられ、置いてあった。
「なんだ、この部屋?」
ライは、この部屋に入ると、先程とは違う不思議な感覚を覚えた。それは、残る二人も同じであった。
「なんか…って!ライ、じいさん!アレ!!」
ソウが驚いた表情で、斜め上の方向に指を差す。その方向を見上げると、何と人が浮いていた。
「ま、まさか…あれって…もしかして…」
その人は、影が薄く、足が無かった。そう思っている内に、その者は、段々こちらに近づいてくる。それにソウは、青ざめる。
「ヒィィィィ〜!!くっ、来るなぁ!!」
「落ち着け!!」
この場でも冷静なライは、ソウを落ち着かせようとする。老人も驚きはしたが、怖がる事は無かった。
-大丈夫です。私は、あなた方がおもっている存在ではありません。-
三人は、謎の声を聞いて静まり返る。それは、浮遊している人から聞こえた。よく見たところ綺麗な女性であり、声も綺麗なものであった。しかもそれは、口ではなく、直接三人の脳内に語りかけていた。
「あなたは、何者ですか?」
-私は、この神殿を司る者。私は、あなた方のような者たちが来るのを、ずっと待っていました。-
「えっ!?」
「どういうことだよ、それは?」
「ふむ、もしやそなた、ルルタ族の者じゃな」
老人は、感づいたのか、その女性に質問した。
-はい。私は、かつてルルタの一族でした。しかし…-
ルルタ族だという女性は、少し話した後に間を置いて、また話し出す。
-しかし、世界が追い込まれて以降、ルルタ族でも数少ない生き残りである私は、この神殿の守る者として、今の姿になり、救世主が来るのをまっていました。-
「おい、救世主ってのは、俺達のことか?」
ソウの質問に、女性は頷く。本当に実在したのだ、ルルタ族や外の大陸群なども全て。
-知っての通り、ここは復活の神殿。今から数百年前、この世界は悪しき物によって滅亡の寸前まで行きました。しかし、我々ルルタ族は、持つ力の全てをかけて、この大陸だけは、守り通したのです。-
それを聞いた三人のうち、老人は納得したが、ライとソウは話が難しかったのか、まだ、いまいちよく分からなかった。
そして女性は突然、両手を上げる。すると三人の体が光り始めた。
「何だこれ?」
「何かに、吸い込まれていく感覚がする。」
「ほほう!」
光は、さらに強さを増して、三人を包み込む。そして三人は、宙に浮く。
-滅ぼされた世界を救って下さい。そして希望を取り戻して…-
そして三人は、神殿から時空間のような場所へと瞬間移動し、落ちていくように降下する。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「!?、あれは、光か?」
時空の中心が光っている。そして段々と広がっていく…
その頃、三人の後を追っていた謎の人影は、森で迷っていた。
「も〜う!何なのよ一体?どうしてこうなるのよぉ〜!!」
どうやら女性のようだ。
PART1 完